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第三章 事業発展編

第93話 魔物の異変

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 翌日、夜明けとともにロイたち晶石の舞はスライムを狩る為に出発した。

 コナリスから研究用、とリックガントからは製品の材料となるスライムの在庫不足を知らされ、ロイはパーティーを率いて当面の間スライム狩りに集中することを決定した。

 ヴィーナスラヴェールの大ヒットにより増産体制に入り、ロイが護衛依頼時に渡したスライムは既に工房で加工に回されている。

 彼らにとって、スライムは単なる魔物ではなく、研究と商売の両輪を支える重要な資源であった。
 森や洞窟を彷徨いながらスライムを追い求める過程で、彼らは魔物の出没パターンに不可解な変化が生じていることに気づき始めた。

「なあロイ、なんかあのスライム大きくないか?」

 発見したミランダに導かれ、問題のスライムを見ると、確かにこれまで捕えたのと比べ一回り大きい。
 遠目からもはっきり分かる。

 ただ、警戒はかなりしつつ、いつもの狩り方で試みる。
 ソニアの動作も堂に入っており、網を良い感じに投げられる。
 スライムは概ね3m以内に入ったり、ダメージを食らわない限りこちらに反応することはない。

 そのスライムに近付いて行くと、エリナがロイの腕を掴む。

「えっと、ロイは離れたところから魔石を抜き取れるわよね?」

 ロイはあっ!というような顔になる。

「う、うん。忘れていたよ」

 ロイは穴があれば入りたいなと思うほど恥ずかしかった。やっちまうところだったと。

 今日特に注目すべきは、狩ったスライム20体の中に異例とも言える一回り大きなスライムが2体含まれていたことだ。

 この大型スライムは通常のものと比較して格段に多量のスライムエッセンスを含んでおり、それぞれが極めて高い価値を有していると思われる。

 これを受け、パーティーはこれら大型スライムがなぜ現れたのか、そしてどのようにして捕獲するかについて、熱心な議論を展開した。

 魔石の大きさは普通のスライムの倍ほどだ。
 しかし、個体数が少なく試したいパターンが色々あるものの今回は魔石を抜き取ったままのと、魔石を封入したスライムをソニアが収納。

 そうして狩りが進む中、予期せぬことにオークの群れが突然ロイたちの前に現れた。
 普通スライム以外出ないエリアなのだが、悠然と歩いているオークの群れと鉢合わせになった。

 この突発的な事態にも関わらず、パーティーは冷静さを保ち、激しい戦いを繰り広げた。

 そんな中、3体のオークを無事に生け捕りにすることに成功した。

 生け捕りにしたオークを利用して、魔石合成にてスキル玉を生み出す実験を試みた。

 スキル玉は冒険者にとって非常に貴重で、特定のスキルを習得することが可能となるため、この実験の成功は彼らにとって重大な成果となった。

 元々同種の魔石を生きた魔物の魔石に合成し、スキル玉が生成され、その魔物が死ぬことは分かっている。
 離れたところから出来るかどうかの実験だ。 

 離れた位置から合成するのは無理で、触れている必要があることが判明。
 離れた位置から抜き取った魔石と、触れながら抜き取った魔石を使い合成をするも、得られるスキル玉に差は見られなかった。

 その場で合成を試みたが、何故この場所にオーク、しかも逃げているのではなく、群れで移動しているのがいたのか、これらの現象が何を意味するのかについて、パーティーは深く思索を巡らせた。

 魔物たちの出現パターンの変化は、たまたまなのか、もしかすると何か大きな変動の兆しである可能性が高い。

 また、大型スライムやオークの群れが現れたことは、魔物のパワーバランスに何らかの影響を及ぼしている可能性があると彼らは考えた。

 これらの貴重な発見は、ロイにとって重要な情報源となった。新たに見つかったスライムや魔石の潜在能力を最大限に引き出し、新製品開発へと繋げることが彼らの目標となった。

 また、魔物たちの異常な挙動にも注意を払い、その原因となる要因を解明するためのさらなる調査が企画された。パーティーは、これらの課題を乗り越え、未踏の領域への探索を深めていくことで、リックガント商店の新たな未来を切り拓いていくことになる。彼らの冒険は、新たな発見とともに、まだまだ続いていく。
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