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22 もう少し
しおりを挟む支えきれなくなった身体をベッドに投げ出したおれの上に、星嶋が覆い被さってきた。
「ん、ちょっと、重い」
「良いだろ、ちょっとだけ」
そう言って後ろからキスされ、文句を言えずに瞳を閉じる。セックスの余韻を味わう時間は、存外心地良い。
星嶋は満足げに吐息を吐いて、ごろんと横に寝転がった。おれの方に手を伸ばし、髪を撫でてくる。
「もう一回、と言いたいとこだが、時間厳しいか」
「……だね」
名残惜しそうに言われ、ドキッとする。おれも同じ気持ちだから、嬉しかった。
「シャワー、一緒に使う?」
甘い声で囁かれ、顔が熱くなる。星嶋の誘いは魅力的で、抗いがたい。
「うん……」
返事を待たずに、星嶋は起き上がるとおれを抱き抱えた
「あっ、ん」
「ナカ、キレイにしてやるよ」
「っ……」
カァと顔が赤くなるのを見て、星嶋がニヤリと笑った。意地が悪い。
抱えて連れてこられたバスルームだけは、ビジネスホテルとは違ってラブホテルらしかった。全面がガラス張りで、少し広い。
星嶋は浴槽の前におれを立たせ、シャワーを出す。それから手のひらにソープを取った。
「洗ってやる」
「あっ……んっ」
星嶋の手のひらが肌を滑る。わざとなのか、胸を触りながら乳首に指が触れた。
びくんっと身体を震わせ、ハァと息を吐く。おれもソープを手にして星嶋の胸に触れた。星嶋の胸はおれと違って男らしく膨らんでいる。
「おれも、洗う」
逞しい身体を洗っていると、変な気分になる。星嶋も同じなのか、目元が赤かった。
ごく自然に身体を寄せあい、唇を重ねながらピタリと肌をくっ付ける。互いの身体で洗い合うように身を擦りながら、星嶋の手が双丘伸びた。ソープの滑りを借り、アナルに指をぬぷっと挿入する。左右に開かれ、中の精液がとぽぉっと流れ落ちてきた。
「ひぁんっ」
抜け落ちる感覚に、ぞくぞくと身体が粟立つ。星嶋の指はなおもぐちゅぐちゅと動いて、奥に出した精液を掻き出して居るらしかった。
「あっ、ん……」
ソープの泡で滑る身体を星嶋に擦り付け、唇を吸う。
「上遠野……っ」
キスが深くなり、身体が熱くなる。無言の視線が絡まった。シャワーの音だけが響く。
ぐい、と腕を捕まれ、壁に身体を押し付けられる。
「あっ」
片足を担がれ、星嶋の腕に乗せられた。僅かに浮き上がる身体に、星嶋の首にしがみつく。
開かされた足の間に割り入って、星嶋が再び勃起した先端をアナルに押し付けた。
「キレイにしたのに……っん」
「また掻き出してやるよ」
ちゅと音を立ててキスされ、仕方がないと嘯いて星嶋を受け入れる。じゅぷじゅぷとナカを擦られ、身体に火が付いたように熱くなる。何度肌を重ねても、星嶋との行為は甘美で切ない。
「んっ、ん、んぁん……っ、時間、大丈夫っ?」
「最悪、忍び込もう」
寮の外泊許可は申請していない。戻らなければまずいのだが。
(けど)
ヤボ過ぎて、言えるわけがない。
ずぷずぷと腸壁を擦られ、快感にびくんっと身体が跳ねる。揺さぶられ、突き上げられる気持ち良さに、甘い喘ぎが口をついた。
「は、んっ……、星嶋っ、星嶋……んっ」
「あんたの声、堪んない、なっ……!」
ずぷんっ、激しく突き上げられ、背中に爪を立てた。
「―――んっ!」
ドクドクと中に精液が注がれる。ビクンと性器が跳ねる感触を感じて、おれも脚を震わせて星嶋の腹に精を放った。
「――あっ……、ん……」
ピクピクと震える肩を抱かれ、星嶋が唇を重ねる。ぬるぬるする舌が絡まり、終わりのない熱を持て余すように吐息を吐き出した。瞳を開けると、まだ熱っぽい顔をした星嶋と目が合う。互いに無言で、額をこすり合わせながら啄むようなキスを繰り返した。
このまま溺れてしまいそうな魅力に、星嶋の首に抱き着いて身体を寄せる。ドポドポと、浴槽に溜めた湯が音を立てた。
「肩、冷えたな」
肩を撫で、星嶋がそう言う。身体の中は熱いのに、濡れた皮膚は冷たかった。
「……暖まる?」
誘うような瞳でそう言うおれに、星嶋はごくりと喉を鳴らして腰を抱いた。
◆ ◆ ◆
「んぁ、んっ……」
ちゃぷ、と水面が揺れる。浮力がある状態でつながるのは、勝手が違う。動きは自然と鈍くなって、ゆっくりとした行為になった。
(っ……ゆっくり、動くと……星嶋のがっ……)
ぬぷー、ぬぷっと、ゆったりとした動きが、じりじりと快感をもたらす。何度も擦られ敏感になった内部をそう動かれるのは、もどかしくて気持ちがいい。もっとも、動いているのはおれなのだが。
浴槽に浸った状態で、星嶋に跨るようにして挿入された。主導権はおれにあるようで、星嶋にそうさせられているようでもある。星嶋はエッチな顔でおれを見ながら、腰を掴んで下からゆるゆると突き上げる。
「あっ、あん……っ」
「大丈夫? イけそう?」
そう言って星嶋がおれの性器に指を這わせた。ビクッと身体を揺らし、首を振る。
「やっ! ダ、ダメ……、弄らないでっ……」
「なんで、イきたいだろ?」
ぐり、と下から突かれ「ひぅ」と声が上がる。
「ま、待って……」
ガクガクと腕を震わせ、浴槽の縁を掴む。星嶋はニヤニヤ笑う。
「楽しむのは良いけどさぁ、そろそろ帰らないとマジでヤバイよ?」
「んっ、う、うるさいっ」
カァと顔を熱くし、唇を曲げる。そういう訳じゃないもん。たっ、楽しんでたんじゃないもんっ。ちょ、ちょっとだけ、もう少しこうやってたいなーって、思っただけだもん。
図星なのがバレているようで、星嶋は意地悪に笑いながらおれの脚を掴み、体勢を入れ替える。
「ぃ、やんっ」
「任せといたら、終わんねぇよ」
じゅぷん、奥まで突かれ、身体が跳ねた。ばしゃんと浴槽から水がこぼれ、タイルを濡らす。
「あっ! あ、んぁ」
「俺ももう、イかせて……」
掠れた声で囁かれ、ぞくっと背筋が粟立つ。こういう時の星嶋の声は色っぽくて、つい頷いてしまう。
ずぷずぷと出し入れされるたびに、波が押し寄せる。身体はとっくに火照って、熱くて熱くてたまらない。
「出すぞ」と短く言われ、星嶋はもう一度、自分のものみたいに、おれの中に精液を注いだ。
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