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十七話 初エッチ

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 ぐちゅっ、ぬちゅっ。いやらしい音が、風呂場に響く。

「あ、あっ、あ……、んぁ……!」

「清、ナカで動いてんの解る? もう指二本入ってるよ」

 カノの膝に載せられ、足を開かされる。背後から逃げないようにがっちりと捕らえられ、アナルを弄られる。指が何度も出入りする穴から、じゅちゅっ、ぐちゅと音が鳴った。

「や、だぁ……っ♥ それっ……ん」

「嫌じゃないだろ? 風俗で弄って貰ってたんじゃないの?」

「シて、にゃい……っ♥ そんな」

「ふーん? その割に、感度良いじゃん」

「あ、あっ……♥ んあっ!」

 指が蠢くたびに、ゾク、ゾクと快感に震える。相手はカノで、好きな人で、でもこんなことになるなど、想像もしていなかった。清はこれまで異性愛者だったし、カノを好きになった後も、身体に触れる機会があるとは思っても見なかった。

(ヤバイ……、指、気持ちイイ……♥ っ、けど……)

 風俗に通うのが好きだった清ではあるが、おっぱいは好きだったがアナルプレイをしたことはなかった。せいぜい、乳首舐め程度のものだ。そっちがイイという噂は聞いていたが、冒険する勇気もなく、対応している嬢も清の通う店には居なかったのだが――。

 カノがしているからなのか、カノが上手いのか、それとも、自分が向いているのか――。想像していたよりも、抵抗はなく、抜け出る感覚が気持ち良い。その上、奥にある前立腺部分を擦れると、堪らない感覚が沸き上がる。

 好きな人と、えっちなことをしている。その興奮に、脳が痺れる。蕩けるほど弄られて、気が狂うほど気持ち良くされて。キスも、指も、全部甘いのに。

(――チンコが凶悪過ぎて……っ!)

 酔いきれないのは、カノの肉棒が凶悪過ぎるせいだ。太いし、長い。平時でもデカいというのに、興奮して勃起したら、凶器にしか見えない。清は処女なのである。指二本でいっぱいの狭い穴に、入るはずがない。

「……さすがに、狭いな……。これじゃ無理か」

 カノの呟きに、コクコクと頷く。カノの腕が緩んだのを見て、解放されたとホッとしたのも束の間。

「ばふっ」

 頭からシャワーを掛けられ、口に入ったお湯を噴き出す。涙目で見上げれば、カノが楽しそうに笑っていた。悔しいが、素の表情で笑うカノにキュンとしてしまう。

「ちょ、カノくん」

「ベッド行こ」

「わ」

 そのままバスタオルにくるまれて、ヒョイと抱え上げられる。ジタバタともがくが、抵抗にもならないようだった。

「カノくんっ! 歩けるからっ!」

「ヤダね。逃げる気だろ。清」

「いや、そのっ……」

 指摘され、目が泳ぐ。明確に逃げるつもりだったかと言えば微妙なのだが、出来ればチンコは遠慮したいところだ。

 清の希望も虚しく、あっという間にベッドに着いてしまう。ぽすんとベッドに横にされ、そのままカノが覆いかぶさって来た。

「あ……」

 カノの唇が、清の口を塞ぐ。キスは、好きだ。安心する。ちゅ、ちゅと音を立てながら、舌先を弄り合う。唾液と舌を絡ませる、いやらしいキス。キスだけで、脳が興奮するのが解る。

「清、ちょっと痩せすぎじゃね?」

 あばらの浮いた腹に視線を落として、指が胸を撫でていく。乳首を指先で弾かれ、びくんと身体を揺らした。

「あっ……、に、肉付かないんだよっ……」

 昔から、縦には伸びるが横には伸びなかった。食べても太らず、運動しても筋肉にならない。家族みんな似たような体系なので、遺伝なのだろう。

「オレの好みは肉付きの良い子なんだけどね」

「……それを言ったら、俺の好みもおっぱいの大きい子なんだけど……」

 ぷるぷるのおっぱいが好きだったはずで、金髪のホストが好みだったはずはないのだが。

「清はそうだよな。マジで、デート中女の子のおっぱい見てるから……」

 カノの指が、乳首をキュッと摘まんだ。

「いあっ!」

「マジでムカつく」

「いや、だって……♥ ん」

「よそ見すんじゃねえよ」

「ひ、んっ……! カノく、乳首……抓んないでっ……♥」

「その顔、マジでチンコ、イラつくわ」

 ビクッと肩を揺らし、カノの下半身を見る。凶悪だったモノが、より凶悪になっている。

(ひええええ……!!)

 顔を赤くしたり青くしたりする清の太腿を、ヒョイと抱え上げ、両足を大きく開かせる。

「いぁっ!? ちょ」

「黙ってろって。清も痛いの嫌だろ」

「いいいいヤだよ!?」

「だったら、大人しくしろ」

 カノの言葉に、グッと唇を結ぶ。

(拒否権は、ないんですかねっ!?)

 口には出さないが、そう思う。

 カノとのセックスには、興味がある。この一回がチャンスかとも思っている。エッチなことは好きだし、アナルが気持ち良いのも解って来た。

 だが。

(せめてあと二回り小さくしてくれっ……!!)

 清は男同士のセックスがどんなものなのか、全く知識がない。かろうじてアナルを使う事だけは知っているが、学生時代に「ゲイビを見てみようぜ」という友人の誘いも「男同士のセックスなんか見たくねえわ」と断っていたし、テレビで見るトランスジェンダーなタレントの話題も、興味なく生きて来た。それだけではない。セクシー女優のアナルもののコンテンツだって、「アナルはな~」と好奇心を出してこなかったのだ。それがまさか、自分で体験することになるとは。

「ローション使えば、もっと楽に挿入出来るでしょ」

 どろりとしたローションが、直に穴にかけられた。不快な感覚に眉を寄せる。そんなもので変わるものかと思っているところに、カノの指が再び侵入してきた。風呂場ではソープを使って挿入されていたが――。

「んひっ……♥」

 ぬぷっと、あっさり指が奥まで入り込む。想像していた抵抗はほとんどなく、カノの指を呑み込んだ。

「なんだ、イケるじゃん」

「あ、あっ……」

 ナカを搔き乱される感触に、膝が震える。二本の指を器用に動かし、じゅぷじゅぷと腸壁を引っ掻きまわす。抜き差しされる感触に、萎えかけていた性器がぴくぴくと反応を示し始めた。

「腰揺れてんぞ。清。気持ち良いんだ?」

「あ! あ、あっ……♥ カノっ……!」

 ローションが足され、指が増える。指をくぱっと押し拡げ、穴を拡げられる。中を覗くように開かれ、羞恥心に体が熱くなった。

「や、ぁ……♥ 見ないでっ……♥」

「へぇ、なんかちょっと、グロいな」

 ぐちゅ、ぐちゅ、と音が響く。恥ずかしい。気持ち良い。見ないで。怖い。興奮する。見て欲しい。感情がぐちゃぐちゃになって、どうしていいか分からなくなる。

 ずるり。カノが指を引き抜いた。清は息を切らしながら、引き抜かれた感触に膝を震わせる。指が抜け出た穴は、ひくひくと蠢いて、息をするようにパクパクと口を開いていた。

「……先っぽだけなら、入るんじゃね」

「――っ、待っ……」

 待って欲しい。制止を掛けようとするも、それよりも早くカノはコンドームを着け、アナルに肉棒の先端を押し付けた。穴が先っぽに吸い付くように、ちゅぷっと音を立てる。

「はは。こっちは、カノくんが欲しいって言ってるぞ。清」

「あ――」

 ビクッと膝を震わせ、清は挿入されて行く様子を凝視した。カノの目元が赤い。興奮している。肉輪をギチギチと押し拡げ、先端が入って行く。

「んっ――!」

 ピリピリと、引きつれるような感覚がする。怖い。本当に入るのだろうか。指とは比べ物にならない質量に、下から杭を穿たれているような感覚に、汗がダラダラと噴き出て来る。

「あ、あ、あ……」

「清っ……、力、抜けっ……」

 カノの手が、清の性器を掴む。上下に扱かれ、ビクンと身体を震わせた。

「ひぅんっ!」

 アナルに入れていた力が抜け、カノがずぷっと先端を押し込んだ。限界まで広がった穴が、ギシギシと音を立てる。

「いっ……♥」

 太い部分が、内部に入り込んだのが解った。穴を拡げられ、そこに居るだけなのに、キチキチと痛む感触の他に、妙な快感がある。

「はぁ……、キツ……」

「あ、あ……、ハァっ……♥」

 カノの額にも、汗が浮いていた。つながった個所が、ドクドクと激しく脈打っている。清は脚をバタつかせ、逃れるように動いたが、すぐにカノに脚を掴まれてしまう。

「も、入らな……」

「ローション、足した方が良いな」

 もう入らないと言っているのに、カノはつながった部分にローションを掛けて、さらに肉棒を押し込んできた。

「んんんっ」

 喉を仰け反らせ、反動に身体を捩る。ローションのせいで滑りやすくなったのか、先ほどよりも奥に入り込んでしまった感覚がある。

「ひ、ぃ……っ……♥ んっ……深いっ……! 怖いっ……」

「大丈夫だよ。血も出てねえし」

「だだだ、だって」

「全然、半分も入ってないし」

「嘘」

 絶対に指が入っていた時より深く挿入されているのに、半分も入っていないなんて。ゾッとして、顔を青くする。カノはハァと息を吐き出し、ゆっくりと揺さぶって来た。

「ひあっ!」

「この辺、擦んのは気持ち良いだろ?」

「い、あっ……♥ んっ……!」

 軽く抜き差しされ、ビクビクと身体を震わせる。鈍い快楽に、じわじわと肌が赤く染まっていく。

「さすがに、全部は挿入れねえから……」

 ハァと息を吐いて、カノが呟く。

「い、い、んっ……♥ カノっ……ん、カノく……♥」

 甘い痺れに、身体が慣れたのか、甘い快楽が清を包んだ。カノに貫かれているという喜びが、ようやく湧いてくる。

「気持ちい? 清……」

「あ、あっ、あ……♥ ん、気持ち、い……♥ 気持ち良……♥ 太すぎるっ……♥」

 うわごとのように繰り返す清に、カノは満足げに笑って唇に噛みつく。

「んっ、ふっ……、あ、あっ♥」

「お前の顔、マジでそそる……。ナカも、あり得ねえくらい良いし…」

 欲望にまみれた顔で、カノが笑う。その顔が魅力的過ぎて、心臓がぎゅうっと痛くなった。

「あ、あっ……♥ んっ……!」

 カノの大きさを覚え込ませるように、執拗に擦られる。その夜、清は一晩中、カノに鳴かされ続けたのだった。







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