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第65話 尋問へ
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艦隊葬が終わった後、ダレンは輸送艦の一室にいた。
ミズリアとノリコに対しジルテッドの尋問に関わらない方が良いとして、ミカにだけに着替えを手伝って貰った。
ジルテッドとの面談に備え、艦隊司令官としての制服から宙兵隊の戦闘服に身を包んでいた。
尋問官から彼は気が狂っており、多分司令部の者だと分かると手がつけられなくなるからと、兵士の姿に着替えたのだ。
聞いている内容に内心では不安と恐怖を感じていたが、表情には出さないようにしていた。自分の部下たちには強くて頼りになるリーダーでありたかったのだ。いや、そう見せねばならなかった。
先ほど艦隊葬で涙を見せると言う大失態をしたばかりだからだ。誰も何も言わないのが幸いだった。
「ダレン、本当にやるのかい?ジルテッドの奴と話すなんて!?何ならあたいが始末するよ?」
言葉とは裏腹にミカはダレンの背中に腕をまわしてその逞しい胸に顔を預けた。
彼女はダレンの心臓の鼓動を感じながら耳元で囁いた。
ミカはダレンがジルテッドと直接面談することに反対していたが、それはダレンがジルテッドに傷つけられることを恐れていた。
ただし、肉体的にてはなく精神的にだ。
「ああ…やるよ。ジルテッドに向かい合って話さなきゃならないんだ。彼はかつては仲間だったんだ。その動機や考えを聞きたいんだ」
ダレンはミカに答えたが、ジルテッドとの面談に意味があると信じていた。ジルテッドがなぜ離反したのか、なぜ自分にあれ程の敵意を持ったのかについて知りたかったのだ。
「ダレン、大丈夫よ。あたいらは、あんたの味方だぜ。あんたがどんなに辛くても、あたいらはあんたを支える。もし、艦隊葬で沈んだままだったら、あたいがあんたの尻に銃をねじ込んでやるから…気合いを入れな!」
ミカはダレンに励ましと忠告をした。彼女はダレンに対して愛情をもって接し、応援しているはずがちょっと乱暴な感じだった。彼女の言葉はその美しい顔からは想像つかないような男勝りの言葉で気合いを入れた。
実に宙兵隊らしいやり方だった。
「さあ、行こうか。ジルテッドが待ってる」
ダレンはミカの手を取って部屋を出た。
部屋を出るとミカは(キリッとし)警護の宙兵隊のそれに戻り、ダレンの斜め後ろを歩く。
ダレンはミカだけを護衛としてジルテッドとの面談の場所に向かった。
自分の決意を固め、ジルテッドに真実を問いただすつもりだった。
ジルテッドは厳重な警備の下に監禁されていて、拘束惧にて自殺や自傷行為が出来なくされていた。
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「ダレン、本当にやるのかい?ジルテッドの奴と話すなんて!?何ならあたいが始末するよ?」
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彼女はダレンの心臓の鼓動を感じながら耳元で囁いた。
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ただし、肉体的にてはなく精神的にだ。
「ああ…やるよ。ジルテッドに向かい合って話さなきゃならないんだ。彼はかつては仲間だったんだ。その動機や考えを聞きたいんだ」
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「ダレン、大丈夫よ。あたいらは、あんたの味方だぜ。あんたがどんなに辛くても、あたいらはあんたを支える。もし、艦隊葬で沈んだままだったら、あたいがあんたの尻に銃をねじ込んでやるから…気合いを入れな!」
ミカはダレンに励ましと忠告をした。彼女はダレンに対して愛情をもって接し、応援しているはずがちょっと乱暴な感じだった。彼女の言葉はその美しい顔からは想像つかないような男勝りの言葉で気合いを入れた。
実に宙兵隊らしいやり方だった。
「さあ、行こうか。ジルテッドが待ってる」
ダレンはミカの手を取って部屋を出た。
部屋を出るとミカは(キリッとし)警護の宙兵隊のそれに戻り、ダレンの斜め後ろを歩く。
ダレンはミカだけを護衛としてジルテッドとの面談の場所に向かった。
自分の決意を固め、ジルテッドに真実を問いただすつもりだった。
ジルテッドは厳重な警備の下に監禁されていて、拘束惧にて自殺や自傷行為が出来なくされていた。
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