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第3話 ミズリアとの邂逅は水色
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現在ダレン大佐のいる提督室のドアの外側には【調整中に付きノックせよ】と張り紙がされていた。
ドアがドンドンと叩かれるも直ぐに開き、中に女性が入っていったが、彼女は息を切らせていた。
提督室の中は、戦闘艦に似つかわしくないビートの効いた古いR&Bが流れていた。
その女性は何処かで聞いたことがある曲ね?何だったかしら?と思ったが、ハッとなり声を出した。
「大佐?いらっしゃらないのですか?トイレですか?」
トイレをノックするも半開きで、隙間から除くも大佐がいないと分かり首を傾げていた。
何せ提督室の入口には【在中】とあったからだ。
これはセンサーにより自動で表示され、この部屋に主又は許可された者がいる事を示している。
不許可者が侵入していると、警報と【侵入】の表示がされる。
彼女が振り向いて部屋の中を見渡した時、ダレンは体を起こした状態を維持する限界が来て、プハーと息を吐きつつ力を抜いた。
すると上半身が彼女の方に逆さの状態で向き合う形となり、顔と顔が間近になった。
「キャー!」
部屋を訪れた女は兵士ではない。
航宙軍に所属しているが、広報担当官である。
ミズリア・フルフォード少尉20歳。
1年前に士官学校を次席で卒業し、現在は広報担当官として高級将官の取材をし、時に兵士募集のキャッチフレーズを作成し、将来上に上がるための人脈作りの最中でもある。
一見すると安全な後方勤務だが、各提督や将軍に気に入られ、最前線の戦闘任務の取材もある。
カリスマ艦長や提督達の指揮を取材し、その戦果を国民に知らせる部署の一員だ。
間近に戦闘指揮を見られると有り、得るものは大きかった。
そんな中、新造艦の取材をしていたがブリッジクルーの取材中に異変が起こった。
最優先の緊急警報が鳴り響いたのだ。
すなわち敵の襲来を告げる警報だ。
第4惑星と第5惑星の間を哨戒中の偵察艦が敵の偵察艦と遭遇し、左舷側装甲の殆どを失うも辛うじて撃破した。
偵察艦がいると言う事は、敵の本隊が来ている可能性が高い。
勿論威力偵察や、単なる偵察の可能性もある。
第4惑星や第3惑星にいた駐留艦隊が出動した。
そして半日後敵の前哨部隊と会敵し激しい戦闘を行い、これを撃破。
過去のパターンからは、こちらの倍の戦力を引き連れており、同等の戦力規模の本体、その半分の後詰めが来るはずだ。
その為か、輸送任務中の艦艇に緊急の救援要請が入った。
駐留艦隊に勝ち目は薄い。
間が悪いとは正にこの事だろう。
入れ替えの為、実に3割の艦を艦隊から一時的に切り離している時だったからだ。
既にダレンの方、つまり工廠部隊の第12輸送艦隊に引き渡しが済、駐留艦隊の指揮下になかった。
ただ、人員については、例えば旧艦を本星の工廠がある港に入るまでは元のクルーの2割が残り、新造艦の引き渡しクルーと共に当たる。
新造艦の先行クルーと旧艦の8割の者で引き渡される新造艦の運営に当たる予定で、数日間は引き継ぎ期間となる予定だった。
現在クルーの乗り換えが1割程終わったところで、指揮系統がぐちゃぐちゃだった。
現在250艦の指揮権はダレン大佐が持っていた。
各艦の艦長達は旗艦からの指示により、戦闘に備え艦内に警報を出して非訓練とし、戦闘態勢を取らせて発進準備をしている。
ただ、旗艦の艦長は指揮権を持つダレン大佐が提督室の引き渡し処理のため、提督室に籠らざるを得なく一時的に連絡手段がない。
ダレン配下の全艦に出撃準備をする事しか出来ない為、手の空いている者を提督室へ走らせるしかなかった。
「ミス・ミズリア。緊急自体故、大佐殿を大至急ブリッジへ連れてきて欲しい!現在提督室は調整中により通信不能だ。本来ではあり得ない事態なのだが、今の旗艦は引き渡し前であり非戦闘艦の状態なんだ。ただ、現実問題として本艦隊に出撃要請が出され、現在本艦以下250艦の指揮権はダレン大佐にあるんだ」
新造砲艦フェニックスクラウンの艦長であるマクスロイ中佐は、ミズリア少尉に頼んだ。
現在のブリッジクルーはまだ操作に不慣れで、1人としてこの場から離れさせたくなく、艦長に指揮権のない広報官に【お願い】するしか無かった。
ミズリアは敬礼をした。
「マクスロイ艦長、了解致しました。至急ダレン大佐を連れてまいります!」
そして今に至る。
ミズリアは突然逆さの人の顔が眼の前に迫り、驚きのあまり悲鳴を上げて尻餅をついた。
戦闘艦のクルーとの区別の為、制服が違いスカートを履いていた。
それもあり、ダレンに下着を晒す形になった。
「むっ!水色か!じゃない、今降りるから少し待ってくれ!」
ダレンは天井に脚を固定しているバンドを外し、ミズリア少尉の前に立った。
上半身裸で、椅子に掛けておいたタオルで汗を拭う。
ミズリアは驚いて尻餅をつき、現在スカートの中が御開帳になっている事に気が付き、真っ赤になりながら手で隠し、立ち上がった。
すると握りこぶし1つ分大きい細マッチョの体が見え、少し見惚れた後、自分が何をしに来たのかを思い出して敬礼をした。
ミズリアは身長160cmちょっとあるが、それでも大佐を見上げる形だ。
事前のプロフィールには180cmとあったはずだ。
それと、その上半身には見覚えのある傷痕があり、一瞬頭が真っ白に。
「どうした?ミズリア少尉?」
ミズリアはハッとなり、自分の名を呼ばれた事に驚きつつ話し始めた。
「ミズリア・フルフォード少尉です。広報担当官でございます。大佐、緊急事態です。艦長より大佐を大至急ブリッジに連れて来るよう要請がありました!駐留艦隊より緊急の救援要請が入ったとの事・・・」
彼女は簡潔に状況を説明した。 ダレンは驚いた表情をした。
「敵が来たのか?この数年なかったはずだが?」
「はい。駐留艦隊が出撃しましたが、敵の本隊がまだ来ていません。当艦隊にも出撃要請が出されました。大佐、貴官が指揮権を持っているとの事です」
ダレン大佐は一瞬眉をしかめた。
「俺がか?」
ダレン大佐は呆然とした。
彼は新造艦の設計者であり、試験艦の指揮官ではある。
しかし、輸送任務中であり戦闘指揮をする事は無いはずだった。
「どうして俺が?」
「大佐、残念ですが今は説明する時間がありません。艦長が指揮権を確認していましたから間違いないと思われます。早くブリッジに行きましょう!」
ミズリアはダレンの腕を引っ張ったが、 ダレンは抵抗しなかった。
彼は自分の運命を感じ取っていた。
「分かった。少し待て」
大佐はコンソールを操作し、緊急設定をし始めた。
「少尉、画面に手を付いて!」
言われるがままに手を付く。
「よし。一旦ここを封鎖する。入れるのは私と君だけにした。悪いが着替えをブリッジまで持って来てくれ。扉の外へ出たらロックを掛けるのを忘れないで欲しい」
「了解しました!」
次の瞬間、ダレン大佐は部屋を出た。
通路に出ると艦内には戦闘警報が鳴り響いていた。また、通路には慌てふためくクルーの姿が見られるも、ダレンの姿を見ると通路を譲る。
通路は高さも幅も2.4mある。
中央にはラインがあり、左側を進むルールがある。
ダレン大佐は最短コースでブリッジを目指し、1分ほどでブリッジへ到着した。
ダレン大佐は上半身裸のままブリッジに入り、マクスロイ艦長へ敬礼をした。
実に締まらない格好だが、クルーは噂の細マッチョの上半身をちらりと見、若い女性クルーは頬を赤らめていた。
宙兵隊がブリッジの入り口にて立哨をしているが、ダレンを知っているからか誰何されることもなくブリッジへ入った。
ドアがドンドンと叩かれるも直ぐに開き、中に女性が入っていったが、彼女は息を切らせていた。
提督室の中は、戦闘艦に似つかわしくないビートの効いた古いR&Bが流れていた。
その女性は何処かで聞いたことがある曲ね?何だったかしら?と思ったが、ハッとなり声を出した。
「大佐?いらっしゃらないのですか?トイレですか?」
トイレをノックするも半開きで、隙間から除くも大佐がいないと分かり首を傾げていた。
何せ提督室の入口には【在中】とあったからだ。
これはセンサーにより自動で表示され、この部屋に主又は許可された者がいる事を示している。
不許可者が侵入していると、警報と【侵入】の表示がされる。
彼女が振り向いて部屋の中を見渡した時、ダレンは体を起こした状態を維持する限界が来て、プハーと息を吐きつつ力を抜いた。
すると上半身が彼女の方に逆さの状態で向き合う形となり、顔と顔が間近になった。
「キャー!」
部屋を訪れた女は兵士ではない。
航宙軍に所属しているが、広報担当官である。
ミズリア・フルフォード少尉20歳。
1年前に士官学校を次席で卒業し、現在は広報担当官として高級将官の取材をし、時に兵士募集のキャッチフレーズを作成し、将来上に上がるための人脈作りの最中でもある。
一見すると安全な後方勤務だが、各提督や将軍に気に入られ、最前線の戦闘任務の取材もある。
カリスマ艦長や提督達の指揮を取材し、その戦果を国民に知らせる部署の一員だ。
間近に戦闘指揮を見られると有り、得るものは大きかった。
そんな中、新造艦の取材をしていたがブリッジクルーの取材中に異変が起こった。
最優先の緊急警報が鳴り響いたのだ。
すなわち敵の襲来を告げる警報だ。
第4惑星と第5惑星の間を哨戒中の偵察艦が敵の偵察艦と遭遇し、左舷側装甲の殆どを失うも辛うじて撃破した。
偵察艦がいると言う事は、敵の本隊が来ている可能性が高い。
勿論威力偵察や、単なる偵察の可能性もある。
第4惑星や第3惑星にいた駐留艦隊が出動した。
そして半日後敵の前哨部隊と会敵し激しい戦闘を行い、これを撃破。
過去のパターンからは、こちらの倍の戦力を引き連れており、同等の戦力規模の本体、その半分の後詰めが来るはずだ。
その為か、輸送任務中の艦艇に緊急の救援要請が入った。
駐留艦隊に勝ち目は薄い。
間が悪いとは正にこの事だろう。
入れ替えの為、実に3割の艦を艦隊から一時的に切り離している時だったからだ。
既にダレンの方、つまり工廠部隊の第12輸送艦隊に引き渡しが済、駐留艦隊の指揮下になかった。
ただ、人員については、例えば旧艦を本星の工廠がある港に入るまでは元のクルーの2割が残り、新造艦の引き渡しクルーと共に当たる。
新造艦の先行クルーと旧艦の8割の者で引き渡される新造艦の運営に当たる予定で、数日間は引き継ぎ期間となる予定だった。
現在クルーの乗り換えが1割程終わったところで、指揮系統がぐちゃぐちゃだった。
現在250艦の指揮権はダレン大佐が持っていた。
各艦の艦長達は旗艦からの指示により、戦闘に備え艦内に警報を出して非訓練とし、戦闘態勢を取らせて発進準備をしている。
ただ、旗艦の艦長は指揮権を持つダレン大佐が提督室の引き渡し処理のため、提督室に籠らざるを得なく一時的に連絡手段がない。
ダレン配下の全艦に出撃準備をする事しか出来ない為、手の空いている者を提督室へ走らせるしかなかった。
「ミス・ミズリア。緊急自体故、大佐殿を大至急ブリッジへ連れてきて欲しい!現在提督室は調整中により通信不能だ。本来ではあり得ない事態なのだが、今の旗艦は引き渡し前であり非戦闘艦の状態なんだ。ただ、現実問題として本艦隊に出撃要請が出され、現在本艦以下250艦の指揮権はダレン大佐にあるんだ」
新造砲艦フェニックスクラウンの艦長であるマクスロイ中佐は、ミズリア少尉に頼んだ。
現在のブリッジクルーはまだ操作に不慣れで、1人としてこの場から離れさせたくなく、艦長に指揮権のない広報官に【お願い】するしか無かった。
ミズリアは敬礼をした。
「マクスロイ艦長、了解致しました。至急ダレン大佐を連れてまいります!」
そして今に至る。
ミズリアは突然逆さの人の顔が眼の前に迫り、驚きのあまり悲鳴を上げて尻餅をついた。
戦闘艦のクルーとの区別の為、制服が違いスカートを履いていた。
それもあり、ダレンに下着を晒す形になった。
「むっ!水色か!じゃない、今降りるから少し待ってくれ!」
ダレンは天井に脚を固定しているバンドを外し、ミズリア少尉の前に立った。
上半身裸で、椅子に掛けておいたタオルで汗を拭う。
ミズリアは驚いて尻餅をつき、現在スカートの中が御開帳になっている事に気が付き、真っ赤になりながら手で隠し、立ち上がった。
すると握りこぶし1つ分大きい細マッチョの体が見え、少し見惚れた後、自分が何をしに来たのかを思い出して敬礼をした。
ミズリアは身長160cmちょっとあるが、それでも大佐を見上げる形だ。
事前のプロフィールには180cmとあったはずだ。
それと、その上半身には見覚えのある傷痕があり、一瞬頭が真っ白に。
「どうした?ミズリア少尉?」
ミズリアはハッとなり、自分の名を呼ばれた事に驚きつつ話し始めた。
「ミズリア・フルフォード少尉です。広報担当官でございます。大佐、緊急事態です。艦長より大佐を大至急ブリッジに連れて来るよう要請がありました!駐留艦隊より緊急の救援要請が入ったとの事・・・」
彼女は簡潔に状況を説明した。 ダレンは驚いた表情をした。
「敵が来たのか?この数年なかったはずだが?」
「はい。駐留艦隊が出撃しましたが、敵の本隊がまだ来ていません。当艦隊にも出撃要請が出されました。大佐、貴官が指揮権を持っているとの事です」
ダレン大佐は一瞬眉をしかめた。
「俺がか?」
ダレン大佐は呆然とした。
彼は新造艦の設計者であり、試験艦の指揮官ではある。
しかし、輸送任務中であり戦闘指揮をする事は無いはずだった。
「どうして俺が?」
「大佐、残念ですが今は説明する時間がありません。艦長が指揮権を確認していましたから間違いないと思われます。早くブリッジに行きましょう!」
ミズリアはダレンの腕を引っ張ったが、 ダレンは抵抗しなかった。
彼は自分の運命を感じ取っていた。
「分かった。少し待て」
大佐はコンソールを操作し、緊急設定をし始めた。
「少尉、画面に手を付いて!」
言われるがままに手を付く。
「よし。一旦ここを封鎖する。入れるのは私と君だけにした。悪いが着替えをブリッジまで持って来てくれ。扉の外へ出たらロックを掛けるのを忘れないで欲しい」
「了解しました!」
次の瞬間、ダレン大佐は部屋を出た。
通路に出ると艦内には戦闘警報が鳴り響いていた。また、通路には慌てふためくクルーの姿が見られるも、ダレンの姿を見ると通路を譲る。
通路は高さも幅も2.4mある。
中央にはラインがあり、左側を進むルールがある。
ダレン大佐は最短コースでブリッジを目指し、1分ほどでブリッジへ到着した。
ダレン大佐は上半身裸のままブリッジに入り、マクスロイ艦長へ敬礼をした。
実に締まらない格好だが、クルーは噂の細マッチョの上半身をちらりと見、若い女性クルーは頬を赤らめていた。
宙兵隊がブリッジの入り口にて立哨をしているが、ダレンを知っているからか誰何されることもなくブリッジへ入った。
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