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第46話 人材不足
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ブリッジには司令部を含め、艦長やクルーの全てが緊張の面持ちで待機していた。
「10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、離脱!」
航法士がカウントダウンを終えると、亜空間から通常空間に出た。
次つぎと僚艦達も離脱する。
「初期スキャンの結果艦影無し!人工物の気配ありません!」
「よし、引き続き詳細を頼む」
次に短いアラームと共に通信士が報告する。
「報告します!輸送艦の観測班より入電、人類の星系図にない星系とのこと。進軍方向最寄りの恒星まで12光年、1番近い恒星は3光年との事で、ハビタブルゾーンに惑星無し」
「ミズリア、どう思う?」
敵艦がいればダレンの出番だが、何も無いとなるとダレンの出番は少ない。
「はい。念の為輸送艦より偵察衛星等を飛ばし、重力ジャンプをする予定宙域の索敵をする程度でよいかと思います。1天文から15天文内がガス惑星ばかりですし、その衛星に資源採掘による価値も無さそうですわ。小惑星帯も重力ジャンプが可能な範囲にはなさそうなので、敵がいたとしてもどこかの衛星だと思われます」
「私もミズリアと同じ評価ね。何も無いところはさっさと離脱するに限るわね」
ミズリアとノリコの評価にダレンは当面の行動指針を決めた。
「分かった。全艦に告げる。ダレンだ。警戒体制を解き通常シフトに移行せよ。これより旗艦が指定するエリアに向かう。目的は速やかに重力ジャンプをする為だ。重力ジャンプの目的地は15光年離れた恒星とする。1時間後にホロ会議を行うので、警戒当番の護衛艦5番と10番の艦以外は艦長が参加のこと。緊急報告以外は艦隊データベースを更新せよ!以上」
重力ジャンプをすると、基本的に地球に例えると火星と木星の間辺りの、つまり、アストロベルトの軌道戦後にジャンプアウトする。
そこから天王星から海王星軌道辺りまで恒星から距離を取る。
そこなら重力ジャンプが可能だ。
だから今は恒星から離れる方向に重力ドライブを使って航行している。
ダレンは敵がいない事に安堵したが、ミズリアとノリコ、マクスロイ艦長のみ集まり、プライバシーフィルターを発生させホロ会議の前に今後について協議に入った。
「艦長、忙しいところ悪いね。このまま当初予定の人類の星系があると思われる方面に進むか、隊を分けたりして探査をしながら行くか決めたいからなんだ」
「了解しました。今は訓練以外特にやる事もなく、副長に任せておけます」
「それよりも補給を行っても良いと思うのだけど?」
ノリコが意見を出した。
この辺りの兵站についてはダレンは弱い。模擬戦ではAIが処理し、兵站については輸送艦がいれば適時補給できていた設定だったため、ダレンの得意な土俵で戦えたのだ。今敵艦が現れればダレンは大活躍するが、平時は役に立たない。
「提案があります。司令部の人員が足らないわ!特に兵站面が弱いわ!今はミズリア中尉がしているけど、そちらに大分リソースを取られているわ!だから司令部の人員を追加することよ!」
「宜しいですか?」
マクスロイ艦長が真っ先に手を上げた。
ダレンが頷くと話を続けた。
「客員として輸送艦にいる少佐以上の中に、今もコールドスリープしている者がいるようですが、その中にその道のプロがいそうなものですが?」
「少し待て、一理あるな。どうやって調べれば分かる?数千人は寝ているんだぞ」
ミズリアとノリコがダレンの横に座り、体を寄せている。
「・・・こうやってみてはどう?」
「これも加えると確実性が上がりますわね!」
「ちょっと聞いていますか?」
ダレンは美人2人に挟まれ、そのフェロモンにくらくらしていた。
「あっはい。そう、そうだな。やってくれ!」
その様子をマクスロイ艦長は微笑ましく見ており、無敵の狂犬も女性には弱いのかとほくそ笑む。
その中に1人該当者がいた。
配置換えで本国から別の星系の駐留艦隊後方幕僚の兵站担当がいたのだ。
また、ダレンの士官学校時代の先輩がいた。
これまで名簿を精査してこなかったが、上の階級から名前と士官学校の卒業年から、自分の在校時の見知った名前を見ていた。
「いた!」
「何ですか?」
ノリコはジトッとした目でダレンを見る。
その目は男心をくすぐるが、ダレンは別の意味で興奮しており、【ジト目だ!ごちそうさま!】と心で思うも、まるで新しいおもちゃを与えられた子どものようにはしゃいだ。
「ノリコ大佐も知ってるだろ?ビーコルク先輩だよ!確か上司の不興を買って後方支援に回されたって聞いていたが、まさか客の中にいたなんて思わなかったよ!」
「ちょっと待ってください・・・これって」
「ミズリア・・・当たりね!まあ、士官学校ではこの人を含めた悪童のボスみたいな人よ。ただ、卒業後は至って勤勉で、その事務能力の高さから後方支援の事務方トップ候補で、別の星系事務方の総監に着く予定だったのね。えっと、着任地で准将に昇進する辞令を受け取る予定だったようね。あっ!ご家族もいるわ。家族構成は奥様と娘さんと息子さんの4人ね。」
「よし!有用そうな者は順次起こせ!それと先輩は結婚してたのか?3年前にあった時はそんな事言っていなかったぞ!」
そうしてホロ会議前に、助っ人となる艦の指揮系統から外れた者を叩き起こす事になった。
「10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、離脱!」
航法士がカウントダウンを終えると、亜空間から通常空間に出た。
次つぎと僚艦達も離脱する。
「初期スキャンの結果艦影無し!人工物の気配ありません!」
「よし、引き続き詳細を頼む」
次に短いアラームと共に通信士が報告する。
「報告します!輸送艦の観測班より入電、人類の星系図にない星系とのこと。進軍方向最寄りの恒星まで12光年、1番近い恒星は3光年との事で、ハビタブルゾーンに惑星無し」
「ミズリア、どう思う?」
敵艦がいればダレンの出番だが、何も無いとなるとダレンの出番は少ない。
「はい。念の為輸送艦より偵察衛星等を飛ばし、重力ジャンプをする予定宙域の索敵をする程度でよいかと思います。1天文から15天文内がガス惑星ばかりですし、その衛星に資源採掘による価値も無さそうですわ。小惑星帯も重力ジャンプが可能な範囲にはなさそうなので、敵がいたとしてもどこかの衛星だと思われます」
「私もミズリアと同じ評価ね。何も無いところはさっさと離脱するに限るわね」
ミズリアとノリコの評価にダレンは当面の行動指針を決めた。
「分かった。全艦に告げる。ダレンだ。警戒体制を解き通常シフトに移行せよ。これより旗艦が指定するエリアに向かう。目的は速やかに重力ジャンプをする為だ。重力ジャンプの目的地は15光年離れた恒星とする。1時間後にホロ会議を行うので、警戒当番の護衛艦5番と10番の艦以外は艦長が参加のこと。緊急報告以外は艦隊データベースを更新せよ!以上」
重力ジャンプをすると、基本的に地球に例えると火星と木星の間辺りの、つまり、アストロベルトの軌道戦後にジャンプアウトする。
そこから天王星から海王星軌道辺りまで恒星から距離を取る。
そこなら重力ジャンプが可能だ。
だから今は恒星から離れる方向に重力ドライブを使って航行している。
ダレンは敵がいない事に安堵したが、ミズリアとノリコ、マクスロイ艦長のみ集まり、プライバシーフィルターを発生させホロ会議の前に今後について協議に入った。
「艦長、忙しいところ悪いね。このまま当初予定の人類の星系があると思われる方面に進むか、隊を分けたりして探査をしながら行くか決めたいからなんだ」
「了解しました。今は訓練以外特にやる事もなく、副長に任せておけます」
「それよりも補給を行っても良いと思うのだけど?」
ノリコが意見を出した。
この辺りの兵站についてはダレンは弱い。模擬戦ではAIが処理し、兵站については輸送艦がいれば適時補給できていた設定だったため、ダレンの得意な土俵で戦えたのだ。今敵艦が現れればダレンは大活躍するが、平時は役に立たない。
「提案があります。司令部の人員が足らないわ!特に兵站面が弱いわ!今はミズリア中尉がしているけど、そちらに大分リソースを取られているわ!だから司令部の人員を追加することよ!」
「宜しいですか?」
マクスロイ艦長が真っ先に手を上げた。
ダレンが頷くと話を続けた。
「客員として輸送艦にいる少佐以上の中に、今もコールドスリープしている者がいるようですが、その中にその道のプロがいそうなものですが?」
「少し待て、一理あるな。どうやって調べれば分かる?数千人は寝ているんだぞ」
ミズリアとノリコがダレンの横に座り、体を寄せている。
「・・・こうやってみてはどう?」
「これも加えると確実性が上がりますわね!」
「ちょっと聞いていますか?」
ダレンは美人2人に挟まれ、そのフェロモンにくらくらしていた。
「あっはい。そう、そうだな。やってくれ!」
その様子をマクスロイ艦長は微笑ましく見ており、無敵の狂犬も女性には弱いのかとほくそ笑む。
その中に1人該当者がいた。
配置換えで本国から別の星系の駐留艦隊後方幕僚の兵站担当がいたのだ。
また、ダレンの士官学校時代の先輩がいた。
これまで名簿を精査してこなかったが、上の階級から名前と士官学校の卒業年から、自分の在校時の見知った名前を見ていた。
「いた!」
「何ですか?」
ノリコはジトッとした目でダレンを見る。
その目は男心をくすぐるが、ダレンは別の意味で興奮しており、【ジト目だ!ごちそうさま!】と心で思うも、まるで新しいおもちゃを与えられた子どものようにはしゃいだ。
「ノリコ大佐も知ってるだろ?ビーコルク先輩だよ!確か上司の不興を買って後方支援に回されたって聞いていたが、まさか客の中にいたなんて思わなかったよ!」
「ちょっと待ってください・・・これって」
「ミズリア・・・当たりね!まあ、士官学校ではこの人を含めた悪童のボスみたいな人よ。ただ、卒業後は至って勤勉で、その事務能力の高さから後方支援の事務方トップ候補で、別の星系事務方の総監に着く予定だったのね。えっと、着任地で准将に昇進する辞令を受け取る予定だったようね。あっ!ご家族もいるわ。家族構成は奥様と娘さんと息子さんの4人ね。」
「よし!有用そうな者は順次起こせ!それと先輩は結婚してたのか?3年前にあった時はそんな事言っていなかったぞ!」
そうしてホロ会議前に、助っ人となる艦の指揮系統から外れた者を叩き起こす事になった。
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