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第48話 準備中
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ダレンは会議を終えると艦長室に戻ったが、参謀長であるノリコ大佐と副官のミズリア中尉が同行した。また、金魚のフンのようにミカは警護を兼ねて常に同行している。
先日の反乱以降、宙兵隊が必ず同行するのだ。
基本的にミカが専属になるのだが、不可の時は代わりを寄越していた。
必要ないと言ったが、これはマクスロイ艦長から、いくら少将とはいえ、旗艦の艦長の権限で嫌と言っても行う、嫌なら旗艦を移してとまで言われたからだ。
彼女たちはダレンの恋人でもあり、艦内では公然と愛情を示していた。ダレンは彼女たちに感謝の言葉を述べた。
「ありがとう。あのジルテット中佐は何を考えているんだ?俺に対してはまだしも、君たちに失礼なことを言って!」
「気にしないで。あの人は昔からそういう性格だったわ。私も士官学校の時に1度やり合ったことがあるの。でも、本当は優秀な人なのよ」
「そうかもしれないが、あの態度は許せないな。今度会ったら・・・そうだな、模擬戦で徹底的に叩きのめしてやる!」
「ダレン、それはやめて。あの人は自分の艦隊に誇りを持っているの。あなたがあまりにも強すぎるから・・・そうね、反発しているだけよ。彼らに寛大なところを示してあげると良いと思うわ」
「ミズリアの言うとおりよ。ダレン、あなたはこの艦隊の司令官なのだから、全員をまとめる責任があるの。あなたが敵を倒すだけの戦闘マシーンではなく、人間として尊敬されるべきなの」
「アタイなら四の五の言わずぶっ飛ばしてやるわ」
ミカは相変わらずだが、ダレンは冷静になれた。
「・・・分かった。ミカはともかく、
言っていることは正しい。俺はまだまだ未熟だな。でも、君たちがいてくれるから、俺は強くなれる。」
ダレンは模擬戦の準備を片付けると、ノリコとミズリアに抱きついて、キスをした。彼女たちはダレンの胸に顔を埋めて、幸せそうに笑った。
まだ時間が有るので、ダレンは彼女たちとゆっくり過ごした。模擬戦の準備は1時間で終わったので、今は彼女たちとの時間を楽しみたかった。
・
・
・
ダレンは3人と一緒に部屋を出ると、服からバトルスーツへ身を包んでから模擬戦のためにブリッジへ向かった。
万が一被弾して空気が抜けた時を想定し、戦闘時の死亡率を下げる。
1時間は窒息しない。
かなり辛いので、慣れるためだ。
ダレンは旗艦の提督席、ミズリアは副官席、ノリコは参謀長席についた。
また、マクスロイ艦長を始め旗艦のブリッジクルーも揃っている。
ダレン達は周りの士官たちと挨拶を交わし、模擬戦の準備を始めた。
「司令、全艦模擬戦の準備が整いました。5分後に開始で、重力ジャンプから離脱した瞬間からとなります」
「了解しました。司令、模擬戦の開始まであと5分です。敵の艦隊は重力ジャンプから離脱すると目の前に200艦いるという設定です。念の為こちらの構成をお伝えします。第5世代戦艦50、うち20が盾艦、重巡航艦20、軽巡航艦20、駆逐艦30。残りは輸送艦兼工作艦が3、補給艦3、強襲揚陸艦2とフェニックスクラウンを入れて140艦です。また、第4世代艦のうち、第12特別輸送艦に引き渡されたのは、戦艦40、重巡20、軽巡20、駆逐艦30の110艦です。それと駐留艦隊の生き残りは戦艦21、重巡6、軽巡5、駆逐艦11、輸送艦2、宙母1で46艦でしたが、偵察艦が修復され47ですね。それと鹵獲した艦は50の内3艦は非戦闘艦としています。ですので347艦が現在ダレン少将の指揮下にあります」
ダレンはノリコの報告を聞いて、頷いた。この模擬戦は、入れ替え艦となる艦の性能を試すとともに、旧艦との連携を確認するためのものだった。入れ替え艦となる艦は、ダレン艦隊の艦よりも新型で、火力と装甲と機動力が上回っていた。しかし、それだけでは勝てないことも分かっていた。敵の艦隊は、ダレン艦隊の倍以上の数であり、統一された戦術を持っていた。ダレン艦隊は、入れ替え艦となる艦と旧艦のバランスを取りながら、敵の艦隊に対抗することができるだろうか。
「司令、模擬戦の開始まであと1分です。全艦、戦闘態勢に入ってください」
ミズリアが通知した。ダレンはブリッジのクルーに向かって、声を張り上げた。
「よし、みんな、これは本番だと思ってやれ!敵は数で圧倒してくるが、我々は質で勝る!入れ替え艦となる艦の皆さん、これはあなたたちの新しい家族との初めての戦闘だ!旧艦の皆さん、これはあなたたちの新しい仲間との初めての戦闘だ!互いに信頼し、協力し、敵を撃破しよう!ダレン艦隊、全艦、突撃せよ!」
ダレンの熱い言葉に、ブリッジのクルーは拍手と歓声を上げた。他の艦からも、ダレンの指示に従うという返答が届いた。ダレンは、ホロスクリーンに表示されたカウントダウンを見つめた。
「3、2、1、ジャンプ!」
ダレン艦隊は、一斉に重力ジャンプから離脱した。次の瞬間、ダレン艦隊は敵の艦隊が待ち構える星系に到着し、模擬戦が始まった。
先日の反乱以降、宙兵隊が必ず同行するのだ。
基本的にミカが専属になるのだが、不可の時は代わりを寄越していた。
必要ないと言ったが、これはマクスロイ艦長から、いくら少将とはいえ、旗艦の艦長の権限で嫌と言っても行う、嫌なら旗艦を移してとまで言われたからだ。
彼女たちはダレンの恋人でもあり、艦内では公然と愛情を示していた。ダレンは彼女たちに感謝の言葉を述べた。
「ありがとう。あのジルテット中佐は何を考えているんだ?俺に対してはまだしも、君たちに失礼なことを言って!」
「気にしないで。あの人は昔からそういう性格だったわ。私も士官学校の時に1度やり合ったことがあるの。でも、本当は優秀な人なのよ」
「そうかもしれないが、あの態度は許せないな。今度会ったら・・・そうだな、模擬戦で徹底的に叩きのめしてやる!」
「ダレン、それはやめて。あの人は自分の艦隊に誇りを持っているの。あなたがあまりにも強すぎるから・・・そうね、反発しているだけよ。彼らに寛大なところを示してあげると良いと思うわ」
「ミズリアの言うとおりよ。ダレン、あなたはこの艦隊の司令官なのだから、全員をまとめる責任があるの。あなたが敵を倒すだけの戦闘マシーンではなく、人間として尊敬されるべきなの」
「アタイなら四の五の言わずぶっ飛ばしてやるわ」
ミカは相変わらずだが、ダレンは冷静になれた。
「・・・分かった。ミカはともかく、
言っていることは正しい。俺はまだまだ未熟だな。でも、君たちがいてくれるから、俺は強くなれる。」
ダレンは模擬戦の準備を片付けると、ノリコとミズリアに抱きついて、キスをした。彼女たちはダレンの胸に顔を埋めて、幸せそうに笑った。
まだ時間が有るので、ダレンは彼女たちとゆっくり過ごした。模擬戦の準備は1時間で終わったので、今は彼女たちとの時間を楽しみたかった。
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ダレンは3人と一緒に部屋を出ると、服からバトルスーツへ身を包んでから模擬戦のためにブリッジへ向かった。
万が一被弾して空気が抜けた時を想定し、戦闘時の死亡率を下げる。
1時間は窒息しない。
かなり辛いので、慣れるためだ。
ダレンは旗艦の提督席、ミズリアは副官席、ノリコは参謀長席についた。
また、マクスロイ艦長を始め旗艦のブリッジクルーも揃っている。
ダレン達は周りの士官たちと挨拶を交わし、模擬戦の準備を始めた。
「司令、全艦模擬戦の準備が整いました。5分後に開始で、重力ジャンプから離脱した瞬間からとなります」
「了解しました。司令、模擬戦の開始まであと5分です。敵の艦隊は重力ジャンプから離脱すると目の前に200艦いるという設定です。念の為こちらの構成をお伝えします。第5世代戦艦50、うち20が盾艦、重巡航艦20、軽巡航艦20、駆逐艦30。残りは輸送艦兼工作艦が3、補給艦3、強襲揚陸艦2とフェニックスクラウンを入れて140艦です。また、第4世代艦のうち、第12特別輸送艦に引き渡されたのは、戦艦40、重巡20、軽巡20、駆逐艦30の110艦です。それと駐留艦隊の生き残りは戦艦21、重巡6、軽巡5、駆逐艦11、輸送艦2、宙母1で46艦でしたが、偵察艦が修復され47ですね。それと鹵獲した艦は50の内3艦は非戦闘艦としています。ですので347艦が現在ダレン少将の指揮下にあります」
ダレンはノリコの報告を聞いて、頷いた。この模擬戦は、入れ替え艦となる艦の性能を試すとともに、旧艦との連携を確認するためのものだった。入れ替え艦となる艦は、ダレン艦隊の艦よりも新型で、火力と装甲と機動力が上回っていた。しかし、それだけでは勝てないことも分かっていた。敵の艦隊は、ダレン艦隊の倍以上の数であり、統一された戦術を持っていた。ダレン艦隊は、入れ替え艦となる艦と旧艦のバランスを取りながら、敵の艦隊に対抗することができるだろうか。
「司令、模擬戦の開始まであと1分です。全艦、戦闘態勢に入ってください」
ミズリアが通知した。ダレンはブリッジのクルーに向かって、声を張り上げた。
「よし、みんな、これは本番だと思ってやれ!敵は数で圧倒してくるが、我々は質で勝る!入れ替え艦となる艦の皆さん、これはあなたたちの新しい家族との初めての戦闘だ!旧艦の皆さん、これはあなたたちの新しい仲間との初めての戦闘だ!互いに信頼し、協力し、敵を撃破しよう!ダレン艦隊、全艦、突撃せよ!」
ダレンの熱い言葉に、ブリッジのクルーは拍手と歓声を上げた。他の艦からも、ダレンの指示に従うという返答が届いた。ダレンは、ホロスクリーンに表示されたカウントダウンを見つめた。
「3、2、1、ジャンプ!」
ダレン艦隊は、一斉に重力ジャンプから離脱した。次の瞬間、ダレン艦隊は敵の艦隊が待ち構える星系に到着し、模擬戦が始まった。
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