26 / 59
二十五 エスカレートしてる気がする。
しおりを挟む寮に戻って一息吐いたところで、部屋に乱入する者があった。俺の部屋にノックなしで入ってくるのは、同期の吉田以外には栗原だけである。なお、吉田はめったにやって来ない。
「鈴木先輩ー」
「お。お帰り。遅かったな」
そのままフラフラと俺の方にやって来て、抱き枕みたいにぎゅっと抱き締められる。よほど疲れたらしい。
苦笑して背中をポンポンと叩いてやる。
「飯は?」
「食べてない」
「なんだ、コンビニで買ってきてやれば良かったな」
今さっきコンビニに行ったのに、結局店には入らなかった。
「確か、レトルトの飯と親子丼があるよ」
そう言って栗原を引き剥がし、戸棚を物色する。備えの良い先輩は、こうして非常食を持っているのだ。
「ここで食べて良い?」
「良いよ。まずは暖めに行こう」
「うん」
電子レンジがあるのは一階のラウンジだ。二人で連れだってラウンジに向かい、俺はついでにコーヒーを入手して部屋へと戻った。
「ふぅ、一息吐いた……」
「良かったな」
レトルトの親子丼を食べ終え、栗原がホッと息を吐く。たまには、こういう飯も仕方がない。
空いた容器を片付けていると、不意に栗原が背後から手を伸ばして、俺の肩を掴んだ。
「ん?」
そのままグイと引っ張られ、後ろから抱き締められる。
「く、栗原っ?」
この体勢は、ちょっと恥ずかしい。後輩にすっぽり抱き締められている構図を想像して、カァと頬が熱くなった。
「先輩」
囁き声に、ビクッと肩が揺れる。熱っぽい、少し掠れた声に、胃の辺りがキュッと締め付けられた。
「く――」
「触らせて、先輩」
「っ」
俺が何か言う前に、栗原の手がスエットの中に忍び込む。下着に手を突っ込まれ、中心を握られて、ビクッと身体が震えた。
「あ――っ」
まだ熱を帯びていない中心を、そっと撫でるように触れられる。他人の手による快楽が、ゾクゾクと背筋を駆け抜けた。
「っ、栗原っ……」
「鈴木先輩……」
ビク、ビクと、大袈裟なくらい、膝が揺れる。背後から抱かれたままされるのは、初めてだった。
(っ、ちょ、この体勢っ……)
背中にピッタリと、栗原の身体がくっ付けられている。耳許に、息がかかる。すぐ隣で、栗原の息づかいと声が聞こえて、頭が変になりそうだ。
あっという間に勃起させられ、ぐちぐちと先走りの粘液を塗り込めるように弄られた。栗原は既に、俺の良い場所を知っているようで、的確で、巧みだ。
「あ、あ……っ、ん……栗原っ……」
ビクビクと肩を揺らしながら、背後に手を伸ばす。栗原のもしてあげないと。一方的にされるのは、違うだろう。
「っ……ん、は……っ、栗原、も……」
俺が言いたいことを察して、栗原が顔を近づけてきた。すぐそばに顔を寄せられ、ドキリと心臓が跳ねる。
「俺は、後からで」
「っ、でもっ……あっ!」
先端を引っ掻かれ、ビクッと身体が大きく揺れた。栗原が口許に笑みを浮かべる。
「今は、先輩のえっちな顔、見せてよ」
「――っ、なに、言ってっ……!」
「可愛いから」
「ふざ、けんなっ……っん」
何が楽しくて、ブサイクのイキ顔みようとしてるんだよ!
見られてなるかと、顔を背けるが、栗原が顎を掴んで、それを許してくれない。
「っ、バカっ……!」
「先輩……。鈴木先輩……」
「っ、ん」
首筋に顔を埋めて名前を呼ぶ栗原に、心臓がキュンキュンと痛む。イケメンって得だ。何をしても許しちゃう。
(くそっ……)
栗原の手が、激しくなる。刺激に耐えられず、結局俺は栗原にイキ顔をしっかり見られて、彼の手の中に精液を放ってしまった。
◆ ◆ ◆
結局、栗原のを抜いてやっている最中に、もう一度イかされる羽目になった。くそっ。
(俺、そんな性欲強くない方なのに……)
こんな風になる前は、俺ってどうしていたんだろうか。今となっては思い出せない。
「先輩」
栗原が頬に触れてきた。仕草に、ドキリとする。
「シャワー、浴びに行きましょうか」
「……だな」
はぁと溜め息を吐いて、気だるい身体を無理やり動かしたのだった。
11
お気に入りに追加
94
あなたにおすすめの小説
えっちな美形男子〇校生が出会い系ではじめてあった男の人に疑似孕ませっくすされて雌墜ちしてしまう回
朝井染両
BL
タイトルのままです。
男子高校生(16)が欲望のまま大学生と偽り、出会い系に登録してそのまま疑似孕ませっくるする話です。
続き御座います。
『ぞくぞく!えっち祭り』という短編集の二番目に載せてありますので、よろしければそちらもどうぞ。
本作はガバガバスター制度をとっております。別作品と同じ名前の登場人物がおりますが、別人としてお楽しみ下さい。
前回は様々な人に読んで頂けて驚きました。稚拙な文ではありますが、感想、次のシチュのリクエストなど頂けると嬉しいです。
【完結】巨人族に二人ががりで溺愛されている俺は淫乱天使さまらしいです
浅葱
BL
異世界に召喚された社会人が、二人の巨人族に買われてどろどろに愛される物語です。
愛とかわいいエロが満載。
男しかいない世界にトリップした俺。それから五年、その世界で俺は冒険者として身を立てていた。パーティーメンバーにも恵まれ、順風満帆だと思われたが、その関係は三十歳の誕生日に激変する。俺がまだ童貞だと知ったパーティーメンバーは、あろうことか俺を奴隷商人に売ったのだった。
この世界では30歳まで童貞だと、男たちに抱かれなければ死んでしまう存在「天使」に変わってしまうのだという。
失意の内に売られた先で巨人族に抱かれ、その巨人族に買い取られた後は毎日二人の巨人族に溺愛される。
そんな生活の中、初恋の人に出会ったことで俺は気力を取り戻した。
エロテクを学ぶ為に巨人族たちを心から受け入れる俺。
そんな大きいの入んない! って思うのに抱かれたらめちゃくちゃ気持ちいい。
体格差のある3P/二輪挿しが基本です(ぉぃ)/二輪挿しではなくても巨根でヤられます。
乳首責め、尿道責め、結腸責め、複数Hあり。巨人族以外にも抱かれます。(触手族混血等)
一部かなり最後の方でリバありでふ。
ハッピーエンド保証。
「冴えないサラリーマンの僕が異世界トリップしたら王様に!?」「イケメンだけど短小な俺が異世界に召喚されたら」のスピンオフですが、読まなくてもお楽しみいただけます。
天使さまの生態についてfujossyに設定を載せています。
「天使さまの愛で方」https://fujossy.jp/books/17868
目が覚めたら、妹の彼氏とつきあうことになっていた件
水野七緒
BL
一見チャラそうだけど、根はマジメな男子高校生・星井夏樹。
そんな彼が、ある日、現代とよく似た「別の世界(パラレルワールド)」の夏樹と入れ替わることに。
この世界の夏樹は、浮気性な上に「妹の彼氏」とお付き合いしているようで…?
※終わり方が2種類あります。9話目から分岐します。※続編「目が覚めたら、カノジョの兄に迫られていた件」連載中です(2022.8.14)
俺をハーレムに組み込むな!!!!〜モテモテハーレムの勇者様が平凡ゴリラの俺に惚れているとか冗談だろ?〜
嶋紀之/サークル「黒薔薇。」
BL
無自覚モテモテ勇者×平凡地味顔ゴリラ系男子の、コメディー要素強めなラブコメBLのつもり。
勇者ユウリと共に旅する仲間の一人である青年、アレクには悩みがあった。それは自分を除くパーティーメンバーが勇者にベタ惚れかつ、鈍感な勇者がさっぱりそれに気づいていないことだ。イケメン勇者が女の子にチヤホヤされているさまは、相手がイケメンすぎて嫉妬の対象でこそないものの、モテない男子にとっては目に毒なのである。
しかしある日、アレクはユウリに二人きりで呼び出され、告白されてしまい……!?
たまには健全な全年齢向けBLを書いてみたくてできた話です。一応、付き合い出す前の両片思いカップルコメディー仕立て……のつもり。他の仲間たちが勇者に言い寄る描写があります。
転生した先のBLゲームの学園で私は何をすればいい?
赤蜻蛉
BL
※分かりづらいので、作品紹介文を変えました。
腐女子がこれからプレイするはずだったBLゲームの世界の中で、モブ男子に転生し腐男子ライフを思いっきり楽しむはずが、なぜか攻略者達に追いかけられ迫られ転がされ・・・・BLライフをリアルでしてしまうのか!?という、簡単に言うとこんな内容です。
元女子部分は途中からほとんど出てきませんが、興味を持てましたらどうぞよろしくお願いします!
BLラブは、わりとありますがどこまで全年齢対応で大丈夫なのか挑戦中です。
気弱な暴君~ヤンキー新入社員、憧れの暴走族の元総長にエッチなお仕置きされてます~
藤掛ヒメノ@Pro-ZELO
BL
新入社員である岩崎は、今年から夕暮れ寮に入寮したピンク色の髪が特徴の青年だ。
岩崎はひょんなことから仲良くなった『仏の鮎川』と呼ばれる男を見る度に、何か妙な違和感を抱いていた。
ある時、岩崎は鮎川が、かつて自分が憧れていた暴走族『死者の行列』の総長だと気が付いて、過去を知られたくない鮎川にエッチな口封じをされてしまって――!
元暴走族総長×ピンク髪ヤンキーのちょっとエッチなラブコメディ
夕暮れ寮シリーズ 第四弾。
ハイスペックストーカーに追われています
たかつきよしき
BL
祐樹は美少女顔負けの美貌で、朝の通勤ラッシュアワーを、女性専用車両に乗ることで回避していた。しかし、そんなことをしたバチなのか、ハイスペック男子の昌磨に一目惚れされて求愛をうける。男に告白されるなんて、冗談じゃねぇ!!と思ったが、この昌磨という男なかなかのハイスペック。利用できる!と、判断して、近づいたのが失敗の始まり。とある切っ掛けで、男だとバラしても昌磨の愛は諦めることを知らず、ハイスペックぶりをフルに活用して迫ってくる!!
と言うタイトル通りの内容。前半は笑ってもらえたらなぁと言う気持ちで、後半はシリアスにBLらしく萌えると感じて頂けるように書きました。
完結しました。
異世界に転生してもゲイだった俺、この世界でも隠しつつ推しを眺めながら生きていきます~推しが婚約したら、出家(自由に生きる)します~
kurimomo
BL
俺がゲイだと自覚したのは、高校生の時だった。中学生までは女性と付き合っていたのだが、高校生になると、「なんか違うな」と感じ始めた。ネットで調べた結果、自分がいわゆるゲイなのではないかとの結論に至った。同級生や友人のことを好きになるも、それを伝える勇気が出なかった。
そうこうしているうちに、俺にはカミングアウトをする勇気がなく、こうして三十歳までゲイであることを隠しながら独身のままである。周りからはなぜ結婚しないのかと聞かれるが、その追及を気持ちを押し殺しながら躱していく日々。俺は幸せになれるのだろうか………。
そんな日々の中、襲われている女性を助けようとして、腹部を刺されてしまった。そして、同性婚が認められる、そんな幸せな世界への転生を祈り静かに息を引き取った。
気が付くと、病弱だが高スペックな身体、アース・ジーマルの体に転生した。病弱が理由で思うような生活は送れなかった。しかし、それには理由があって………。
それから、偶然一人の少年の出会った。一目見た瞬間から恋に落ちてしまった。その少年は、この国王子でそして、俺は側近になることができて………。
魔法と剣、そして貴族院など王道ファンタジーの中にBL要素を詰め込んだ作品となっております。R指定は本当の最後に書く予定なので、純粋にファンタジーの世界のBL恋愛(両片思い)を楽しみたい方向けの作品となっております。この様な作品でよければ、少しだけでも目を通していただければ幸いです。
GW明けからは、週末に投稿予定です。よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる