忘却の艦隊

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第42話 殴り愛【ザリガン戦】

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 開始のゴングが鳴ると(ゴングの代わりにレンチで壁をぶっ叩く)ダレンとザリガンは拳を合わせると互いに構えた。
 もちろんボクシンググローブを装着してだ。 

 ダレンの方が身長が高く、リーチも長い。
 対するザリガンはダレンに比べ10cmほど身長が低いが、筋肉質で両者の体重は殆ど変わらないはずだ。

  前に出たダレンはジャブを出して距離を測る。
 ザリガンも構えを低くし、パンチをかわしながら接近する。
  ダレンは右ストレートを狙うが、ザリガンは左フックでカウンターを放つ。
 ダレンはガードを固めて、カウンターパンチを受け止めるとザリガンはダレンのガードを崩そうと連打を繰り出す。

 攻守を変えながら様子見だ。
 ダレンはパンチを耐えながらタイミングを見計らう。 
 ダレンが左フックをかわしてカウンター気味に右アッパーを繰り出すと、ザリガンはガード越しにアッパーを受け後ろへ体が浮いた。
  ダレンはチャンスと追撃をかけるが、ザリガンは回復して再び構えた。 

 しかし、ダレンはザリガンの顎にダメージを与えたと確信する。
 ただ、実際はガードにより殆どダメージはないが、ザリガンはダレンのパンチに警戒する。 

 対してダレンは徐々にザリガンにプレッシャーをかけ、コーナーに追い込むも、ザリガンはダレンに食らいつきコーナーを脱した。

 ダレンとザリガンは1R目から激しい打ち合いを繰り広げており、周囲の兵士たちは歓声や応援を送る。
 周りの期待通りにダレンとザリガンは互いに譲らない。

 しかし、あっという間に3分が経過し、レンチで壁を叩く音が鳴り響く。
 そう、1Rが終わりを告げた。

 ダレンとザリガンは1分間のインターバルを経て、再びリングに上がった。 
 セコンドのミカは汗を拭い、水を入れたグラスを口に突っ込む、ただそれだけで送り出したが、それはザリガン側も同じだ。

 ダレンは1Rでザリガンの動きに慣れてきたと感じた。
 しかし、このラウンドからザリガンは、ダレンのパンチに対応するために動きを変えてきたと見る。

  ダレンはジャブとストレートのコンビネーションを繰り返す。
 ザリガンはパンチをガードやスリップでかわすが、ダレンのパンチのスピードとパワーに圧倒される。
 少し舐めていた感もあるが、それは拳に特化したのと総合的な格闘は別物だと言った感情からだ。

 ザリガンはダレンのパンチの隙を突き、フェイントを混ぜボディーブローを入れる。
 見事にフェイントに引っ掛かったダレンはボディーブローを受けて苦痛を感じ、思わず唸った。

  ザリガンはダレンのボディーに追撃し、更にダメージを与えようと執拗にボディーブローを連打する。
 対するダレンはザリガンのボディーブローを防ごうとガードを下げたが、ザリガンはダレンのガードの変化に気づき、ノーモーションで顔面へフックを放つ。

 ダレンは野生の勘?からフックを見切り、お返しと言わんばかりに左フックでカウンターを放つ。 
 油断からザリガンはカウンター気味となった左フックを受け、尻餅をつく形でダウンする。
 出会い頭に驚いてのことだ。

 ダレンはザリガンのダウンを確認するとコーナーに戻るが、これはまぐれ当たりだった。
 少し軌道がずれ、思ったタイミングと少し違ったのだ。 
 レフリーがカウントを始めると、ザリガンはカウントに耳を傾けながら立ち上がろうとする。 
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