40 / 59
三十九 えっちだ……!
しおりを挟むパサ。という衣擦れの音を立てて、シャツをはだけさせられた。外気に触れた肌が、ざわりと震える。顔が熱い。心臓がバクバクする。風馬の視線を感じた肌が、チリチリと痺れる気がした。サイドテーブルに置いたコーヒーが気になったけれど、言うのは野暮すぎる。俺だって、空気くらい読める。
「一太先輩……」
ちゅ、と音を立てて、風馬の唇が鎖骨に触れる。風馬が触れた個所が熱を持ったように熱くなる。ビクビクと小さく身体を揺らしながら、甘い愛撫に瞳を閉じた。
「んっ……、は……っ」
吐息を漏らす。風馬の触れる箇所が、すべて甘く蕩けていくようだ。
風馬の手が肌を滑る。鎖骨にキスマークを残して、唇が徐々に下へと下がっていく。胸を滑り、その中心の突起を、唇が食む。舌先でいたずらに先端を弄られ、ぞくぞくと背筋が粟立った。
「あっ、あ……ん」
舌先で転がされ、乳首がツンと勃って存在を主張する。こんな風に触れられることは、正直まったく慣れていないのだが、嫌じゃない自分がいて、自分自身に戸惑う。風馬に触れられるのが、嫌じゃない。むしろ、ちょっと好き寄り。
(あたま、ふわふわする……)
敏感な先端の部分を念入りに弄られ、じわじわと熱が浮き上がる。ちゅと音を立てて吸われ、ビクンと身体が跳ねた。
「あっ!」
思いのほか大きな声が出て、咄嗟に口を塞ぐ。
「ふ、風馬っ……、あんま……、虐めない、で……」
「……先輩、煽ってます?」
「あおって、な」
「やっぱ、煽ってる」
ちゅ。胸にキスを落とされる。赤い花が咲く肌に、ドキドキと心臓が鳴った。誰かに、こんな風に扱われた経験は皆無だ。風馬といやらしいことをしていたと思っていたが、とんでもない。
(もっと、エッチだった……!)
互いに処理をするような関係でも、興奮したと言うのに。こんな風に丁寧に愛撫されるのが、恥ずかしいし、気持ち良いし、興奮して、頭がおかしくなりそうだ。まともに、風馬を見られない。風馬はいつもよりずっと色っぽくて、目に毒だ。
風馬はしばらく乳首を弄んでいたが、やがて唇を離し、そのままさらに下へと滑り落ちていく。俺はといえば、ようやく解放され、ホッと息を吐いた。乳首の先端がジンジンする。
「可愛いお臍」
「くっ……お前、なっ」
腹部にキスされ、恥ずかしさに顔が熱くなる。風馬と違って、引き締まった身体などしていない。そのあたりは触れないで欲しい。
「先輩、下も、脱がせて良い?」
「っ……っと、す、好きに、したら……」
お伺いを立てられるのは、かなり恥ずかしい。敢えて確認しないで欲しい気持ちもあるが、風馬が俺を怖がらせないようにしているのは解っているので、そんなことも言えない。もしかしたら言わせたいだけかも知れないけど。
「あ……」
するりとズボンと下着を脱がされ、シャツだけにされる。反応を見せる性器を風馬の目線から隠したくて、さりげなく足を組む。風馬は一度身体を離し、自分も上を脱いだ。美しい肉体を惜しげもなく晒す風馬に、思わず喉を鳴らす。
「っ……」
緊張する。興奮する。脳内麻薬が分泌されているようだ。
(俺、エッチ、しちゃうのかな……)
ドクドクと、心臓が鳴る。まだ心の準備は出来ていない。けど、風馬は多分、俺としたいのだろう。
「ふ、風馬……あの……」
「ん?」
「その……」
不安を滲ませる俺に、風馬がフッと笑う。
「怖がんないで、先輩……。大丈夫だから」
「う、うん」
少しだけ緊張を解いて、風馬を見る。自然と唇が重なり、何度も舌を絡め合う。こんなキスしておいて、最後までしないなんて出来るんだろうか。風馬のことは信用しているけど、それでも少しだけ不安だった。
「一太先輩、ベッド行こう」
耳元で囁かれる声に、脳が破裂しそうだった。
(えっちだ……!)
2
お気に入りに追加
94
あなたにおすすめの小説
目が覚めたら、妹の彼氏とつきあうことになっていた件
水野七緒
BL
一見チャラそうだけど、根はマジメな男子高校生・星井夏樹。
そんな彼が、ある日、現代とよく似た「別の世界(パラレルワールド)」の夏樹と入れ替わることに。
この世界の夏樹は、浮気性な上に「妹の彼氏」とお付き合いしているようで…?
※終わり方が2種類あります。9話目から分岐します。※続編「目が覚めたら、カノジョの兄に迫られていた件」連載中です(2022.8.14)
【完結・R18】28歳の俺は異世界で保育士の仕事引き受けましたが、何やらおかしな事になりそうです。
カヨワイさつき
BL
憧れの職業(保育士)の資格を取得し、目指すは認可の保育園での保育士!!現実は厳しく、居酒屋のバイトのツテで、念願の保育士になれたのだった。
無認可の24時間保育施設で夜勤担当の俺、朝の引き継ぎを終え帰宅途中に揉め事に巻き込まれ死亡?!
泣いてる赤ちゃんの声に目覚めると、なぜか馬車の中?!アレ、ここどこ?まさか異世界?
その赤ちゃんをあやしていると、キレイなお母さんに褒められ、目的地まで雇いたいと言われたので、即オッケーしたのだが……馬車が、ガケから落ちてしまった…?!これってまた、絶対絶命?
俺のピンチを救ってくれたのは……。
無自覚、不器用なイケメン総帥と平凡な俺との約束。流されやすい主人公の恋の行方は、ハッピーなのか?!
自作の"ショウドウ⁈異世界にさらわれちゃったよー!お兄さんは静かに眠りたい。"のカズミ編。
予告なしに、無意識、イチャラブ入ります。
第二章完結。
転生した先のBLゲームの学園で私は何をすればいい?
赤蜻蛉
BL
※分かりづらいので、作品紹介文を変えました。
腐女子がこれからプレイするはずだったBLゲームの世界の中で、モブ男子に転生し腐男子ライフを思いっきり楽しむはずが、なぜか攻略者達に追いかけられ迫られ転がされ・・・・BLライフをリアルでしてしまうのか!?という、簡単に言うとこんな内容です。
元女子部分は途中からほとんど出てきませんが、興味を持てましたらどうぞよろしくお願いします!
BLラブは、わりとありますがどこまで全年齢対応で大丈夫なのか挑戦中です。
俺のパンツが消えた
ルルオカ
BL
名門の水泳部の更衣室でパンツが消えた?
パンツが消えてから、それまで、ほとんど顔を合わせたことがなかった、水泳部のエースと、「ミカケダオシカナヅチ」があだ名の水泳部員が、関係を深めて、すったもんだ青春するBL小説。
百九十の長身でカナヅチな部員×小柄な名門水泳部エース。パンツが消えるだけあって、コメディなR15です。
おまけの「俺のパンツが跳んだ」を吸収しました。
ハイスペックストーカーに追われています
たかつきよしき
BL
祐樹は美少女顔負けの美貌で、朝の通勤ラッシュアワーを、女性専用車両に乗ることで回避していた。しかし、そんなことをしたバチなのか、ハイスペック男子の昌磨に一目惚れされて求愛をうける。男に告白されるなんて、冗談じゃねぇ!!と思ったが、この昌磨という男なかなかのハイスペック。利用できる!と、判断して、近づいたのが失敗の始まり。とある切っ掛けで、男だとバラしても昌磨の愛は諦めることを知らず、ハイスペックぶりをフルに活用して迫ってくる!!
と言うタイトル通りの内容。前半は笑ってもらえたらなぁと言う気持ちで、後半はシリアスにBLらしく萌えると感じて頂けるように書きました。
完結しました。
えっちな美形男子〇校生が出会い系ではじめてあった男の人に疑似孕ませっくすされて雌墜ちしてしまう回
朝井染両
BL
タイトルのままです。
男子高校生(16)が欲望のまま大学生と偽り、出会い系に登録してそのまま疑似孕ませっくるする話です。
続き御座います。
『ぞくぞく!えっち祭り』という短編集の二番目に載せてありますので、よろしければそちらもどうぞ。
本作はガバガバスター制度をとっております。別作品と同じ名前の登場人物がおりますが、別人としてお楽しみ下さい。
前回は様々な人に読んで頂けて驚きました。稚拙な文ではありますが、感想、次のシチュのリクエストなど頂けると嬉しいです。
俺の親友のことが好きだったんじゃなかったのかよ
雨宮里玖
BL
《あらすじ》放課後、三倉は浅宮に呼び出された。浅宮は三倉の親友・有栖のことを訊ねてくる。三倉はまたこのパターンかとすぐに合点がいく。きっと浅宮も有栖のことが好きで、三倉から有栖の情報を聞き出そうとしているんだなと思い、浅宮の恋を応援すべく協力を申し出る。
浅宮は三倉に「協力して欲しい。だからデートの練習に付き合ってくれ」と言い——。
攻め:浅宮(16)
高校二年生。ビジュアル最強男。
どんな口実でもいいから三倉と一緒にいたいと思っている。
受け:三倉(16)
高校二年生。平凡。
自分じゃなくて俺の親友のことが好きなんだと勘違いしている。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる