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第1話 召喚された
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俺は岡治 弘美 17歳。身長173cmの痩せ型。
長年競技をやっているアーチェリーでインターハイの個人戦を2年連続で制覇し、現在は弓道のインターハイ男女混合の団体戦に向けての合宿に来ていた。個人のアーチェリーはインターハイ3連覇を目指しているが、去年の弓道の団体戦は2位に終わったから今年は絶対に勝ちたい。
幼馴染みの宏海と共に弓術部を引っ張って来て漸くここまでこれたんだ。そして今年こそ完全制覇をするぞと気合を入れているんだ。何故なら制覇したらその時は・・・
そんな感じで合宿に挑んでいて、平和な日々を送っていたんだ。まさか今日それが終わるとは夢にも思わなかった。しかも宏海と別れ別れになるとは・・・
今回来ているのは県内最大の弓道とアーチェリー等の道場があるスポーツ施設だ。合宿可能な宿泊施設も完備していて毎年利用していた。
合宿の途中だったが、顧問が刺激も必要だろうと感じたようで、余興と称して競技で使う弓とは違う中型の弓で速射をさせるミニイベントを始めた。
それは矢継ぎ早に矢を放ち、20本が的に当たるまでの時間が一番早いか、30秒の間で的に当たった矢の本数が多い者を勝者とし、個人専用の高級な弓をプレゼントしてくれるとあり、皆真剣にやっていた。しかも3人分あり、皆にチャンスがあった。
元々弓の盛んな地域であり、祭りで馬上から的を射たり、速射の技術を披露したり、競技とは別に練習をしていた。
私立の学校にスポンサーが付いていて、そのスポンサーの要望もあり、速射などを練習していた。
消耗品、とりわけ矢のお金がかなり掛かるが、このようにスポンサーの求めに応じていると、寄付金という形で部活に必要なお金を貰えるのだ。
今回のご褒美もそういったスポンサーからの差し入れだったりする。
6人が並んで速射を始めようとしていた。
中央の二人はこのクラブを引っ張るエースであり、キャプテンと副キャプテンだ。エースの弘美は部長として全体を率いていた。
もうひとりのエースは剣崎 宏海。弘美の幼馴染みで副キャプテンとして女子の取りまとめをしている。
宏海はその容姿からだんしからの絶大な人気を得ている。性格は少しきついが、面倒見が良いのと親身に相談に乗ってくれる為、女子からは姉のように慕われている。
宏海は身長164cm,痩せ型。女性としては身長が高い方だが、弘美と並ぶと丁度バランスが良い感じだ。
宏海の髪は腰までの見事な漆黒のロングヘアでキリッとした美人。弘美は髪型に無頓着でぼさぼさでだらしない。顔は整っているのだが、ものぐさで髪型や服装にも無頓着だったのだ。身なりを整えさえすればモテるのだが、誰かと付き合うのが面倒だった。
そして宏海は弘美に食って掛かっていた
「今日こそ貴方に勝ってみせますわ!。私が勝ったらお願いをひとつするから、覚悟しておくのね」
弘美は無視を決め込んでいた。以前自分に勝ったら何でも一つ希望を聞くと約束をさせられていたのだ。
宏海は別にご褒美の弓が欲しいと言うわけではない。裕福な家庭に育ち、全て一級品を買って貰っており、単なる負けん気だった。そして自分の事をちゃんと女性として見てくれない弘美にデートをエスコートさせるんだと気合を入れていた。素直じゃないので、ちゃんと一人の女として付き合って欲しいと言えないのであった。
格好は宏海は弓道の道着で、他の者はジャージかアーチェリー用の服だ。本来道着を着るのは試合の直前の練習等で着るだけだが、宏海だけは常に道着を着ている堅物である。勿論各服には部の名前入りだ。背中には矢筒を背負っており、的は20m先にある。弘美はアーチェリー用の練習着だった。
そして始めの掛け声と共に皆一本目を放ち、4人は2秒、エースの二人は1.5秒以内に放った。二人の矢は見事に的の中心に当たり、次の矢を放った。見事な飛翔で同時に先に刺さっていた矢を切り裂いた。
その瞬間、二人の足元に魔法陣が浮き上がり、隣で矢を放っていた者は弾き飛ばされた。二人は唖然とし、お互い見つめ合っていた。叫んでいた筈だが、お互の声は届かなかった。少なく共弘美は宏海の名を叫んだ。二人は隣の家に生まれた幼馴染で、誕生日も同じでお互いをライバルとしていた。
二人共3本目の矢を番え、引き絞った所で光に包まれ矢を番えた状態で忽然と道場から姿を消した。
二人が消えたものだから道場はパニックだった。
弘美は夢を見ていた。最近頻繁に見る夢だ。
ファンタジー世界で宏海を守りつつ猫耳幼女?縦ロールのツンデレ美少女、少し露出の多い服の上にビキニアーマーを着けた金髪エルフの美女達と魔物を率いる魔族?と戦い、冒険をしている。あり得ない事に戦いが終わり宏海が謝辞を述べ、抱き着いて来てキスをしてくる。そしていつも唇が重なる直前に目覚めるのだ。
光が収まり弘美が短い意識喪失から目覚め、目が見えるようになると周りの様子がおかしい事に気がついた。
「なんて事だ失敗だ」
「囲め」
「男が召喚されたぞ不吉だ」
「殺すな生け捕れ」
「ほんとに男か確かめろ」
「何で聖女召喚で男が来るんだよ」
訳が分からなかった。
典型的な中世風の神殿か城の広間にいるようで、ローブを着た男女、甲冑を着込んだ兵士がおり、啞然としているとあっという間に囲まれていった。
弘美は頭の回転が速い。今の自分の置かれている状況が良くないというのは一目でわかった。
何にしても目をギラギラさせた兵士達に槍を向けられているからだ。状況から本物の武器を向けられているのがわかる。
「武器を捨て手を上げろ」
と一言言われ、弘美は番えた矢を離し、弓矢を床に投げ捨て、手を挙げた。
扉から恰幅の良い白髪まじりの男が偉そうに入って来て激昂していた。
「どういう事だ?なぜ男が召喚されておるのだ?聖女召喚をしたのではなかったのか?我が国の担当は聖女召喚であるぞ!聖女が必要なのだ!致し方ないこやつを殺し、召喚をやり直すのじゃ」
すかさずローブを着た一団が止めに掛かった。
「陛下、なりませぬ。召喚した者が聖女でないからと殺してしまえば、我が国に重大な呪いが課せられてしまいます」
「ではどうすればよいのだ?」
「恐れながら陛下、念の為ですが、勇者かもしれませぬから、こやつの力を確かめ、勇者や聖人でなかったのならば魔物の多く住むあの山に放逐してまいります」
陛下と呼ばれた男は頷き了承していた。
とんでもない事を言っているのが分かるが、槍で脅されていたので、逆らえなかった、
部屋の傍に用意されていた水晶玉のようなものや、何やら石版のようなものに手をかざせと言われて、渋々従った。
結果は芳しくないようで、神官?は首を振っていた。
「やはり聖女でも聖人でもございません。ましてやとても勇者とは言えません。」
誰かに股間をギュッと掴まれた。
「男の象徴もついております。間違いなく男です」
そして石板に浮かんでいるのは弓術/特級とあった
「こやつ弓の名手のようですが、それだけです。魔法適性がどの属性もありません」などと言っていた。
弘美はわざとオロオロしている感じに振る舞ってはいたが、頭は急ぎフル回転させ、これは魔法ありありの異世界召喚で間違いないし、お約束の中世チックの世界に来た。しかし聖女、つまり女性を召喚した筈が、何故か男の自分が召喚されてしまったのだと。
頭を働かせていると、そういえば宏海と弘美で名の読みはひろみで同じだから宏海が聖女として召喚される筈が、隣りにいた自分が取り違えられたのか?宏海も召喚されたのか?大丈夫か?俺のような目に遭っていないか?宏海は俺の事を心配しているかな?と自分の事よりも宏海の事の方が心配だった。普段から頻繁に言い争いや喧嘩をしていたが、小学校に入るまでは一緒にお風呂に入ったり、一緒の布団で寝たりと仲が良かった。だが、いつの頃だろうか、お互いを異性として意識し始めた頃だろうか、流石にそういった事は無くなったが、周りからはいがみ合っている様子を見ると夫婦喧嘩と揶揄されていた。
周りから見れば二人は十分彼女彼氏の間柄だが、ただの幼馴染と言い張っていた。
その為、二人に言い寄る者はいなかったのだ。
長年競技をやっているアーチェリーでインターハイの個人戦を2年連続で制覇し、現在は弓道のインターハイ男女混合の団体戦に向けての合宿に来ていた。個人のアーチェリーはインターハイ3連覇を目指しているが、去年の弓道の団体戦は2位に終わったから今年は絶対に勝ちたい。
幼馴染みの宏海と共に弓術部を引っ張って来て漸くここまでこれたんだ。そして今年こそ完全制覇をするぞと気合を入れているんだ。何故なら制覇したらその時は・・・
そんな感じで合宿に挑んでいて、平和な日々を送っていたんだ。まさか今日それが終わるとは夢にも思わなかった。しかも宏海と別れ別れになるとは・・・
今回来ているのは県内最大の弓道とアーチェリー等の道場があるスポーツ施設だ。合宿可能な宿泊施設も完備していて毎年利用していた。
合宿の途中だったが、顧問が刺激も必要だろうと感じたようで、余興と称して競技で使う弓とは違う中型の弓で速射をさせるミニイベントを始めた。
それは矢継ぎ早に矢を放ち、20本が的に当たるまでの時間が一番早いか、30秒の間で的に当たった矢の本数が多い者を勝者とし、個人専用の高級な弓をプレゼントしてくれるとあり、皆真剣にやっていた。しかも3人分あり、皆にチャンスがあった。
元々弓の盛んな地域であり、祭りで馬上から的を射たり、速射の技術を披露したり、競技とは別に練習をしていた。
私立の学校にスポンサーが付いていて、そのスポンサーの要望もあり、速射などを練習していた。
消耗品、とりわけ矢のお金がかなり掛かるが、このようにスポンサーの求めに応じていると、寄付金という形で部活に必要なお金を貰えるのだ。
今回のご褒美もそういったスポンサーからの差し入れだったりする。
6人が並んで速射を始めようとしていた。
中央の二人はこのクラブを引っ張るエースであり、キャプテンと副キャプテンだ。エースの弘美は部長として全体を率いていた。
もうひとりのエースは剣崎 宏海。弘美の幼馴染みで副キャプテンとして女子の取りまとめをしている。
宏海はその容姿からだんしからの絶大な人気を得ている。性格は少しきついが、面倒見が良いのと親身に相談に乗ってくれる為、女子からは姉のように慕われている。
宏海は身長164cm,痩せ型。女性としては身長が高い方だが、弘美と並ぶと丁度バランスが良い感じだ。
宏海の髪は腰までの見事な漆黒のロングヘアでキリッとした美人。弘美は髪型に無頓着でぼさぼさでだらしない。顔は整っているのだが、ものぐさで髪型や服装にも無頓着だったのだ。身なりを整えさえすればモテるのだが、誰かと付き合うのが面倒だった。
そして宏海は弘美に食って掛かっていた
「今日こそ貴方に勝ってみせますわ!。私が勝ったらお願いをひとつするから、覚悟しておくのね」
弘美は無視を決め込んでいた。以前自分に勝ったら何でも一つ希望を聞くと約束をさせられていたのだ。
宏海は別にご褒美の弓が欲しいと言うわけではない。裕福な家庭に育ち、全て一級品を買って貰っており、単なる負けん気だった。そして自分の事をちゃんと女性として見てくれない弘美にデートをエスコートさせるんだと気合を入れていた。素直じゃないので、ちゃんと一人の女として付き合って欲しいと言えないのであった。
格好は宏海は弓道の道着で、他の者はジャージかアーチェリー用の服だ。本来道着を着るのは試合の直前の練習等で着るだけだが、宏海だけは常に道着を着ている堅物である。勿論各服には部の名前入りだ。背中には矢筒を背負っており、的は20m先にある。弘美はアーチェリー用の練習着だった。
そして始めの掛け声と共に皆一本目を放ち、4人は2秒、エースの二人は1.5秒以内に放った。二人の矢は見事に的の中心に当たり、次の矢を放った。見事な飛翔で同時に先に刺さっていた矢を切り裂いた。
その瞬間、二人の足元に魔法陣が浮き上がり、隣で矢を放っていた者は弾き飛ばされた。二人は唖然とし、お互い見つめ合っていた。叫んでいた筈だが、お互の声は届かなかった。少なく共弘美は宏海の名を叫んだ。二人は隣の家に生まれた幼馴染で、誕生日も同じでお互いをライバルとしていた。
二人共3本目の矢を番え、引き絞った所で光に包まれ矢を番えた状態で忽然と道場から姿を消した。
二人が消えたものだから道場はパニックだった。
弘美は夢を見ていた。最近頻繁に見る夢だ。
ファンタジー世界で宏海を守りつつ猫耳幼女?縦ロールのツンデレ美少女、少し露出の多い服の上にビキニアーマーを着けた金髪エルフの美女達と魔物を率いる魔族?と戦い、冒険をしている。あり得ない事に戦いが終わり宏海が謝辞を述べ、抱き着いて来てキスをしてくる。そしていつも唇が重なる直前に目覚めるのだ。
光が収まり弘美が短い意識喪失から目覚め、目が見えるようになると周りの様子がおかしい事に気がついた。
「なんて事だ失敗だ」
「囲め」
「男が召喚されたぞ不吉だ」
「殺すな生け捕れ」
「ほんとに男か確かめろ」
「何で聖女召喚で男が来るんだよ」
訳が分からなかった。
典型的な中世風の神殿か城の広間にいるようで、ローブを着た男女、甲冑を着込んだ兵士がおり、啞然としているとあっという間に囲まれていった。
弘美は頭の回転が速い。今の自分の置かれている状況が良くないというのは一目でわかった。
何にしても目をギラギラさせた兵士達に槍を向けられているからだ。状況から本物の武器を向けられているのがわかる。
「武器を捨て手を上げろ」
と一言言われ、弘美は番えた矢を離し、弓矢を床に投げ捨て、手を挙げた。
扉から恰幅の良い白髪まじりの男が偉そうに入って来て激昂していた。
「どういう事だ?なぜ男が召喚されておるのだ?聖女召喚をしたのではなかったのか?我が国の担当は聖女召喚であるぞ!聖女が必要なのだ!致し方ないこやつを殺し、召喚をやり直すのじゃ」
すかさずローブを着た一団が止めに掛かった。
「陛下、なりませぬ。召喚した者が聖女でないからと殺してしまえば、我が国に重大な呪いが課せられてしまいます」
「ではどうすればよいのだ?」
「恐れながら陛下、念の為ですが、勇者かもしれませぬから、こやつの力を確かめ、勇者や聖人でなかったのならば魔物の多く住むあの山に放逐してまいります」
陛下と呼ばれた男は頷き了承していた。
とんでもない事を言っているのが分かるが、槍で脅されていたので、逆らえなかった、
部屋の傍に用意されていた水晶玉のようなものや、何やら石版のようなものに手をかざせと言われて、渋々従った。
結果は芳しくないようで、神官?は首を振っていた。
「やはり聖女でも聖人でもございません。ましてやとても勇者とは言えません。」
誰かに股間をギュッと掴まれた。
「男の象徴もついております。間違いなく男です」
そして石板に浮かんでいるのは弓術/特級とあった
「こやつ弓の名手のようですが、それだけです。魔法適性がどの属性もありません」などと言っていた。
弘美はわざとオロオロしている感じに振る舞ってはいたが、頭は急ぎフル回転させ、これは魔法ありありの異世界召喚で間違いないし、お約束の中世チックの世界に来た。しかし聖女、つまり女性を召喚した筈が、何故か男の自分が召喚されてしまったのだと。
頭を働かせていると、そういえば宏海と弘美で名の読みはひろみで同じだから宏海が聖女として召喚される筈が、隣りにいた自分が取り違えられたのか?宏海も召喚されたのか?大丈夫か?俺のような目に遭っていないか?宏海は俺の事を心配しているかな?と自分の事よりも宏海の事の方が心配だった。普段から頻繁に言い争いや喧嘩をしていたが、小学校に入るまでは一緒にお風呂に入ったり、一緒の布団で寝たりと仲が良かった。だが、いつの頃だろうか、お互いを異性として意識し始めた頃だろうか、流石にそういった事は無くなったが、周りからはいがみ合っている様子を見ると夫婦喧嘩と揶揄されていた。
周りから見れば二人は十分彼女彼氏の間柄だが、ただの幼馴染と言い張っていた。
その為、二人に言い寄る者はいなかったのだ。
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