忘却の艦隊

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第23話 反乱

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 一種の反乱が起きた。
 反乱と言っても直接的な暴力によるものではなく、非難や罵倒などによってだ。
 部下たちの一部はダレン大佐に不満を爆発させ、彼を罵倒し、彼に従わないと宣言した。
 彼らはジャンプシステムの操作を奪おうとし、自分たちの判断で本星に帰ろうとした。
 しかし、ダレン大佐はそれを許さなかった。
 彼は反乱者たちに対して厳しく命令した。

「お前たちは何をしているんだ!お前たちは私の指揮下にあり、私に従わなければならない!反抗はもっての外だ!」 
 彼は反乱者たちを制圧しようとした。彼は忠実な部下たちに協力を求めた。彼は反乱者たちを逮捕しようとした。 

 しかし、反乱者たちはそれに抵抗してダレン大佐に対して反抗した。

「大佐、貴官は何様のつもりなんだ!私達を無駄に危険にさらし、見捨てようとしている!あなたは私達の敵としか言いようがない!」 

 彼らはジャンプシステムの操作を奪おうとし、自分たちの判断で本星に帰ろうとした。 
 そんな中、航法士席のオカダ少尉が申し訳なさそうに意見を述べた。

「大佐、皆さん、落ち着いてください。今までのジャンプが外れ、人類の領域にいまだ辿り着いていないのはたのは当然です。私達は人類の知る星系図にない星系に飛んでしまったのですから。私達は位置を特定するのに何度もジャンプしなければなりません。最低でも後15回、最大でも30回です。それができれば、本星に近づくことができます。だから、今回外れたからといって気にしてはなりません。これは仕方のないことです。」 

 オカダ少尉の言葉に、部下たちは少し静かになった。
 彼らはオカダ少尉の説明を聞いて、理解しようとした。
 彼らはオカダ少尉の論理を受け入れようとした。
 しかし、ダレン大佐はそれを聞き入れなかった。
 彼はオカダ少尉に対して怒鳴った。

「黙れ!お前は何を言っているんだ!お前は私達が時間を無駄にしていることを分かっているのか!敵に追われ、ヘタを打つと死ぬかもしれないことを分かっているのか!」  

 ダレン大佐はオカダ少尉の話に同意しようとしなかったばかりか、オカダ少尉を非難しようとした。 

 しかし、ダレンはオカダ少尉の胸ぐらを掴かまんと詰め寄ろうとしたが、そんなダレンとオカダ少尉の間にミズリア少尉が割って入った。

「いけません!落ち着いて下さい」

 ダレンの怒りの形相が変わらないので、ミズリアはダレンを抱きしめる形で止めに入り、そのまま平手打ちをしようとした。

 ミズリア少尉の行動にハッとなり、その華奢な腕をそっと掴むと一歩引いた。

「俺なんかを殴ったら手が折れるぞ。冷静さを欠いてしまった・・・今落ち着くから少し待ってくれ」

 オカダ少尉の言葉について、ダレン大佐は考え直し、オカダ少尉の説明が正しいと認めた。

 そしてオカダ少尉に対して謝罪した。

「すまなかった。君の言うことは正しい。私は君を責めるべきではなかった。実際君は良くやってくれている」  

 そしてオカダ少尉に、この件の代表として全艦に話しをさせることにした。

 ダレン大佐は全艦放送を行い、オカダ少尉にマイクを渡す事にした。

「全艦に対し通信している。重大な話につき、手を休めて聞いてくれ!ここに旗艦航法士首席のオカダ少尉がいる。彼は私達が今どこにいるのか、どうすれば本星に帰れるのかを説明してくれる。彼の話をよく聞くんだ。彼の話に耳を傾けてくれ」

 オカダ少尉は緊張しながらも、自信を持って話し始めた。

「皆さん、こんにちは。私は航法士のオカダ少尉です。私は大佐に命ぜられ、この件の代表として話しをさせていただくことになりました。私は皆さんに私達が今どこにいるのか、どうすれば本星に帰れるのかを説明します」 

 彼はジャンプシステムの仕組みや位置特定の方法や星系図の解釈など、専門的な用語を使って話した。
 彼は分かりやすく図や例を用いて話したつもりで、冷静に論理的に話した。 

 しかし、彼の話は一部のクルーを除き難解だった。
 殆どの者には専門的な用語や図や例が理解できなかった。
 彼らの混乱や不安に拍車をかける事になった。
 そこで、ダレンはミズリア少尉に通訳を頼んだ。ダレンと違い、彼女は話を理解していたからだ。

 彼女は士官学校を学業1位の成績で卒業しており、かなり頭は切れる。
 そんな彼女はオカダ少尉の話を簡単な言葉でわかりやすくかつ、要約して伝えた。

「皆さん、広報官兼副官のミズリア少尉です。私はオカダ少尉の話を分かりやすく説明します。要するに、私達はライナン星系から人類が知らない星系に飛んでしまったんです。だから、本星に帰るには近くの星を見て、地図と比べて方向を決めてからジャンプしなければならないんです。でも、それは簡単じゃないんです。星が遠すぎたり近すぎたりすると、見えなかったりジャンプできなかったりするんです。敵もいるかもしれません。だから、何度も試行錯誤しなければならないんです。人類の星系の位置が判明するのは最低でも後15回、多くて30回程のジャンプを必要とします。それができれば、本星に近づくことができます。ですので今まで知らない星系に出たたからといって気にしてはなりません。これは仕方のないことです」

 ミズリア少尉の言葉に全艦のクルーは納得した。
 彼らはミズリア少尉の解説でようやく事態が理解できた。
 皆ミズリア少尉の言葉を信じた。 

 そして、ダレン大佐が再び話した。

「皆、聞いたとおりだ。我々はまだ本星に帰れる可能性が十分にある。我々はまだ希望を持てるのだ!我々はまだ生きているじゃないか!だから、最後まであきらめるな!最後まで一致団結する必要がある。最後まで戦いぬくのだ!我々は不死鳥です。今こそ、我々の翼を広げて飛び立つ時だ!全艦、ジャンプシステムを整えろ!必ず本星へ帰るぞ!!」
 
 ダレン達の演説に、全艦のクルーは感動と熱意と決意を持って応えた。彼らはダレン大佐とオカダ少尉、ミズリア少尉に感謝した。
 そして落ち着いた彼らはダレン大佐に従った。

 そして補給などを行い、次の星系を選定し10度目のジャンプを実施した。


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 ミラとハルトの物語第二話

 ミラはハルトが格納庫にいるのではないかと向かい、格納庫でハルト中尉の関わった艦が見えた。見間違えるほどに修復され、一目で強化されているのが理解して驚いた。
 彼はどれだけ頑張ったのだろうと、彼女は感心した。
 彼は左舷装甲がずたずたになっていた希少な偵察艦の修復を行う手伝いをすると聞いていた。

 艦のハッチが開いており、胸の高鳴りが激しくなりつつあるのを抑え、ハルトの姿を求めてハッチを潜った。

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