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第60話 壊滅
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程なくして迎撃の準備が整い、敵残存艦約50艦が合流してこちらに向かう。
ダレン率いる本体も敵の進路に合わせて会敵するベクトルにて移動を開始する。
約2時間後、敵艦隊がフェニックスクラウンの射程範囲である1光分以内へと無秩序に突入してきた。
提督の冷静な指導と狙い定めた攻撃は見事に功を奏し、敵艦はすぐにフェニックスクラウンの1撃を持って撃沈を余儀なくされた。
それと同時に、遠くからジャンプアウトした輸送船が確認され、その存在が救助と本格的な修理作業の開始を告げた。
「全艦、待機せよ。敵艦を全滅させたが、伏兵がいないとも限らないので、分隊内で無傷な艦は警戒を!損傷した艦は修理に集中せよ!さて諸君、我々の前には新たな任務が待ち構えている。離反した艦の修理と救助を始めるんだ」
ダレンが全艦に通告し、 輸送艦に収容された工兵隊と医療スタッフが怪我人の受け入れは準備をしつつ、航行不能な離反艦の方へ向かわせた。
「輸送艦に連絡だ。敵艦は全て撃破した。離反艦の修理と救助を優先せよ。人命第一と心得ろ。」
ダレンは輸送艦に指示を出した。輸送艦はその言葉に応えるように、離反艦に接近し、修理チームと医療陣を送り込んだ。
「提督、偵察艦からの入電です。味方艦から多数の脱出ポッドが射出されているとのことです。位置情報を送信します。」
通信士が、偵察艦からの報告をダレンに伝えた。ダレンは味方の生存者の可能性に安堵しながら、ディスプレイに映る脱出ポッドの位置を確認した。
「分かった。無傷な艦は脱出ポッドの回収に向かえ。敵味方を問わず、生きている者は救出せよ」
ダレンは迅速に命令を下し、敵の兵士たちにも救いの手を差し伸べるように伝えた。彼らも、自分たちと同じく、この戦争に巻き込まれただけの可能性があるからだ。
「これまで敵が脱出ポッドを使った報告はないんだがな…」
ダレンは、ぽつりと呟き、敵の兵士たちにも同情と敬意を持っていた。彼らも自分たちと同じく、この戦争に巻き込まれた犠牲者だったのだ。しかし、彼らは脱出ポッドを持たないか、持っていても使わず艦と命をともにすることが知られていた。
それは、彼らの信念や規律の強さを示すものだったのだろうか。それとも、彼らには生きる希望がなかったのだろうか。
そして救助に向かった艦は要救助艦へと分散して行く。
煤けた装甲、破損した装備、そして静かに待ち続ける病院艦(輸送艦)。
カオスとも言える状況の中でも、それぞれが自分の役割を全うし、作業は困難を孕んだ中でもスムーズに進んでいく。
修理チームは既に故障箇所の点検と修復に取り掛かり、医療陣は負傷者の搬送と治療を迅速に実施して行く。各艦の損傷状況や負傷者の状態によっては膨大な時間が必要ではあったものの、情熱と専門技術を総動員して、艦隊の回復を図る。
力強い結束力と使命感が艦隊を包み、困難な状況を乗り越えて前に進む彼らの姿は、その川の流れのままに進んでいった。その光景は、一つの終わりを迎え、新たな始まりを切り開く瞬間を予感させるものだった。
ダレン率いる本体も敵の進路に合わせて会敵するベクトルにて移動を開始する。
約2時間後、敵艦隊がフェニックスクラウンの射程範囲である1光分以内へと無秩序に突入してきた。
提督の冷静な指導と狙い定めた攻撃は見事に功を奏し、敵艦はすぐにフェニックスクラウンの1撃を持って撃沈を余儀なくされた。
それと同時に、遠くからジャンプアウトした輸送船が確認され、その存在が救助と本格的な修理作業の開始を告げた。
「全艦、待機せよ。敵艦を全滅させたが、伏兵がいないとも限らないので、分隊内で無傷な艦は警戒を!損傷した艦は修理に集中せよ!さて諸君、我々の前には新たな任務が待ち構えている。離反した艦の修理と救助を始めるんだ」
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「輸送艦に連絡だ。敵艦は全て撃破した。離反艦の修理と救助を優先せよ。人命第一と心得ろ。」
ダレンは輸送艦に指示を出した。輸送艦はその言葉に応えるように、離反艦に接近し、修理チームと医療陣を送り込んだ。
「提督、偵察艦からの入電です。味方艦から多数の脱出ポッドが射出されているとのことです。位置情報を送信します。」
通信士が、偵察艦からの報告をダレンに伝えた。ダレンは味方の生存者の可能性に安堵しながら、ディスプレイに映る脱出ポッドの位置を確認した。
「分かった。無傷な艦は脱出ポッドの回収に向かえ。敵味方を問わず、生きている者は救出せよ」
ダレンは迅速に命令を下し、敵の兵士たちにも救いの手を差し伸べるように伝えた。彼らも、自分たちと同じく、この戦争に巻き込まれただけの可能性があるからだ。
「これまで敵が脱出ポッドを使った報告はないんだがな…」
ダレンは、ぽつりと呟き、敵の兵士たちにも同情と敬意を持っていた。彼らも自分たちと同じく、この戦争に巻き込まれた犠牲者だったのだ。しかし、彼らは脱出ポッドを持たないか、持っていても使わず艦と命をともにすることが知られていた。
それは、彼らの信念や規律の強さを示すものだったのだろうか。それとも、彼らには生きる希望がなかったのだろうか。
そして救助に向かった艦は要救助艦へと分散して行く。
煤けた装甲、破損した装備、そして静かに待ち続ける病院艦(輸送艦)。
カオスとも言える状況の中でも、それぞれが自分の役割を全うし、作業は困難を孕んだ中でもスムーズに進んでいく。
修理チームは既に故障箇所の点検と修復に取り掛かり、医療陣は負傷者の搬送と治療を迅速に実施して行く。各艦の損傷状況や負傷者の状態によっては膨大な時間が必要ではあったものの、情熱と専門技術を総動員して、艦隊の回復を図る。
力強い結束力と使命感が艦隊を包み、困難な状況を乗り越えて前に進む彼らの姿は、その川の流れのままに進んでいった。その光景は、一つの終わりを迎え、新たな始まりを切り開く瞬間を予感させるものだった。
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