モブ男子は寮内観察がしたいのです!~腐男子モブはイケメン後輩に翻弄されてます~

藤掛ヒメノ@Pro-ZELO

文字の大きさ
上 下
33 / 59

三十二 おかしくなりそう

しおりを挟む



 栗原の腕に抱かれたまま、額や瞼、頬にキスされる。なんだか恥ずかしい。

(本当に、マジで、俺のこと好きなのか……)

 驚きすぎて、実感がわかない。イケメンなのに趣味が悪い。

「っ、く、栗原……。もう、やめて」

「嫌です」

「せ、せめて、下、履かせて……。いい加減、冷えて……」

「は?」

 怒気を孕んだ声に、ビクッと肩を揺らす。

「先輩、まさかこのまま何もしないと思ってんの?」

「ひ、ひええぇえ……」

 やっぱり? そうなる?

「な、何かするの……?」

 自分でも白々しいとは思うが、恐る恐る確認してみる。

「しますよ、そりゃあ、色々と」

「いっ、色々」

 栗原の指が、胸のあたりに触れる。ぞくっと、皮膚が震えた。Tシャツの上から乳首をなぞられる感覚に、ビクビクと身体が跳ねる。

 こんな感覚、味わったことがない。そんな場所、触ったことなどない。

「あ、あっ……」

「乳首……も、触ってみたかったんです」

「ふぁ、あ……。や、やだ……、嘘」

 おかしいよ。なんでちょっと気持ち良いの? あれはファンタジーの話じゃん。

「先輩、感じてる?」

「あ、あっ……」

 ヤバい。ヤバいって。このままじゃハード系BL漫画みたいに乳首イキ出来るように開発されてしまう。

 栗原の手を押さえつけ、左右に首を振る。栗原が唇に薄く笑みを浮かべた。

「先輩、可愛い……」

 蕩けるような笑みでそう呟く栗原に、俺は顔を背ける。可愛いとか、マジであり得ないんだけど。

「今っ、史上最高に不細工だからっ……、見るな、よっ…」

 酷い顔になってるって、見なくても解る。こんな顔、見られたくない。

「何言ってるんですか。こんなに可愛いのに」

「ふざけっ……、わっ!」

 栗原が服の裾を持ち上げ、首もとまで捲り上げる。殆ど裸にされてしまって、恥ずかしさに顔が熱くなった。

「ちょ、ベッドの上で裸になるの嫌なんだけど!」

「……もしかして先輩、童貞……」

「ちゃ、ちゃうわっ!」

 動揺して変な声が出てしまった。嘘じゃないのに、嘘っぽい。

「まあ、良いですけど――脱がなきゃ、色々できないでしょ。まあ、着衣がお好みって言うなら、それでも良いですけど」

 そう言って、栗原は自分の羽織っていたトレーナーを脱ぎ捨てた。栗原の肌に、ドクンと心臓が跳ね上がる。ひとには嫌だと言っておきながら、他人のはついガン見してしまう。

 視線に気づいたのか、栗原が笑う。バカにされてる気がする。

「先輩、観察好きですもんね」

「う、うるさいわ」

「良いですよ。見て。先輩のものですから」

「っ」

 手を掴まれ、栗原の胸に導かれる。

(っ、こ、これは、栗原が触らせて来たんだし……)

 吸い付くような、滑らかな肌。弾力のある筋肉。意外に、筋肉があるんだ。俺と違って、胸筋があるし、少しお腹も割れている。俺ってばポヨポヨなんだけど。

(自分が恥ずかしくなってくるな……しかし、俺の、もの……か)

 ごくり。この美しい身体が、俺のものだっていうのか。いやいや、あくまでも栗原のものだろ。ただ、触れて良いと許可を貰っただけだ。恋人だからって、勝手に触れて良いわけじゃないんだ。勘違いするなよ。

(顔も身体もカッコいいんだもんな……)

 しかも性格だって良いし。社交的だし。声も良い。神様が贔屓して作ったに違いない。良くやった。最高だ。

「先輩の乳首、可愛いですね」

「っ、こらっ……」

 直接触れられ、ぴくんと身体が揺れる。甘い痺れに、腰がざわめいた。

「ピンク色で、触って欲しいみたいですよ。ほら、勃ってる」

「おっ、お前、言葉責めするタイプなのっ?」

「事実を言ってるだけですよ。まあ――先輩、好きでしょ? こういうの」

「っ、……」

 大好物です。

 ああ、自分に言われてるんじゃなければ。くそ、恥ずかしい。BL漫画のキャラたちは、こんな恥ずかしい思いをしてたのか? 客観的に見てたら「良いわー、萌えるわー」って思ってたのに。自分事になると、恥ずかしくて死にたくなる。

「栗、原っ……」

 もう辞めてと、手を握ると、栗原は今度は唇を近付けてきた。首筋にキスされ、そこからゆっくりと、キスを落としていく。鎖骨、胸、また鎖骨……何度も胸元にキスされ、その度にピクピクと身体が跳ねる。

「あ、あ……ん」

 呼吸が浅くなって、だんだんと意識が朦朧としてくる。少しずつ、体温が上昇するのと同時に、とろかされていくようだ。

 栗原の唇が、胸の突起に触れた。軽く、先端にキスされ、ぞく、と背筋が粟立つ。そのまま赤い舌を伸ばして、舌先で先端をつつくように転がされる。

(あ、たま――変に、なりそ……)

 ジンジンと甘い痺れが疼き出す。栗原は舌先で先端をいじくり、乳輪を舐めるように舌を動かし、やがて先端を咥え込んでちゅうっと吸い上げた。

「っ、あ!」

 ひときわ強い刺激に、身体を捩る。ベッドが軋んで音を立てた。

(あ、俺)

 下腹部に溜まる熱に、カァと顔が熱くなる。乳首を弄られて、勃ってしまった。

 栗原に知られたくなくて、モゾモゾと誤魔化すように身を捩る。

「先輩、どうしたの?」

「っ」

「ん? ああ――」

 気づかれた。

 栗原の手が、軽く上を向いた性器に伸びる。ビクッと膝を揺らして逃げようとするが、栗原が脚を膝で押さえつけてしまい、逃げられなかった。

「先輩が気持ち良くなってくれて、嬉しい」

「ば、ばか……恥ずかしいこと、言うなって」

「俺のも」

 栗原が自身を押し当てる。何もしていないのに、すでにパンパンに膨らんでいる。

 何度も、触れたのに。何故かいつもより、ドキドキした。

「……栗原」

 ハァ、と吐息を吐き出し、名前を呼ぶ。栗原の手が腰に伸びた。

「!」

 固まった俺に、栗原が笑う。

「先輩怖がってるのに、無理しないですよ。今日は、やらないです」

「ほ、本当に……?」

 ホッとして、緊張を緩める。でも『今日は』なんだよなあ。後々には絶対やるぞって、顔に書いてある。どうしようか。

 栗原はベッドの横にある棚に手を伸ばし、中から何かを取り出した。見覚えのあるボトルに、ビクッと肩が揺れる。

「ちょ、ちょ、今日はしないって言ったよね!?」

 どう見てもローションなんですが。入れないって言ったのに!

 泣きそうな俺に、栗原は唇を曲げて、不満そうな顔をする。

「やらないって、言ったでしょ。信用ないなあ……」

「だ、だって」

「まあ、待ってよ」

 そう言って栗原はローションを手に取ると、俺の性器に擦り付けた。

「ふぁ、あっ……!」

 ローションの滑りが、気持ち良くて、ゾクゾクと背筋が震える。いつもとは違う、もっと、何か。

「あ、あ……栗原っ……」

 栗原はしばらく俺の性器を弄んだあと、手を離してしまった。刺激がなくなり、物足りなさに栗原を見上げる。

「栗原……?」

 ローションを追加し、栗原は自身の性器にも塗りつけた。そのまま、俺の膝に手を掛け、脚の間に性器を挟む。

「っ!」

(これって……)

 知ってるぞ。エッチなBLで見たヤツ。素股ってヤツだ!

「ふぁ、ちょ」

「一緒に、気持ち良くなろ? 先輩」

 可愛く小首を傾げてそう言われ、脳内でイエスと反射的に返事する。だが、可愛いのは一瞬だった。

 ずちゅ、と擦り上げられ、ビクッと背筋がしなる。栗原は獰猛な獣みたいな目付きで俺をくみしいて、太股に腰を打ち付ける。

「あっ! あ、あっ……!」

「先輩っ……、鈴木先輩っ……!」

「ん、あ……! 栗、原っ……!」

 大型犬だと思ったら、狼犬だった。腰を揺らす度、ギシギシとベッドが悲鳴をあげる。

 互いのを擦るのなんか、今までだってやって来たのに。全然、違う。

「あ、あ――っ! これっ、も、セックス、じゃんっ……!」

「全然、違いますよっ……。でも」

 栗原が、唇噛みつく。擦られながら舌を吸われ、脳が溶けそうだった。

「少し、先輩を抱いてるみたいです……」

 俺は、抱かれてるみたいだよ。

 朦朧とした意識で俺は、甘えん坊の大型犬みたいな栗原の首に、腕を回して引き寄せた。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

ハンターがマッサージ?で堕とされちゃう話

あずき
BL
【登場人物】ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ハンター ライト(17) ???? アル(20) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 後半のキャラ崩壊は許してください;;

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!

灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。 何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。 仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。 思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。 みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。 ※完結しました!ありがとうございました!

平凡ハイスペックのマイペース少年!〜王道学園風〜

ミクリ21
BL
竜城 梓という平凡な見た目のハイスペック高校生の話です。 王道学園物が元ネタで、とにかくコメディに走る物語を心掛けています! ※作者の遊び心を詰め込んだ作品になります。 ※現在連載中止中で、途中までしかないです。

日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが

五右衛門
BL
 月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。  しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──

陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 まったり書いていきます。 2024.05.14 閲覧ありがとうございます。 午後4時に更新します。 よろしくお願いします。 栞、お気に入り嬉しいです。 いつもありがとうございます。 2024.05.29 閲覧ありがとうございます。 m(_ _)m 明日のおまけで完結します。 反応ありがとうございます。 とても嬉しいです。 明後日より新作が始まります。 良かったら覗いてみてください。 (^O^)

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

【完結】極貧イケメン学生は体を売らない。【番外編あります】

紫紺
BL
貧乏学生をスパダリが救済!?代償は『恋人のフリ』だった。 相模原涼(さがみはらりょう)は法学部の大学2年生。 超がつく貧乏学生なのに、突然居酒屋のバイトをクビになってしまった。 失意に沈む涼の前に現れたのは、ブランドスーツに身を包んだイケメン、大手法律事務所の副所長 城南晄矢(じょうなんみつや)。 彼は涼にバイトしないかと誘うのだが……。 ※番外編を公開しました(10/21) 生活に追われて恋とは無縁の極貧イケメンの涼と、何もかもに恵まれた晄矢のラブコメBL。二人の気持ちはどっちに向いていくのか。 ※本作品中の公判、判例、事件等は全て架空のものです。完全なフィクションであり、参考にした事件等もございません。拙い表現や現実との乖離はどうぞご容赦ください。 ※4月18日、完結しました。ありがとうございました。

処理中です...