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第一章 冒険者編
第32話 実験の初期評価
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宿に移った最初の朝、早目にリックガンド魔法道具店に行くと、ドヤ顔のコナリスに出迎えられた。
ロイはコナリスの目の下にくまがあるような気がしたが、そこは触れない方が良いのかなと、スルーした。
コナリスから最初の2日間取り組んだ実験の報告を受けた。
当然ながら一番商品化し易い内容から取り組んだのだ。
スライムの身をフライパンや鍋で加熱して乾燥させた後、すり鉢等で粉末状にする。その粉を水に溶かして飲むことで、その爽やかな喉ごしと美味しさはもちろん、美容効果もばっちりあることが明らかになった。
「これは売れるわ!」
ソニアの喜びの言葉にロイも目を輝かせた。
もちろん初期の実験で採算度外視だ。量産することを考えなければだが、粉末にするのは何とかなるはずだ。今はまだ天日干しのや、陰干しの切り身を使った物の効果を確かめないとだった。
最善の方法はこれから探るが、粉末にした物にも効果があるので、商品化に期待が膨らむ。
また、切り身自体は口コミが広がれば売れなくもないが、販売店が取り扱いにくい物になるはずだと分かっている。
固形化か、粉末化は必須とリックガンドさんが言っており、最初の実験として、粉末化をする必要があると力説していたのが分かるので、この結果にロイの顔はホクホクだった。
ロイはこの日、ギルドから馬車を借りることに成功した。
「今日は次の検証だよ!良いことが起こる予感がする!」
ロイは意気揚々とフラグとしか思えないと内容を宣言した。
ソニアはロイの教えもあり、既に馬車の扱いに少しは慣れてきていた。
そこでこの日はソニアが御者としてスライム狩りに出た。
「行くわよ、ロイ!」
ソニアが叫ぶと進みだした。
何故か馬車に乗るとテンションが高い。
リラに頼まれた場所でスライムを狩り、重いと唸りながら2体を馬車まで引きずってきた。木の板にロープを付け、スライムを縛り付けただけだが、手に持って抱き上げるよりは遥かに安全だ。
いざとなればロープを離せば、戦闘態勢に移れるからだ。
検証用にスライムを2体積み、馬車が走り出した。
その時、突如として異変が起こった。
喚きながら冒険者が走っているのだ。
そしてロイとソニアがあ然としていると、オークの群れに追われる冒険者たちが目の前に現れた。
「なんて日だ!」
ロイは唸ると直ちに応戦を決意した。
その冒険者は怪我人を引き連れており、一人が殿を努めているらしい。
ロイの視線は若い破廉恥な女性の胸元に釘付けとなった
ごほんごほんと一人咳払いをし、邪念を捨てる。ビキニアーマを着た女性が、怪我をして頭から血を流している女性に肩を貸しており、何とか走っていた。
「こっちだ!その人を馬車に乗せるんだ!」
「悪い!助かるぜ!後一人いるんだ」
ロイは怪我人を馬車に乗せると、ついソニアに命令口調で告げた。
「ソニア、怪我人を連れて急いで町へ戻れ!俺が時間を稼ぐ!その人を助けてやれ!急げ!」
「ロイ、無理をしないでね!」
ロイはソニアに町への逃走を強いた。もしもソニア一人だけだったのならば、逃げる選択はしない。しかし、怪我をして苦しんでいる人がおり、ロイから託され選択肢は一つしかなかった。
「なんでこんなところにオークがいやがる!」
粗野としかいいようのない男が不満を漏らす中、怪我人とその人を支えていた女性を尻目に、その男を含む3人は逃げ去っていった。
ロイはあ然としたが、森から何かが出てくる気配から剣と盾を構え、取り残された女性に目配せして戦闘態勢に。
しかし、後ろを気にしながら戦っている大男が現れた。どうやら彼が殿を引き受けていたようだ。
「くっ!バカな!逃げなかったのか!」
殿をしていた男がロイのところに来て、怪我人を支えていた女性、ロイの計3人が戦いに残った。
「俺たちで怪我人を逃がす時間を稼ごう!」
ロイが2人に告げると同時に、森から出てきたオーク共との戦闘が始まったのだった。
ロイはコナリスの目の下にくまがあるような気がしたが、そこは触れない方が良いのかなと、スルーした。
コナリスから最初の2日間取り組んだ実験の報告を受けた。
当然ながら一番商品化し易い内容から取り組んだのだ。
スライムの身をフライパンや鍋で加熱して乾燥させた後、すり鉢等で粉末状にする。その粉を水に溶かして飲むことで、その爽やかな喉ごしと美味しさはもちろん、美容効果もばっちりあることが明らかになった。
「これは売れるわ!」
ソニアの喜びの言葉にロイも目を輝かせた。
もちろん初期の実験で採算度外視だ。量産することを考えなければだが、粉末にするのは何とかなるはずだ。今はまだ天日干しのや、陰干しの切り身を使った物の効果を確かめないとだった。
最善の方法はこれから探るが、粉末にした物にも効果があるので、商品化に期待が膨らむ。
また、切り身自体は口コミが広がれば売れなくもないが、販売店が取り扱いにくい物になるはずだと分かっている。
固形化か、粉末化は必須とリックガンドさんが言っており、最初の実験として、粉末化をする必要があると力説していたのが分かるので、この結果にロイの顔はホクホクだった。
ロイはこの日、ギルドから馬車を借りることに成功した。
「今日は次の検証だよ!良いことが起こる予感がする!」
ロイは意気揚々とフラグとしか思えないと内容を宣言した。
ソニアはロイの教えもあり、既に馬車の扱いに少しは慣れてきていた。
そこでこの日はソニアが御者としてスライム狩りに出た。
「行くわよ、ロイ!」
ソニアが叫ぶと進みだした。
何故か馬車に乗るとテンションが高い。
リラに頼まれた場所でスライムを狩り、重いと唸りながら2体を馬車まで引きずってきた。木の板にロープを付け、スライムを縛り付けただけだが、手に持って抱き上げるよりは遥かに安全だ。
いざとなればロープを離せば、戦闘態勢に移れるからだ。
検証用にスライムを2体積み、馬車が走り出した。
その時、突如として異変が起こった。
喚きながら冒険者が走っているのだ。
そしてロイとソニアがあ然としていると、オークの群れに追われる冒険者たちが目の前に現れた。
「なんて日だ!」
ロイは唸ると直ちに応戦を決意した。
その冒険者は怪我人を引き連れており、一人が殿を努めているらしい。
ロイの視線は若い破廉恥な女性の胸元に釘付けとなった
ごほんごほんと一人咳払いをし、邪念を捨てる。ビキニアーマを着た女性が、怪我をして頭から血を流している女性に肩を貸しており、何とか走っていた。
「こっちだ!その人を馬車に乗せるんだ!」
「悪い!助かるぜ!後一人いるんだ」
ロイは怪我人を馬車に乗せると、ついソニアに命令口調で告げた。
「ソニア、怪我人を連れて急いで町へ戻れ!俺が時間を稼ぐ!その人を助けてやれ!急げ!」
「ロイ、無理をしないでね!」
ロイはソニアに町への逃走を強いた。もしもソニア一人だけだったのならば、逃げる選択はしない。しかし、怪我をして苦しんでいる人がおり、ロイから託され選択肢は一つしかなかった。
「なんでこんなところにオークがいやがる!」
粗野としかいいようのない男が不満を漏らす中、怪我人とその人を支えていた女性を尻目に、その男を含む3人は逃げ去っていった。
ロイはあ然としたが、森から何かが出てくる気配から剣と盾を構え、取り残された女性に目配せして戦闘態勢に。
しかし、後ろを気にしながら戦っている大男が現れた。どうやら彼が殿を引き受けていたようだ。
「くっ!バカな!逃げなかったのか!」
殿をしていた男がロイのところに来て、怪我人を支えていた女性、ロイの計3人が戦いに残った。
「俺たちで怪我人を逃がす時間を稼ごう!」
ロイが2人に告げると同時に、森から出てきたオーク共との戦闘が始まったのだった。
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