忘却の艦隊

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第49話 初回模擬戦

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 ジャンプアウトすると、射程圏内に敵艦が100艦いた。

 隊形の関係で、鹵獲艦と旧駐留艦隊による巡洋艦分隊が位置が近い。

 ダレンは敵の位置から各分隊に忙しく指示を出し、敵が攻撃を仕掛ける前に先制攻撃として一撃入れた。

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 ダレン艦隊は最初の模擬戦に見事な形で勝利を収めた。
 ダレン指揮の下、敵艦隊を圧倒したのだ。
 有効な攻撃で敵を叩きのめし、統一された戦闘形態で敵を散らばらせ、各個撃破をしていった。
 分隊ごとの連携について、情報や意見を共有し、行動指針を与えて分隊は指示と素直に従い、臨機応変に対応した。

 ダレン艦隊は少ない被害で済んだ。敵の近くにいた分隊は数で劣っていたが、艦個体の性能で勝っていた。

 また、第5世代や旧艦となる第4世代艦の連携を確認することができた。 それと鹵獲した第6世代と思われる艦の動きを見ることができ、彼らも新世代の艦に慣れることができた。

 しかし、模擬戦は決して楽なものではなかった。

 巡洋艦分隊は敵の数の多さに圧倒されそうになったり、敵艦の動きに苦労したり、一歩間違えるとすぐに不利な状況に陥ったりした。
 もちろん敵もただ黙って殺られる訳もなく、反撃を試みて来た。
 しかし、ダレンの指示により回避行動を取り、不運な艦以外無傷だった。

 模擬戦はダレン艦隊のほぼ完勝に終わり、第1回模擬戦は終了した。

 模擬戦の終了後、ダレンは全艦長を集めてホロ会議を行った。
 全艦長に模擬戦の勝利と、その戦いぶりを褒めちぎった。
 分隊としてのまとまりと連携、自信と誇りを持つようにと、分隊として指示に従い的に立ち向かった事に感謝と尊敬の意を伝えた。

 ダレンはブリッジのクルーにも感謝の言葉を述べた。ブリッジのクルーは艦隊の司令部として重要な役割を果たした。艦隊司令として、クルーの信頼と尊敬を得た。

 旗艦のブリッジではクルーは勝利に笑顔が見られ、中には抱き合う者もいた。
 先日の戦闘はほぼフェニックスクラウンの主砲のみで終わったから、戦闘らしき戦闘になっていなかった。

 ダレンは全艦長とブリッジのクルーに、模擬戦とはいえほぼ無傷での艦隊戦勝利による感動と喜びを与えた。

 しかし、ダレンには1つの危惧があった。

 それは本来分隊を指揮する指揮官は、ライナン星系でことごとく死んでいる。
 イレギュラー的にノリコは何とか指揮を採ったが、殆どの艦長には分隊指揮の経験がない。
 今回は分隊ごとにダレンが細かく指示を出したので、残りはちょっとした細かい指示を飛ばすくらいで、艦長なら誰でも出来る内容だけだった。

 試しに次の模擬戦はそれを確認する設定にしようと思い、30分の休憩の後に行われる2度目の模擬戦に向け、設定を詰めていった。
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