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第一章 冒険者編
第43話 上位種
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スライムの生息地より先の深い森の奥地に足を踏み入れた彼らは、30分ほどで目的地に到着した。
そこには根本から破壊された巨木が横たわっており、一同は首を傾げた。
その木をベリーズが切り倒した段階で、オークが襲ってきたのだ。
しかし根元付近は破損しているが、何かを無理やり引きちぎった痕跡があるも、ベリーズが求めていた部位は無事だった。
ミランダとテリーが回りを警戒する中、ベリーズとロイは枝を切り落とす。枝の数が少なく、エリスのかけてくれた加護による身体強化も相まって、1時間ほどで切り落とした。
ソニアは枝を切り落とした木を試しに収納してみると、見事に成功した。
しかし、テリーはその光景に驚愕した。
「ちょっと待ってくれないか!何故これほどの木があっさり入るのだろうか?」
「テリーさん、詳しくは帰ったら話しますが、収納持ちの人にちゃんと経験値が入れば成長して能力が上がるんですよ」
「なるほど。君はゴールドランクの私より余程物知りのようだね」
それから昨日逃げながら戦った場所へと向かった。それほど戦闘の痕跡を辿るのは苦労しなかった。
そこかしこに痕跡があり、所々オークやオークウォーリアーの死体が転がっているからだ。
そして、最後に倒したオークナイトの死体はまだ無傷で残っていた。
テリーはシルバーランクの魔物を倒したことを称賛した。
「オークナイトは下位の方とはいえ、れっきとしたシルバーランクの魔物だ。よく倒したね。やはりスライムと同じ方法で倒したのかい?」
「いえ。ベリーズさんとミランダさんが僕を逃がそうとしてナイトと戦っていました。僕は逃げる振りをして風下からそっと近付き、触れて魔石を抜き取りました」
「よくよく考えると凄い力だね。中位の魔物すら触れるだけとは」
「でも直接肌に触れないとなんです。もし全身鎧でも着ていたらかなり厳しいんですよ!」
「やり用はあるよ。例えば目に指を突き入れるとかね」
そんな話をしつつ、魔石と討伐証明部位を回収してナイトは収納に入れた。
オークは肉としての需要があり、それなりに売れる。ジョブ持ち、それも格の高い上位種程美味しいのだ。もちろん買取査定も高い。
討伐証明部位は右耳だ。
そしてここからは本格的な調査だ。オークの足跡を逆に追っていくことになる。
何処から来たのか、集落を作っているのか?もし集落があれば場所を確認し、可能なら規模を確認する。
調査結果を元に討伐隊を組むか、討伐依頼が出される。
進むこと20分。
やがて開けたところがあり、オークの集落が視界に入る。
その大きさから一同は息を呑んだ。テリーは冷や汗をかきながら撤退を決意した。
戦いになれば皆を守れない。
もう討伐ら完了したものだと思っていたが、粗末な建物の集落の中に見張り場があり、そこに見張りのオークがいたのだ。
小声で皆に話す。
「甘かった。ナイトが集落の長と思ったが、更に上位種が率いている。そっと下がって速やかに撤退をするよ」
全員同意として頷き、エリナが皆に身体能力向上を使う。
万が一戦闘になった場合に備えてだ。
皆ゆっくり後退り、ソロソロ背を向けようかと言った時にそれは起こった。
パキッ!
ミランダが不運にも枯れ枝を踏んでしまい、大きな音を立てて折れたのだ。
そして、6人に対し最悪の悪夢が現れた。
ゴールドランクでさえ倒すのが困難なオークジェネラルだった。
これはゴールドランク冒険者がパーティーで挑むレベルの相手だ。
「逃げろ!」
テリーが叫び、オークジェネラルの奇襲の一撃を何とか受け止めた。
皆を庇いつつ互角に戦う。
そんな中、ジェネラルはテリーから背を向けていきなり跳躍し、エリナに襲いかかる。
テリーも跳躍し、エリナを庇うもジェネラルの剣による一撃が彼の脇腹を突き刺し、テリーは倒れた。
庇わなければそうはならなかったが、判断ミスから守る選択をしたのが悪手だったとロイは焦る。
ロイはテリーが倒れたのを見ると直ぐにナイフを投げ、ヘイトを稼ぎ自分に引きつける。
膂力は負けるが、騎士仕込の剣技がある。
そうしてロイは次のターゲットになるべく行動した。
しかしジェネラルはロイに容赦なく剣を叩きつけ、数合の後、力負けし始めたロイは遂に刺し貫かれた。
「今だ!」
ロイが叫ぶと、ロイの近くにそっと近付いてきたソニアは、収納から網を投げてロイ共々オークジェネラルを絡ませた。
ジェネラルの剣はロイに刺さっていたが、ロイから剣を引き抜いて網を切り裂こうとした僅かな時間で、ロイは腕を伸ばしてジェネラルに触れた。
「魔石抜き取り」
この一言で戦いに決着がついた。
ロイはそのまま倒れ込み、口から血を吐いていた。
また、集落のオークたちはボスであるジェネラルが死んだと理解すると、森の奥へと逃げていく。
数体ほどこちらに来たが、ベリーズの斧とミランダのエストックが始末していった。
そうして脅威が去るとソニアは網を回収し、中級回復ポーションを二本出した。
一本をベリーズに渡し、テリーの傷を治療してもらう。
「ベリーズさん、中級回復ポーションです。テリーさんに!」
「承知」
ソニアはロイに使い、傷を治していく。
彼らは緊張を解きほぐしながら、警戒をしてロイとテリーが動けるようになるのを待つのだった。
そこには根本から破壊された巨木が横たわっており、一同は首を傾げた。
その木をベリーズが切り倒した段階で、オークが襲ってきたのだ。
しかし根元付近は破損しているが、何かを無理やり引きちぎった痕跡があるも、ベリーズが求めていた部位は無事だった。
ミランダとテリーが回りを警戒する中、ベリーズとロイは枝を切り落とす。枝の数が少なく、エリスのかけてくれた加護による身体強化も相まって、1時間ほどで切り落とした。
ソニアは枝を切り落とした木を試しに収納してみると、見事に成功した。
しかし、テリーはその光景に驚愕した。
「ちょっと待ってくれないか!何故これほどの木があっさり入るのだろうか?」
「テリーさん、詳しくは帰ったら話しますが、収納持ちの人にちゃんと経験値が入れば成長して能力が上がるんですよ」
「なるほど。君はゴールドランクの私より余程物知りのようだね」
それから昨日逃げながら戦った場所へと向かった。それほど戦闘の痕跡を辿るのは苦労しなかった。
そこかしこに痕跡があり、所々オークやオークウォーリアーの死体が転がっているからだ。
そして、最後に倒したオークナイトの死体はまだ無傷で残っていた。
テリーはシルバーランクの魔物を倒したことを称賛した。
「オークナイトは下位の方とはいえ、れっきとしたシルバーランクの魔物だ。よく倒したね。やはりスライムと同じ方法で倒したのかい?」
「いえ。ベリーズさんとミランダさんが僕を逃がそうとしてナイトと戦っていました。僕は逃げる振りをして風下からそっと近付き、触れて魔石を抜き取りました」
「よくよく考えると凄い力だね。中位の魔物すら触れるだけとは」
「でも直接肌に触れないとなんです。もし全身鎧でも着ていたらかなり厳しいんですよ!」
「やり用はあるよ。例えば目に指を突き入れるとかね」
そんな話をしつつ、魔石と討伐証明部位を回収してナイトは収納に入れた。
オークは肉としての需要があり、それなりに売れる。ジョブ持ち、それも格の高い上位種程美味しいのだ。もちろん買取査定も高い。
討伐証明部位は右耳だ。
そしてここからは本格的な調査だ。オークの足跡を逆に追っていくことになる。
何処から来たのか、集落を作っているのか?もし集落があれば場所を確認し、可能なら規模を確認する。
調査結果を元に討伐隊を組むか、討伐依頼が出される。
進むこと20分。
やがて開けたところがあり、オークの集落が視界に入る。
その大きさから一同は息を呑んだ。テリーは冷や汗をかきながら撤退を決意した。
戦いになれば皆を守れない。
もう討伐ら完了したものだと思っていたが、粗末な建物の集落の中に見張り場があり、そこに見張りのオークがいたのだ。
小声で皆に話す。
「甘かった。ナイトが集落の長と思ったが、更に上位種が率いている。そっと下がって速やかに撤退をするよ」
全員同意として頷き、エリナが皆に身体能力向上を使う。
万が一戦闘になった場合に備えてだ。
皆ゆっくり後退り、ソロソロ背を向けようかと言った時にそれは起こった。
パキッ!
ミランダが不運にも枯れ枝を踏んでしまい、大きな音を立てて折れたのだ。
そして、6人に対し最悪の悪夢が現れた。
ゴールドランクでさえ倒すのが困難なオークジェネラルだった。
これはゴールドランク冒険者がパーティーで挑むレベルの相手だ。
「逃げろ!」
テリーが叫び、オークジェネラルの奇襲の一撃を何とか受け止めた。
皆を庇いつつ互角に戦う。
そんな中、ジェネラルはテリーから背を向けていきなり跳躍し、エリナに襲いかかる。
テリーも跳躍し、エリナを庇うもジェネラルの剣による一撃が彼の脇腹を突き刺し、テリーは倒れた。
庇わなければそうはならなかったが、判断ミスから守る選択をしたのが悪手だったとロイは焦る。
ロイはテリーが倒れたのを見ると直ぐにナイフを投げ、ヘイトを稼ぎ自分に引きつける。
膂力は負けるが、騎士仕込の剣技がある。
そうしてロイは次のターゲットになるべく行動した。
しかしジェネラルはロイに容赦なく剣を叩きつけ、数合の後、力負けし始めたロイは遂に刺し貫かれた。
「今だ!」
ロイが叫ぶと、ロイの近くにそっと近付いてきたソニアは、収納から網を投げてロイ共々オークジェネラルを絡ませた。
ジェネラルの剣はロイに刺さっていたが、ロイから剣を引き抜いて網を切り裂こうとした僅かな時間で、ロイは腕を伸ばしてジェネラルに触れた。
「魔石抜き取り」
この一言で戦いに決着がついた。
ロイはそのまま倒れ込み、口から血を吐いていた。
また、集落のオークたちはボスであるジェネラルが死んだと理解すると、森の奥へと逃げていく。
数体ほどこちらに来たが、ベリーズの斧とミランダのエストックが始末していった。
そうして脅威が去るとソニアは網を回収し、中級回復ポーションを二本出した。
一本をベリーズに渡し、テリーの傷を治療してもらう。
「ベリーズさん、中級回復ポーションです。テリーさんに!」
「承知」
ソニアはロイに使い、傷を治していく。
彼らは緊張を解きほぐしながら、警戒をしてロイとテリーが動けるようになるのを待つのだった。
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