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第62話 脱出ボット
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脱出ポッドの回収について、AIを活用することになった。
元々ダレンは兵站やこの手の戦後処理を苦手にしていた。
ダレンの先輩からAIを使えとアドバイスされ、ノリコ大佐と共に四苦八苦していた。
首脳部の人数を増やす話は、対象人員をようやくコールドスリープから目覚めさせた段階で、任務に着くにはまだ時間が掛る。
その為、兵站等の面倒な事務方を押し付け、ではなく、ダレン曰く任せる予定の者達は、コールドスリープの影響からまだ脱しておらず、少しの時間しか話もできなかった。
そこで無数に散らばった脱出ボットの回収についてアドバイスを受けた。
その手の戦後処理のスペシャリストが艦長の中にいなかったからだ。
可能な者は戦死している。
ダレンは敵を叩きのめすまでは滅法強いが、戦いが終わった後はからっきしだ。
それでもこれまでは何とかしてきたが、大量の脱出ボットを回収するのは初めてだった。
AIにより脱出ボットから送られてくる情報を整理し、緊急度を判定させ、プラスして効率を考慮して向かわせる艦の指示が出るように設定をする。
その結果をダレンとノリコ大佐が判定し、問題なければ追認して艦を送り出した。
既に漂流艦の救助は終わり、更に航行可能だった10艦が、本体との合流ベクトルで向かっている。
その艦の本格的な修理は合流待ちだった。
ジルテットから出された偽の命令の内容次第で艦長を拘禁し、副長に指揮をさせたりする。
半数の艦はジルテッドの分隊で、ジルテッドの命令に従う立場だった。それらの艦の艦長はおとがめなしだ。ダレンの指示の元とされれば疑うこともなく、別働隊としての指示が出たものと見做してしまうからだ。
しかし、ジルテットに賛同して離反した艦は違う。
それらの艦の艦長は別にし、ジルテットから出された指示次第で一部の艦長を拘束した。
驚いたことにジルテットは艦隊のシステムを騙すことに成功していた。ダレンからの正規の指示として、数艦の艦長に分隊への配置換え指示を出していて、騙されたのだ。
実際問題、本当に叛意で離反した艦は5艦と少なかった。
・
・
・
救助に来た艦が漂流艦に接舷し、怪我人を引き取ったり、応急修理を手伝っていた。
緊急度が低くなり、牽引するのも経済速度で本体に合流し、本格的な修理を行う流れになった。
そして半日後、報告が入る。
「提督、全ての脱出ポッドの回収が完了しました。救助された者は約300名です。致命傷を負っていた者が5名助かりませんでしたが、それ以外は命に別状はないとのことです」
通信士が最後の脱出ポッドが回収されたことをダレンに報告した。
ダレンは救助された者の数に驚きながら、その中にはかつての敵も含まれていることを思い出した。
敵と言っても、叛意で離反した艦の艦長もいたのだ。
「分かった。救助された者は怪我人を除き全員輸送艦に移送せよ。怪我人の移送の判断は医療チーム任せる。直ぐにでも診察と治療を受けさせろ」
ダレンは救助された者の扱いについて命令を下した。
元々ダレンは兵站やこの手の戦後処理を苦手にしていた。
ダレンの先輩からAIを使えとアドバイスされ、ノリコ大佐と共に四苦八苦していた。
首脳部の人数を増やす話は、対象人員をようやくコールドスリープから目覚めさせた段階で、任務に着くにはまだ時間が掛る。
その為、兵站等の面倒な事務方を押し付け、ではなく、ダレン曰く任せる予定の者達は、コールドスリープの影響からまだ脱しておらず、少しの時間しか話もできなかった。
そこで無数に散らばった脱出ボットの回収についてアドバイスを受けた。
その手の戦後処理のスペシャリストが艦長の中にいなかったからだ。
可能な者は戦死している。
ダレンは敵を叩きのめすまでは滅法強いが、戦いが終わった後はからっきしだ。
それでもこれまでは何とかしてきたが、大量の脱出ボットを回収するのは初めてだった。
AIにより脱出ボットから送られてくる情報を整理し、緊急度を判定させ、プラスして効率を考慮して向かわせる艦の指示が出るように設定をする。
その結果をダレンとノリコ大佐が判定し、問題なければ追認して艦を送り出した。
既に漂流艦の救助は終わり、更に航行可能だった10艦が、本体との合流ベクトルで向かっている。
その艦の本格的な修理は合流待ちだった。
ジルテットから出された偽の命令の内容次第で艦長を拘禁し、副長に指揮をさせたりする。
半数の艦はジルテッドの分隊で、ジルテッドの命令に従う立場だった。それらの艦の艦長はおとがめなしだ。ダレンの指示の元とされれば疑うこともなく、別働隊としての指示が出たものと見做してしまうからだ。
しかし、ジルテットに賛同して離反した艦は違う。
それらの艦の艦長は別にし、ジルテットから出された指示次第で一部の艦長を拘束した。
驚いたことにジルテットは艦隊のシステムを騙すことに成功していた。ダレンからの正規の指示として、数艦の艦長に分隊への配置換え指示を出していて、騙されたのだ。
実際問題、本当に叛意で離反した艦は5艦と少なかった。
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救助に来た艦が漂流艦に接舷し、怪我人を引き取ったり、応急修理を手伝っていた。
緊急度が低くなり、牽引するのも経済速度で本体に合流し、本格的な修理を行う流れになった。
そして半日後、報告が入る。
「提督、全ての脱出ポッドの回収が完了しました。救助された者は約300名です。致命傷を負っていた者が5名助かりませんでしたが、それ以外は命に別状はないとのことです」
通信士が最後の脱出ポッドが回収されたことをダレンに報告した。
ダレンは救助された者の数に驚きながら、その中にはかつての敵も含まれていることを思い出した。
敵と言っても、叛意で離反した艦の艦長もいたのだ。
「分かった。救助された者は怪我人を除き全員輸送艦に移送せよ。怪我人の移送の判断は医療チーム任せる。直ぐにでも診察と治療を受けさせろ」
ダレンは救助された者の扱いについて命令を下した。
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