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おまけ1 左右は固定です!
しおりを挟む「あっ……、風馬……」
風馬の与える快感に、酔ったように名前を呟く。風馬は蕩けるような笑みを浮かべて俺の手を取って指先に口づけた。
「一太さん、可愛い……」
この後輩の瞳には、俺が何故か可愛く見えるらしい。さんざん言われて来たので、最近は慣れてきたが、相変わらず理解は出来ないものだ。どう見たって壁際男子で腐男子のモブが、可愛いわけがないんだけどね? っていうか、風馬はイケメン(自分と兄)を見すぎて、感覚がおかしくなったんだろうか。
「んっ……」
肌を合わせる気恥ずかしさと、心地よさに頭がクラクラする。こうして風馬に触れていると、時々無性に切ない感情がこみ上げる。こういう瞬間、俺って風馬に心底惚れているのだと思わされる。
ベッドに押し倒され、見上げれば風馬の綺麗な顔がある。風馬は少し余裕がない表情を滲ませながら、ゆっくりと俺を愛撫する。手は壊れ物を扱うみたいに丁寧なのに、瞳はいつも獰猛だ。
「あ、っ……、ん……」
首筋に唇を押し当て、ちゅうと吸われる。何度もキスを繰り返され、その度にビクビクと身体が揺れた。
風馬はやがて体を離すと、自身を奥まった個所にピタリと押し当てる。
「挿入れるよ」
「う……、んっ……!」
宣言と同時に、熱い質量が内部を抉る。風馬とこうして抱き合うようになって、何度も味わった感覚に、ぞくぞくと背筋が震えた。
「あ、あっ……、あ……」
この先に、得も言われぬ快感があるのを、身体は既に知っている。隅々まで風馬で埋めて欲しくて、無意識に足を開いて受け入れる。熱い。ドクドクと脈打つそれを、内部で感じる。
「っ、ん……、ふう、ま……」
風馬が唇を吸い、舌を絡める。互いに密着した箇所が熱くなる。やがて、風馬がゆっくりと抜き差しを繰り返す。その度に内部を擦り上げられ、俺は甘い声を漏らしたのだった。
◆ ◆ ◆
「……ん」
まどろみから目覚めて、すぐに風馬の顔が目に入る。風馬は起きていたらしく、俺と目が合うとニッコリと微笑んだ。
「寝ちゃった……」
「大丈夫です?」
ちゅっと軽くキスをして、頬や瞼に唇を寄せる。くすぐったいけれど、心地いい。風馬が俺を抱き寄せて、ホゥと息を吐いた。まだシ足りなさそうな風馬に、思わず笑ってしまう。まあ、俺もやぶさかではないのだが。
「……一太さん、良い?」
額を擦り合わせてそう強請られ、ポッと頬が熱くなる。まあ、明日は休みだし。
「良いけど――たまには、俺しようか?」
「え?」
「いつも、俺こっち側だし……」
いつも気持ち良くしてもらって、ちょっと申し訳ない気持ちがある。俺ってばアレなのよ。マグロ。正直、何もしてあげてない。というか、何をすればいいか分かっていないというのもある。リクエストは、出来るだけ聞いてあげたいものだ。
取り合えず逆になれば、やりようもあると思うんだが。
「一太さん」
風馬が真面目腐った顔で俺を見た。心なしか、目が泳いでいる気がする。
「ん?」
「一太さん、左右は固定でしょ? だっ……ダメだよ、リバは……」
「え? あー。まあ、そうなんだけど」
そうね。俺ってリバは否定派。左右は移動しないで欲しいタイプ。って、何で知ってるんだろうね?
「サービスしてくれるっていうなら、別の方法で……」
「? まあ、良いけど」
小首を傾げる俺に、風馬が「焦った……」と小さく呟いた。一体、何が焦ったんだろうか。
(解らないけど――まあ、良いか)
風馬がしてくれるというなら、別にこっちには異論がないわけだし。
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