忘却の艦隊

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第54話 結論

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 先程のアダルト映像は、少なくとも本来の男とダレンの姿が入れ替えられた合成された物だと全員が理解した。
 全艦にダレン司令が2人の新兵を手籠めにしている映像は偽物だと、ダレン司令に有るはずの、最近負った怪我による傷跡がないと公表することになった。
 ミズリアがホロ会議中に調べると、裏ネットワークに掲載されていたからだ。

 ダレン司令は全艦に問いかけた。

「・・・追跡するか違う航路か、どうするべきかな?各艦の率直な考えや意見を聞いてみたい」

 事態が事態なだけに艦隊全体の意見を尊重すると共に、艦隊の統一や安全を守ろうとしていた。
 方針は決めているが、皆が考えて決めた事が大切だと分かっている。
 自分の意見を押し通すのは簡単だが、いざという時にまとまりのない艦隊にするつもりはない。

「私はダレン司令に賛成だ。我々は仲間を見捨てるべきではない。可能であれば彼らを救うべきだ。そして一緒に戦いたい」

 マクスロイ艦長は先陣を切って発言した。
 最初の発言は中々やり難いので、皆の発言を促す目的で先陣を切った。マクスロイ艦長はダレン司令に忠誠を誓っており、その決断を支持し、仲間の命を大切にする想いも同じだ。

「私もダレン司令に賛成だ。仲間を見捨てるべきではないし、彼らを救うべきだ。我々は彼らと一緒に戦うべきだ」

 そんな中、艦隊の状況を重く受け止める慎重派の意見が出た。

「エネルギー資源は悲痛なほど僅かです。同情心から仲間を救おうという感情は理解できますが、それが全艦隊の危険を招くことになり兼ねません・・・もちろん決定には従いますが、考慮する必要があると思います」

  この発言にホロ会議にある種の静寂が訪れた。

 他の艦長たちも次々と発言した。
 大半の者はダレン司令いや、艦隊に忠誠を誓っており、その決断を支持していた。
 皆仲間の命を大切にしたい想いは強い。

「仲間を見捨てるのか?と言われるかもしれないが我々は彼らを救いに行くべきではない。残念ながらもう手遅れだろう?」

「私はジルテット中佐の行動に賛成だ。我々は敵を追って戦うべきだった。離反したのは残念だが。敵はかの星系にいる。我々は人類の星系への早道を見つけたのだ。ダレン司令はそれを無視して、逃げ回っている。臆病なのではないのか?我々はジルテット中佐に従って、敵を倒すべきだ」

 重巡洋艦のウッドラフキー艦長は唯一反対した。彼はジルテット中佐の意見に賛同してはいるが、声が掛からなかった。
 ダレン司令を非難し、ジルテット中佐を擁護した。

「ウッドラフキー洋艦長、貴官の認識は間違っている。ジルテット中佐は反逆者だ。彼は私たちを裏切り、敵に対して無謀な行動をとっている」

 ダレンは重巡洋艦の艦長を批判した。彼はジルテット中佐の反逆を許せず、艦隊の統一や安全を守ることに決めていた。

 暫く活発な意見交換が行われ、概ね仲間を助ける!方向に傾いており、頃合いを見計らっていた。

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「全艦に告げる。我々はジルテット中佐の反逆に付き従った艦を追うと決定する。仲間を追い、可能なら救出する!その為に前進する道を選んだ。決して仲間を見捨てない!我々は彼らを救い、今後も彼らと一緒に戦う。全艦、敵がいると思われる星系にジャンプする準備をせよ。これより巡航速度でジャンプ可能域に向かう。全艦、出撃せよ!但し、サニー艦長の偵察艦は先行し、輸送艦と護衛艦は少し遅れてからジャンプすることとする」

 ダレンは最終決断を発した。
 彼はジルテット中佐の反逆に対して、追うことに決め、仲間を見捨てないことに決めた。
 艦隊の統一や安全を守ることに決め、偵察艦を先行させて敵の情報を収集して、可能なら戦略を立てることを決めた。
 また、艦隊の練度や補給の問題、戦闘準備をする時間を考慮したが速度を上げ。金はあ巡航速度での移動を決めた。

 ダレンは自分のプライドや感情を抑えて、艦隊の利益や命を尊重することに決めた。

「戦艦ヤンバルクイーナ了解した。我々はダレン司令に従い仲間を見捨てない。我々は彼らを救い彼らと一緒に戦う!」

 マクスロイ艦長も旗艦のクルーに告げた。

「敵の星系にジャンプする準備をすること。全艦出撃するぞ!」

 全艦の艦長はダレン司令の最終決断に従った。
 彼らは艦隊に忠誠を誓い、仲間を見捨てないことを決めた。

 移動中に敵の星系にジャンプする準備をし、敵と戦う心の準備をし、勝利を目指した。

 ホロ会議後、マクスロイ艦長は個別にフランジッド艦長に告げた。

「フランジッド艦長、貴官はどうするんだ?ジルテット中佐に従うのか?それともダレン司令に従うのか?その決断は? 即答は求めない。誠心誠意、考えてみてくれ」

 マクスロイ艦長が重巡洋艦のフランジッド艦長に問いかけたが、フランジッド艦長はうつむいたまま暫く返事をしなかった。
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