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第27話 ランチ
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衛星に着陸し、各艦は各種整備を行っていた。
そんな中、ダレンはフェニックスクラウンに乗り込んでいるならず者共、もとい、航宙軍宙兵と鹵獲した50艦の中で3番艦を選び視察に赴く事にした。
実際にこの目で見ておきたいと、整備中の艦への視察をする事にしたいのだ。
マクスロイ艦長は反対するも、常に宙兵を護衛として連れて行くならばと渋々ながら了承した。
同行する者の中には普段からダレンと手合わせをしている者もいる。
ダレンは無手や武器を使った格闘は得意だが、残念ながら射撃の腕は落ちこぼれだった。
もちろん宙兵に比べたらの話で、士官としては平均的、つまり実戦ではあまり役に立たない。
なので、護衛として銃の腕の良い者が選ばれ、ミカが担った。
彼女は艦隊屈指の射撃の腕前を誇る。
「ダレン、帰ったらアタイは激しくされたいわ!」
宇宙服に着替える時、ミカは今晩の事について誘っていた。
とは言え、お互いまだ肌を重ねている訳では無い。
それどころか、格闘訓練の話だ。
激しい訓練や、今回のように探索まがいの事をすると、お互い燃えてしまう訳でもないし、今のところ恋人でもない。
コールドスリープは他の女子に乞われ、断る理由もないとダレンを誘わなかったが、恋人ではないが、お互いの欲望をぶつける相手になればと思う。
「お手柔らかに頼むぞ。3日前は制服に血が滲み人騒ぎが起こったんだぞ!」
「なんて言ったのさ?」
「女を組み伏せた時に背中に爪が食い込んだってな。誰も信じなくてな、ブラックジョーク扱いだったんだぞ」
「よし、ダレンのは大丈夫だね!アタイのも頼むよ!」
ダレンはミカの宇宙服、今回はパワードスーツの確認をする。
命を預ける者がダブルチェックするものだ。
因みにベッドの上の話ではなく、訓練の時に純粋な寝技を決めに行ったら、背中に爪を立てられてその痛みから寝技を解いた時の話だ。
衛星や惑星に着陸した時、艦と艦の間は低重力用の車で移動する為、ランチと呼ばれる10人乗りの小型艇に乗り込む。
低重力~無重力下での移動手段として小型艦でも1、2艇は積載されている。
一応地球程度の重力ではタイヤでの走行が可能で、オールマイティーな装甲車となる。
汎用性を重視していて、連絡シャトルを兼ねている。
もちろん大型の戦艦や空母、空母機能を持つ艦には攻撃能力を持った小型機が搭載されている。
一応密閉され空気もあるが、万が一襲撃されればヘルメットをかぶる前に真空になるために、基本はスペーススーツ着用だ。移動中は緊急時以外、外からの通信は入らない。
スペーススーツなら12人は乗れるが、基本的に今回のような敵対勢力の勢力圏ではパワードスーツを着用し、動かなければ48時間の生存が可能。
空気及び水再生循環器等で生命維持をし、手榴弾程度ならダメージが無い仕様だ。
装甲車と言っても、今回のような低重力下ではタイヤで走る事はない。
一応付いているが、それは倉庫内で牽引する時、地球ほどの重力や、レーダーに感知されないよう地上に張り付いて移動するので、もう1つの役目は、高度10mほどに浮き上がるので、着地時の衝撃吸収の役目を担う。
鹵獲艦は旗艦から離れた位置にいる。
「ねぇダレン、あんたミズリアが好きなんだろ?」
ダレンが驚いた顔をする。
「何かミズリアに悪くてさ。アタイは別に3人でも良いんだ。何なら妾でもね」
「急にどうした?」
「ほら、アタシ等はもう、元の世界に戻れないじゃない」
「何を言っている?人類の艦と出会えたから、異次元に飛ばされたとかはないぞ?」
「そう言うんじゃなくてさ、アタイらは本国に帰っても、アタイらを知っている人間なんてもういないんだからさ。親なんて・・・とうの昔にくたばっちまっただろうし、家族が欲しいなってさ。妻の座はミズリアに譲るけどさ、アタイのことも愛して欲しいって・・・少しセンチになっちまったのさ。まあ、ガラじゃないんだけどさ」
「そうだな。本国に帰ったらちゃんとしたデートをしような」
「約束よ!ってもう着いたのね・・・よし、おらぁ皆、キィしめんだよ!ダレンが殺られちまったらアタイがお前達を殺すかんな!行くぜ!」
「今日はやけに張り切ってやがるな!」
「ちげえぇよ。ミカのやつ今晩もダレンに抱かれに行くから張り切ってんだよ!にしてもダレンの旦那が羨ましいぜ!誰にも靡かなかったミカがな・・・選んだのがよりによってダレンだぜ!どう足掻いても俺等がヤレるチャンスはもうねぇじゃねえか!」
「何か言ったか?」
「気合い入れなきゃなって言っただけだぜ!」
「お喋りはこれまでだ!油断すんじゃねぇよ!」
ミカはダレンに対し、がさつだが女らしく接する。しかし宙兵隊員相手には活きの良い姉さんだ。
ミカはその能力から何故まだ尉官に上がっていないのか不思議だった。
ふとダレンは隣に座る伍長に聞いた。
「ジャンジー伍長、何故ミカは軍曹止まりなんだ?能力的に少尉をしていても不思議じゃないんだが!?」
「それでやすか。移動前の艦長に昇格させてやるからヤラせろと言われてやしてね、やらせる素振りを見せわざわざベッドの前まで行きやしてね・・・文字通り噛みちぎったんですぜ。食い千切ったのを口の中に押し込んできたそうでやす。そいつもやれなかった上に千切られたと散々ですぜ」
「捕まらなかったのか?」
「チッ、チッ、チッ!3日間の営倉入りだけで正当防衛が証明されやした。録音した会話が証拠になりやしてね。しかし、やり過ぎだとなり最前線送りで。旦那も気を付けた方が良いですぜ!」
「いや、まだそういう関係じゃないんだ」
「嘘でしょ?ああ見えて身持ちの良いようですが、ミカが気を許す相手なんて聞いたことが無いですぜ!てっきり毎晩入り浸っているのだと思っていやした!ならな・・・いくら旦那とはいえ、遊びで抱いたらあっしらは許しやせんぜ!」
「もちろんだ。そっちの話はちゃんと向き合うが、その事件の所為で評価が低いんだな?」
「そうでやす」
「ありがとう!」
そうしていると到着したようだが、その前にミカに声を掛けた。
「ミカ曹長、少し良いか?」
「どうされましたか?」
「少尉になる気はあるか?」
「えっ?」
「知っての通り、特に輸送艦には兵士ばかりで士官が少ない。左官以上は多いが尉官が少ないんだ。実力のある曹長の一部を少尉にと話が上がっている。俺の見た所、君は少々気が短いが、十分能力があると思っている」
「流石、女の悦ばせ方を知ってますね!」
「上がる意志があると思って良いな?」
「私が上がったら、ジャンジー伍長を曹長に上げられないかしら?上官と反りが合わず昇進できなくて、この艦に送られたの」
「もっともな意見だ。よし、この任務を昇格試験とする。全員がだ。全員俺との特別訓練で腕も士官に対する態度も変わっただろうから、俺の権限で上げる事が出来る」
「感謝します!皆聞いたな!大佐を失望させんじゃねえぞ!気合いを入れていくんだぞ!」
皆から元気な声が上がるが、今気になるワードが出た。
「何でだ?フェニックスクラウンへの配置転換はまるで左遷や島流しみたいな感じだが」
「それはデスな、紙装甲な上、侵入が容易だから艦内での戦闘で死亡率が高い。それがなくともデカブツだからいい的だとの宙兵隊上層部の評価で、大佐も知っての通り、腕っぷしは良いが一癖も二癖もあるものが集まっている理由です」
「で、伍長、君もそのくせのある1人なんだろう?」
伍長はプイッと横を向き、口笛を鳴らした。
そんな中、ダレンはフェニックスクラウンに乗り込んでいるならず者共、もとい、航宙軍宙兵と鹵獲した50艦の中で3番艦を選び視察に赴く事にした。
実際にこの目で見ておきたいと、整備中の艦への視察をする事にしたいのだ。
マクスロイ艦長は反対するも、常に宙兵を護衛として連れて行くならばと渋々ながら了承した。
同行する者の中には普段からダレンと手合わせをしている者もいる。
ダレンは無手や武器を使った格闘は得意だが、残念ながら射撃の腕は落ちこぼれだった。
もちろん宙兵に比べたらの話で、士官としては平均的、つまり実戦ではあまり役に立たない。
なので、護衛として銃の腕の良い者が選ばれ、ミカが担った。
彼女は艦隊屈指の射撃の腕前を誇る。
「ダレン、帰ったらアタイは激しくされたいわ!」
宇宙服に着替える時、ミカは今晩の事について誘っていた。
とは言え、お互いまだ肌を重ねている訳では無い。
それどころか、格闘訓練の話だ。
激しい訓練や、今回のように探索まがいの事をすると、お互い燃えてしまう訳でもないし、今のところ恋人でもない。
コールドスリープは他の女子に乞われ、断る理由もないとダレンを誘わなかったが、恋人ではないが、お互いの欲望をぶつける相手になればと思う。
「お手柔らかに頼むぞ。3日前は制服に血が滲み人騒ぎが起こったんだぞ!」
「なんて言ったのさ?」
「女を組み伏せた時に背中に爪が食い込んだってな。誰も信じなくてな、ブラックジョーク扱いだったんだぞ」
「よし、ダレンのは大丈夫だね!アタイのも頼むよ!」
ダレンはミカの宇宙服、今回はパワードスーツの確認をする。
命を預ける者がダブルチェックするものだ。
因みにベッドの上の話ではなく、訓練の時に純粋な寝技を決めに行ったら、背中に爪を立てられてその痛みから寝技を解いた時の話だ。
衛星や惑星に着陸した時、艦と艦の間は低重力用の車で移動する為、ランチと呼ばれる10人乗りの小型艇に乗り込む。
低重力~無重力下での移動手段として小型艦でも1、2艇は積載されている。
一応地球程度の重力ではタイヤでの走行が可能で、オールマイティーな装甲車となる。
汎用性を重視していて、連絡シャトルを兼ねている。
もちろん大型の戦艦や空母、空母機能を持つ艦には攻撃能力を持った小型機が搭載されている。
一応密閉され空気もあるが、万が一襲撃されればヘルメットをかぶる前に真空になるために、基本はスペーススーツ着用だ。移動中は緊急時以外、外からの通信は入らない。
スペーススーツなら12人は乗れるが、基本的に今回のような敵対勢力の勢力圏ではパワードスーツを着用し、動かなければ48時間の生存が可能。
空気及び水再生循環器等で生命維持をし、手榴弾程度ならダメージが無い仕様だ。
装甲車と言っても、今回のような低重力下ではタイヤで走る事はない。
一応付いているが、それは倉庫内で牽引する時、地球ほどの重力や、レーダーに感知されないよう地上に張り付いて移動するので、もう1つの役目は、高度10mほどに浮き上がるので、着地時の衝撃吸収の役目を担う。
鹵獲艦は旗艦から離れた位置にいる。
「ねぇダレン、あんたミズリアが好きなんだろ?」
ダレンが驚いた顔をする。
「何かミズリアに悪くてさ。アタイは別に3人でも良いんだ。何なら妾でもね」
「急にどうした?」
「ほら、アタシ等はもう、元の世界に戻れないじゃない」
「何を言っている?人類の艦と出会えたから、異次元に飛ばされたとかはないぞ?」
「そう言うんじゃなくてさ、アタイらは本国に帰っても、アタイらを知っている人間なんてもういないんだからさ。親なんて・・・とうの昔にくたばっちまっただろうし、家族が欲しいなってさ。妻の座はミズリアに譲るけどさ、アタイのことも愛して欲しいって・・・少しセンチになっちまったのさ。まあ、ガラじゃないんだけどさ」
「そうだな。本国に帰ったらちゃんとしたデートをしような」
「約束よ!ってもう着いたのね・・・よし、おらぁ皆、キィしめんだよ!ダレンが殺られちまったらアタイがお前達を殺すかんな!行くぜ!」
「今日はやけに張り切ってやがるな!」
「ちげえぇよ。ミカのやつ今晩もダレンに抱かれに行くから張り切ってんだよ!にしてもダレンの旦那が羨ましいぜ!誰にも靡かなかったミカがな・・・選んだのがよりによってダレンだぜ!どう足掻いても俺等がヤレるチャンスはもうねぇじゃねえか!」
「何か言ったか?」
「気合い入れなきゃなって言っただけだぜ!」
「お喋りはこれまでだ!油断すんじゃねぇよ!」
ミカはダレンに対し、がさつだが女らしく接する。しかし宙兵隊員相手には活きの良い姉さんだ。
ミカはその能力から何故まだ尉官に上がっていないのか不思議だった。
ふとダレンは隣に座る伍長に聞いた。
「ジャンジー伍長、何故ミカは軍曹止まりなんだ?能力的に少尉をしていても不思議じゃないんだが!?」
「それでやすか。移動前の艦長に昇格させてやるからヤラせろと言われてやしてね、やらせる素振りを見せわざわざベッドの前まで行きやしてね・・・文字通り噛みちぎったんですぜ。食い千切ったのを口の中に押し込んできたそうでやす。そいつもやれなかった上に千切られたと散々ですぜ」
「捕まらなかったのか?」
「チッ、チッ、チッ!3日間の営倉入りだけで正当防衛が証明されやした。録音した会話が証拠になりやしてね。しかし、やり過ぎだとなり最前線送りで。旦那も気を付けた方が良いですぜ!」
「いや、まだそういう関係じゃないんだ」
「嘘でしょ?ああ見えて身持ちの良いようですが、ミカが気を許す相手なんて聞いたことが無いですぜ!てっきり毎晩入り浸っているのだと思っていやした!ならな・・・いくら旦那とはいえ、遊びで抱いたらあっしらは許しやせんぜ!」
「もちろんだ。そっちの話はちゃんと向き合うが、その事件の所為で評価が低いんだな?」
「そうでやす」
「ありがとう!」
そうしていると到着したようだが、その前にミカに声を掛けた。
「ミカ曹長、少し良いか?」
「どうされましたか?」
「少尉になる気はあるか?」
「えっ?」
「知っての通り、特に輸送艦には兵士ばかりで士官が少ない。左官以上は多いが尉官が少ないんだ。実力のある曹長の一部を少尉にと話が上がっている。俺の見た所、君は少々気が短いが、十分能力があると思っている」
「流石、女の悦ばせ方を知ってますね!」
「上がる意志があると思って良いな?」
「私が上がったら、ジャンジー伍長を曹長に上げられないかしら?上官と反りが合わず昇進できなくて、この艦に送られたの」
「もっともな意見だ。よし、この任務を昇格試験とする。全員がだ。全員俺との特別訓練で腕も士官に対する態度も変わっただろうから、俺の権限で上げる事が出来る」
「感謝します!皆聞いたな!大佐を失望させんじゃねえぞ!気合いを入れていくんだぞ!」
皆から元気な声が上がるが、今気になるワードが出た。
「何でだ?フェニックスクラウンへの配置転換はまるで左遷や島流しみたいな感じだが」
「それはデスな、紙装甲な上、侵入が容易だから艦内での戦闘で死亡率が高い。それがなくともデカブツだからいい的だとの宙兵隊上層部の評価で、大佐も知っての通り、腕っぷしは良いが一癖も二癖もあるものが集まっている理由です」
「で、伍長、君もそのくせのある1人なんだろう?」
伍長はプイッと横を向き、口笛を鳴らした。
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