66 / 125
第二章 美容薬販売編
第65話 美容薬販売開始
しおりを挟む
パワーレベリング開始から一週間が経過し、当初の計画通りにパワーレベリングを終えたジミナルは、新たな力を得てブロンズランクへと昇格した。パワーレベリングと平行して行われた素材集めも順調に進んでいた。
ロイもリックガントから頼まれていた魔石の確保が出来たりと皆にとって充実した1週間となった。
ジミナルの心には、ヤーナへのプロポーズという大きな決意が芽生えていた。
ブロンズランクになれば格好も付き、彼女の夫として恥をかかせずに済むと安堵の息を吐いた。
パワーレベリングを終えたジミナルのパラメーターだ
**ジミナルのパラメーター**
- **レベル**: 3
- **体力**: 5
- **魔力**: 3
- **技術**: 5
- **知識**: 3
- **魅力**:3
- **運**: 2
- **加護**: 3
ジミナルの加護は研磨。
ギフトは砥石使いだが、これまでは精々包丁やナイフ、手持ち武器をメンテナンスするのに役に立つ程度の外れギフトだった。
パワーレベリングを終えた後、金属を研磨すると、鏡面加工ができ、ガラスの研磨が可能となった。
また、武器を砥ぐと、武器の切れ味と強度が増す不思議加工が可能となった。
これはロイがある程度予測していて、リラによる鑑定にて確定した。ジミナルが砥いだロイの剣が+補正が入り、ナイフなどでも試した結果だ。
リックガント魔法道具店では、サンプル配布から一転、明日からは正式な販売が始まる。リラはギルドを休み、ロイたちも店の手伝いに駆り出される。
店の外ではロイとベリーズが開店前に並んだ客の列を整理し、時折起こる小さなトラブルに対処する。開店前だというのに、大勢の女性が開店を待ちわびていた。
計画では店内ではミランダが警戒担当として、鋭い眼差しで店内に目を配る。エリナはその人当たりの良さで臨時スタッフとして、客たちを優しく迎え入れる。
ソニアは収納持ちなのもあり、彼女の収納に入れている大量の商品を管理する。リックガントと共に倉庫係として順次商品を出して行く。
リラと彼女の母親は会計を担当し、タニスは店内全体を仕切る。彼女は店舗運営の要として招請している。コナリスは一番詳しいスタッフとして、女性客の応対を担う。
朝の光が店のシャッターを照らすと、既に外には長蛇の列ができており、店内からチラリと見えるその様子にミランダは驚愕していた。
「な、な、なんでこんなにいやがるんだよ!」
彼女は自分たちの商品がこれほどまでに待ち望まれているとは思ってもいなかった。彼女の手はわずかに震え、緊張の色を隠せないでいた。
「大丈夫よ。お兄さんとロイ様が外で目を光らせているわ」
エリナがそっとミランダに声をかける。
タニスは当たり前のように女装をしており、少し奇抜なメイド服を着ていてオープニングの司会を務める。
オープンの時間が来て、タニスと、緊張している店主のリックガントが店の前に出ていく。
タニスの姿は華やかで、集まった群衆の目を引くのに十分だった。彼のハスキーボイスは明るく、店の前に集まった人々に向けて響き渡った。
「皆様、お待たせいたしました! 本日はリックガント魔法道具店の新たな美容薬『ヴィーナスラヴェール』の販売開始日です!十分な数を用意していますのでご安心を!それでは店主を紹介します」
店主のリックガントは、少し緊張しながらも前に出てきた。彼の挨拶は不器用だったが、その誠実さは人々の心に響いた。
「えー、皆さん、本日はご来店いただき、誠にありがとうございます。私たちの店が提供するこの新しい美容薬には、自信を持っております。スタッフを見て頂けるとよく分かるかと思います。皆様の日々がより輝かしいものとなりますように。それでは本日の営業を開始いたします」
ほどなくして店内は混雑してしまい、入店制限を余儀なくされた。
ロイは外で列に並んでいる人々に向けて声をかけた。
「ご安心ください、皆様には十分な数の商品がございます。順番にご案内させていただきますので、今しばらくお待ちください」
途中から店から出た人数だけを中に入れざるを得なくなった。
店内ではコナリスが女性客の応対をしていた。彼女は一人ひとりに丁寧に商品の説明をし、「お一人様5本まで」という個数制限と服用の注意を促した。
「1日に一本のみお飲みください。2本飲むとお腹を下し、逆に肌荒れの原因になりますからご注意ください」
リラたちも会計時に念押しで説明をしていた。
試食コーナーでは、スライムの切り身が提供され、来店者はその効果を実際に体験できた。店は盛況でスタッフたちは忙しさに目が回るほどだった。
しかし、その成功を妬んだ他の化粧品店の者が、突如として店内に怒鳴り込んできた。
「お前たちのせいで、うちの店に客が来なくなった!どうしてくれるんだ!責任者を出さぬか!」
と彼は憤慨していたが、奥から騒ぎを聞き付けたリックガントが出てきた。
彼は落ち着いて対応しようとしたが、その男は聞く耳を持たなかった。店内は一時的に緊張に包まれたが、スタッフたちは冷静に事態を収束させようと努めた。
いきなり連れの粗雑な男がリックガントに殴りかかるも、背後からベリーズがその腕を掴む。そしてロイが現れた。
「開発者のロイです。他のお客様の迷惑になりますし、大勢の方の前で貴方も怒鳴り散らすのは評判を落としますよ。奥で話を聞きましょう」
ロイの言葉を聞いた男は、怒りから顔を真っ赤にしたのだった。
ロイもリックガントから頼まれていた魔石の確保が出来たりと皆にとって充実した1週間となった。
ジミナルの心には、ヤーナへのプロポーズという大きな決意が芽生えていた。
ブロンズランクになれば格好も付き、彼女の夫として恥をかかせずに済むと安堵の息を吐いた。
パワーレベリングを終えたジミナルのパラメーターだ
**ジミナルのパラメーター**
- **レベル**: 3
- **体力**: 5
- **魔力**: 3
- **技術**: 5
- **知識**: 3
- **魅力**:3
- **運**: 2
- **加護**: 3
ジミナルの加護は研磨。
ギフトは砥石使いだが、これまでは精々包丁やナイフ、手持ち武器をメンテナンスするのに役に立つ程度の外れギフトだった。
パワーレベリングを終えた後、金属を研磨すると、鏡面加工ができ、ガラスの研磨が可能となった。
また、武器を砥ぐと、武器の切れ味と強度が増す不思議加工が可能となった。
これはロイがある程度予測していて、リラによる鑑定にて確定した。ジミナルが砥いだロイの剣が+補正が入り、ナイフなどでも試した結果だ。
リックガント魔法道具店では、サンプル配布から一転、明日からは正式な販売が始まる。リラはギルドを休み、ロイたちも店の手伝いに駆り出される。
店の外ではロイとベリーズが開店前に並んだ客の列を整理し、時折起こる小さなトラブルに対処する。開店前だというのに、大勢の女性が開店を待ちわびていた。
計画では店内ではミランダが警戒担当として、鋭い眼差しで店内に目を配る。エリナはその人当たりの良さで臨時スタッフとして、客たちを優しく迎え入れる。
ソニアは収納持ちなのもあり、彼女の収納に入れている大量の商品を管理する。リックガントと共に倉庫係として順次商品を出して行く。
リラと彼女の母親は会計を担当し、タニスは店内全体を仕切る。彼女は店舗運営の要として招請している。コナリスは一番詳しいスタッフとして、女性客の応対を担う。
朝の光が店のシャッターを照らすと、既に外には長蛇の列ができており、店内からチラリと見えるその様子にミランダは驚愕していた。
「な、な、なんでこんなにいやがるんだよ!」
彼女は自分たちの商品がこれほどまでに待ち望まれているとは思ってもいなかった。彼女の手はわずかに震え、緊張の色を隠せないでいた。
「大丈夫よ。お兄さんとロイ様が外で目を光らせているわ」
エリナがそっとミランダに声をかける。
タニスは当たり前のように女装をしており、少し奇抜なメイド服を着ていてオープニングの司会を務める。
オープンの時間が来て、タニスと、緊張している店主のリックガントが店の前に出ていく。
タニスの姿は華やかで、集まった群衆の目を引くのに十分だった。彼のハスキーボイスは明るく、店の前に集まった人々に向けて響き渡った。
「皆様、お待たせいたしました! 本日はリックガント魔法道具店の新たな美容薬『ヴィーナスラヴェール』の販売開始日です!十分な数を用意していますのでご安心を!それでは店主を紹介します」
店主のリックガントは、少し緊張しながらも前に出てきた。彼の挨拶は不器用だったが、その誠実さは人々の心に響いた。
「えー、皆さん、本日はご来店いただき、誠にありがとうございます。私たちの店が提供するこの新しい美容薬には、自信を持っております。スタッフを見て頂けるとよく分かるかと思います。皆様の日々がより輝かしいものとなりますように。それでは本日の営業を開始いたします」
ほどなくして店内は混雑してしまい、入店制限を余儀なくされた。
ロイは外で列に並んでいる人々に向けて声をかけた。
「ご安心ください、皆様には十分な数の商品がございます。順番にご案内させていただきますので、今しばらくお待ちください」
途中から店から出た人数だけを中に入れざるを得なくなった。
店内ではコナリスが女性客の応対をしていた。彼女は一人ひとりに丁寧に商品の説明をし、「お一人様5本まで」という個数制限と服用の注意を促した。
「1日に一本のみお飲みください。2本飲むとお腹を下し、逆に肌荒れの原因になりますからご注意ください」
リラたちも会計時に念押しで説明をしていた。
試食コーナーでは、スライムの切り身が提供され、来店者はその効果を実際に体験できた。店は盛況でスタッフたちは忙しさに目が回るほどだった。
しかし、その成功を妬んだ他の化粧品店の者が、突如として店内に怒鳴り込んできた。
「お前たちのせいで、うちの店に客が来なくなった!どうしてくれるんだ!責任者を出さぬか!」
と彼は憤慨していたが、奥から騒ぎを聞き付けたリックガントが出てきた。
彼は落ち着いて対応しようとしたが、その男は聞く耳を持たなかった。店内は一時的に緊張に包まれたが、スタッフたちは冷静に事態を収束させようと努めた。
いきなり連れの粗雑な男がリックガントに殴りかかるも、背後からベリーズがその腕を掴む。そしてロイが現れた。
「開発者のロイです。他のお客様の迷惑になりますし、大勢の方の前で貴方も怒鳴り散らすのは評判を落としますよ。奥で話を聞きましょう」
ロイの言葉を聞いた男は、怒りから顔を真っ赤にしたのだった。
422
お気に入りに追加
1,807
あなたにおすすめの小説
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。
克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位
超時空スキルを貰って、幼馴染の女の子と一緒に冒険者します。
烏帽子 博
ファンタジー
クリスは、孤児院で同い年のララと、院長のシスター メリジェーンと祝福の儀に臨んだ。
その瞬間クリスは、真っ白な空間に召喚されていた。
「クリス、あなたに超時空スキルを授けます。
あなたの思うように過ごしていいのよ」
真っ白なベールを纏って後光に包まれたその人は、それだけ言って消えていった。
その日クリスに司祭から告げられたスキルは「マジックポーチ」だった。
悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが……
アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。
そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。
実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。
剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。
アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。
子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!
八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。
『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。
魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。
しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も…
そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。
しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。
…はたして主人公の運命やいかに…
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
序盤でざまぁされる人望ゼロの無能リーダーに転生したので隠れチート主人公を追放せず可愛がったら、なぜか俺の方が英雄扱いされるようになっていた
砂礫レキ
ファンタジー
35歳独身社会人の灰村タクミ。
彼は実家の母から学生時代夢中で書いていた小説をゴミとして燃やしたと電話で告げられる。
そして落ち込んでいる所を通り魔に襲われ死亡した。
死の間際思い出したタクミの夢、それは「自分の書いた物語の主人公になる」ことだった。
その願いが叶ったのか目覚めたタクミは見覚えのあるファンタジー世界の中にいた。
しかし望んでいた主人公「クロノ・ナイトレイ」の姿ではなく、
主人公を追放し序盤で惨めに死ぬ冒険者パーティーの無能リーダー「アルヴァ・グレイブラッド」として。
自尊心が地の底まで落ちているタクミがチート主人公であるクロノに嫉妬する筈もなく、
寧ろ無能と見下されているクロノの実力を周囲に伝え先輩冒険者として支え始める。
結果、アルヴァを粗野で無能なリーダーだと見下していたパーティーメンバーや、
自警団、街の住民たちの視線が変わり始めて……?
更新は昼頃になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる