上 下
13 / 46

13 僅かな気まずさ

しおりを挟む


 挿入の快感に、電流が身体に走ったようにビクビクと身体が震える。ゾクゾクっと皮膚がざわめき、足がひくひくと痙攣した。

「あっ、あ、あっ……!」

 ビクッ! と身体をしならせ、どろりとした粘液を性器から吐き出す。良輔が上から呆れた顔で見下ろす。

「もうイったの? 俺まだ一回もイってないのに、お前もう二回もイったじゃん」

「っ……、うるさいっ……」

 実をいうと三回目なのだが、良輔はドライでイくという概念がないのか気づいていないようだ。挿入されただけでイくとか、本当にあり得ない。これも、良輔が敏感なとこばかり弄るから。

 ハァハァと息を荒らげながら、良輔の腕に爪を立てる。良輔の太い性器が、肉輪を押し広げてぐりぐりと内部を抉る。ドクドクと脈打つのが自分の方なのか、良輔の方なのか分からない。ただ、先ほどから連続でイっているせいで、酷く敏感になっていた。

(っ、無理っ……今、擦られたら……)

 じわりと、快感に涙が滲む。少し待って欲しいのに、良輔はずるっと腰を引き抜いた。

「っ――!!」

 大げさなほど身体を跳ねらせ、声にならない悲鳴を上げる。

「っぁ! 待っ……!」

「ホント、俺のすんなり挿入っちゃうんだもんな……」

 脚を掴んで、根元まで押し付けられる。深いところまでねじ込まれ、「ぐ、んぅ」とくぐもった声が唾液と共にこぼれた。

「百人くらい咥えて来たって? マジで言ってんの?」

「っ、そ、だよっ……悪いかよっ……」

「……」

 じゅぷんっ! 楔を穿つように突かれ、腹が重くなる。

「どう計算したら百になんだよ……。おかしいだろ」

「おかしく、ねーよ……。乱交パーティとか、十人、二十人規模、だしっ……あっ!」

「は?」

 良輔は知らないのだろうが、淫らな集いというのはあるものだ。もちろん十人二十と集まった場合は、ネコ役も数人いるわけで、全員とヤったわけではないが。そういう集いに限って、集まってくるのは見た目は普通のサラリーマンといった風情ばかりだから、世の中狂っている。

 心なしか、良輔の動きが乱暴になる。気が狂いそうになるほど執拗に擦られ、喘ぎと唾液しか口から出なくなる。

「お前っ、ふざけんなよ……っ」

「んぁ、あっ! あ、あ!」

 ぐりゅっと抉りながら、身体をうつぶせにされる。背後から腰を掴まれ、獣のように荒々しく貫かれた。

「あっ、あっ!!」

(ヤバ……、飛んじゃう……っ)

 気持ち良すぎて、意識が怪しくなる。喘ぎを漏らしながら髪を振り乱し、涙と唾液でべとべとの顔をシーツに擦る。

「あ、あっ、気持ちっ……、あ! んぁっ!」

「渡瀬っ……」

 良輔の手がぐっと腰のあたりを掴んだ。ハートの痣があるあたりを、良輔の親指が強く押す。

「渡瀬、渡瀬っ……」

「んっ――!!」

 良輔の性器が中でビクンと震えた。激しく腰を打ち付け、腸内に精液が吐き出される。その感触に、俺もビクビクッと身体を震わせ、シーツの上に精液を吐き出す。膝がガクガク震えて、力が抜ける。へたっとベッドに崩れた俺の腰を、良輔が掴んで引き寄せる。

「んぁ、ん?」

 そのまま背後からしっかり抱きしめられる。人肌の暖かさに、心臓がきゅうっと高鳴った。

「っ良輔……」

 ちゅう、と首にキスされ、ぴくんと身体が跳ねた。良輔の手が前に伸び、腰をさわさわと撫でる。

「ん、ちょっ……」

 腰から太腿に手が伸び、脚を開かされる。挿入されたままの肉棒が、硬度を増す。

「良輔……っ、少し休憩……」

「俺相手だからって手抜くなよ。乱交が好きなんだろ。余裕だろ」

「っ、いや……それは」

 そういう時はこんなハイペースでヤらないんだから、もっと余裕がある。そう言い訳したかったが、良輔はいずれにしてもやめる気配はなかった。下からゆさゆさと揺さぶられ、乳首を弄られる。

「っ、あっ……、あ……」

 徐々に動きが激しくなり、ズンズンと突き上げられる。先に放った精液がぬちゅぬちゅと卑猥な音を立てた。

「ぅん、んっ、あっ、んあっ!」

「っ、は……、渡瀬っ……」

 掠れた声が耳元にかかって、ゾクゾクと背筋が震える。良輔の行為はどこか執着されているようで、堪らない。キスが欲しくて振り返ったが、良輔は耳を噛んだだけで唇には触れなかった。代わりに、指を口に押し込まれる。

「んぁ、んぐ……」

 指が舌を弄び、咥内を犯す。キスが欲しいと知っている癖に、セックスはする癖に、キスはしない。良輔の線引きに、胸がモヤモヤした。

 やがて突き上げる動きが激しくなり、二度目の精液を腸内に放たれる。少し遅れて、俺も薄い精液を放った。

「あ、あ――……」

 ぐったりと、ベッドに倒れ込む。ずるりと、アナルから肉棒が抜け落ちた。穴がなんだかスースーする。入れっぱなしでヤられたせいで、緩くなってしまったのかもしれない。どろりと、粘液が息を吐くたびに零れ出る。

「はぁ……はぁ……」

 荒い呼吸を整える俺の上に、良輔が覆いかぶさる。頬にキスされ、瞼を開けた。

「口にして……」

「嫌だ」

 即答され、ムッと口を結ぶ。何でだ。

 ごろんとベッドに転がり、互いに抱き合って脚を絡める。キスは嫌だと言いながら、良輔は顔中にキスをした。

「ん、……気持ち良かった……」

「……もう一回しようか?」

 腰を撫でられ、ビクッと身体を震わせる。巨根の上に、絶倫かよ。こっちの身が持たない。

 無理だと伝えると、また「乱交好きな癖に」と言われそうなので言い訳を探す。良輔に比べたら、どいつもゴボウみたいなもんだ。質量が大きいモノを突っ込まれている方の身になって欲しい。

(クソ、この間まで童貞だった癖に……)

 良いようにされた気がする。こっちのほうが絶対に経験は多いはずなのに、何故なのか翻弄されてしまった。

「いや、そろそろ出よう。追加料金取られる」

「なるほど……」

 俺の言葉に納得して、良輔は真顔になった。考えてみれば恋人でもないのに一緒に来て、他と遊ばずに連れとヤるなんて、すごく不毛だ。

「まあ、シャワー浴びて帰ろうぜ……」

 ぐったりした身体を起こして、髪をかき上げる。本来ならこんな激しいセックスをする予定じゃなかったのに。先にシャワーも浴びなかったし。まあ、良輔相手だから良いけどさ。

 どことなく気まずさを残したまま、俺たちはシャワーを浴びて、店を出た。店を出るころには二人とも無言で、俺はなんとなく、もうこの店に来ないような気がした。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【R18】奴隷に堕ちた騎士

蒼い月
BL
気持ちはR25くらい。妖精族の騎士の美青年が①野盗に捕らえられて調教され②闇オークションにかけられて輪姦され③落札したご主人様に毎日めちゃくちゃに犯され④奴隷品評会で他の奴隷たちの特殊プレイを尻目に乱交し⑤縁あって一緒に自由の身になった両性具有の奴隷少年とよしよし百合セックスをしながらそっと暮らす話。9割は愛のないスケベですが、1割は救済用ラブ。サブヒロインは主人公とくっ付くまで大分可哀想な感じなので、地雷の気配を感じた方は読み飛ばしてください。 ※主人公は9割突っ込まれてアンアン言わされる側ですが、終盤1割は突っ込む側なので、攻守逆転が苦手な方はご注意ください。 誤字報告は近況ボードにお願いします。無理やり何となくハピエンですが、不幸な方が抜けたり萌えたりする方は3章くらいまでをおススメします。 ※無事に完結しました!

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

R18禁BLゲームの主人公(総攻め)の弟(非攻略対象)に成りました⁉

あおい夜
BL
昨日、自分の部屋で眠ったあと目を覚ましたらR18禁BLゲーム“極道は、非情で温かく”の主人公(総攻め)の弟(非攻略対象)に成っていた! 弟は兄に溺愛されている為、嫉妬の対象に成るはずが?

男3人とセックスしないと帰宅できないDCの話

ルシーアンナ
BL
パパの言いつけを守らないと帰れない男子。 5話だけセリフのみです。

受け付けの全裸お兄さんが店主に客の前で公開プレイされる大人の玩具専門店

ミクリ21 (新)
BL
大人の玩具専門店【ラブシモン】を営む執事服の店主レイザーと、受け付けの全裸お兄さんシモンが毎日公開プレイしている話。

出産は一番の快楽

及川雨音
BL
出産するのが快感の出産フェチな両性具有総受け話。 とにかく出産が好きすぎて出産出産言いまくってます。出産がゲシュタルト崩壊気味。 【注意事項】 *受けは出産したいだけなので、相手や産まれた子どもに興味はないです。 *寝取られ(NTR)属性持ち攻め有りの複数ヤンデレ攻め *倫理観・道徳観・貞操観が皆無、不謹慎注意 *軽く出産シーン有り *ボテ腹、母乳、アクメ、授乳、女性器、おっぱい描写有り 続編) *近親相姦・母子相姦要素有り *奇形発言注意 *カニバリズム発言有り

とろとろ【R18短編集】

ちまこ。
BL
ねっとり、じっくりと。 とろとろにされてます。 喘ぎ声は可愛いめ。 乳首責め多めの作品集です。

[R18] 転生したらおちんぽ牧場の牛さんになってました♡

ねねこ
BL
転生したら牛になってて、毎日おちんぽミルクを作ってます♡

処理中です...