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二十五 エスカレートしてる気がする。
しおりを挟む寮に戻って一息吐いたところで、部屋に乱入する者があった。俺の部屋にノックなしで入ってくるのは、同期の吉田以外には栗原だけである。なお、吉田はめったにやって来ない。
「鈴木先輩ー」
「お。お帰り。遅かったな」
そのままフラフラと俺の方にやって来て、抱き枕みたいにぎゅっと抱き締められる。よほど疲れたらしい。
苦笑して背中をポンポンと叩いてやる。
「飯は?」
「食べてない」
「なんだ、コンビニで買ってきてやれば良かったな」
今さっきコンビニに行ったのに、結局店には入らなかった。
「確か、レトルトの飯と親子丼があるよ」
そう言って栗原を引き剥がし、戸棚を物色する。備えの良い先輩は、こうして非常食を持っているのだ。
「ここで食べて良い?」
「良いよ。まずは暖めに行こう」
「うん」
電子レンジがあるのは一階のラウンジだ。二人で連れだってラウンジに向かい、俺はついでにコーヒーを入手して部屋へと戻った。
「ふぅ、一息吐いた……」
「良かったな」
レトルトの親子丼を食べ終え、栗原がホッと息を吐く。たまには、こういう飯も仕方がない。
空いた容器を片付けていると、不意に栗原が背後から手を伸ばして、俺の肩を掴んだ。
「ん?」
そのままグイと引っ張られ、後ろから抱き締められる。
「く、栗原っ?」
この体勢は、ちょっと恥ずかしい。後輩にすっぽり抱き締められている構図を想像して、カァと頬が熱くなった。
「先輩」
囁き声に、ビクッと肩が揺れる。熱っぽい、少し掠れた声に、胃の辺りがキュッと締め付けられた。
「く――」
「触らせて、先輩」
「っ」
俺が何か言う前に、栗原の手がスエットの中に忍び込む。下着に手を突っ込まれ、中心を握られて、ビクッと身体が震えた。
「あ――っ」
まだ熱を帯びていない中心を、そっと撫でるように触れられる。他人の手による快楽が、ゾクゾクと背筋を駆け抜けた。
「っ、栗原っ……」
「鈴木先輩……」
ビク、ビクと、大袈裟なくらい、膝が揺れる。背後から抱かれたままされるのは、初めてだった。
(っ、ちょ、この体勢っ……)
背中にピッタリと、栗原の身体がくっ付けられている。耳許に、息がかかる。すぐ隣で、栗原の息づかいと声が聞こえて、頭が変になりそうだ。
あっという間に勃起させられ、ぐちぐちと先走りの粘液を塗り込めるように弄られた。栗原は既に、俺の良い場所を知っているようで、的確で、巧みだ。
「あ、あ……っ、ん……栗原っ……」
ビクビクと肩を揺らしながら、背後に手を伸ばす。栗原のもしてあげないと。一方的にされるのは、違うだろう。
「っ……ん、は……っ、栗原、も……」
俺が言いたいことを察して、栗原が顔を近づけてきた。すぐそばに顔を寄せられ、ドキリと心臓が跳ねる。
「俺は、後からで」
「っ、でもっ……あっ!」
先端を引っ掻かれ、ビクッと身体が大きく揺れた。栗原が口許に笑みを浮かべる。
「今は、先輩のえっちな顔、見せてよ」
「――っ、なに、言ってっ……!」
「可愛いから」
「ふざ、けんなっ……っん」
何が楽しくて、ブサイクのイキ顔みようとしてるんだよ!
見られてなるかと、顔を背けるが、栗原が顎を掴んで、それを許してくれない。
「っ、バカっ……!」
「先輩……。鈴木先輩……」
「っ、ん」
首筋に顔を埋めて名前を呼ぶ栗原に、心臓がキュンキュンと痛む。イケメンって得だ。何をしても許しちゃう。
(くそっ……)
栗原の手が、激しくなる。刺激に耐えられず、結局俺は栗原にイキ顔をしっかり見られて、彼の手の中に精液を放ってしまった。
◆ ◆ ◆
結局、栗原のを抜いてやっている最中に、もう一度イかされる羽目になった。くそっ。
(俺、そんな性欲強くない方なのに……)
こんな風になる前は、俺ってどうしていたんだろうか。今となっては思い出せない。
「先輩」
栗原が頬に触れてきた。仕草に、ドキリとする。
「シャワー、浴びに行きましょうか」
「……だな」
はぁと溜め息を吐いて、気だるい身体を無理やり動かしたのだった。
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