24 / 125
第一章 冒険者編
第24話 スライムを食す
しおりを挟む
ガレスは単なる解体場の長にとどまらない特別な存在だ。彼の魔物に対する扱い方は、他の誰も及びもつかないほどの卓越した技術を誇っている。
その彼が今、新たな挑戦に臨んでいた。彼は体液の回収を最初のステップとして考え、そのために専用のたらいの上で、慎重に抽出用の道具を準備していた。彼の手際の良さは、長年の経験に裏打ちされたものだ。
「これを挿せば体液が吸える」
確信を持ってスライムに切先を差し込んでいくガレスだが、何故か期待した通りの結果が得られない。
彼が試みた抽出方法は、通常ならば液体を吸い出すことができるはずだったが、引き抜いてみると驚くべきことに、器具の先端に刺さっていた物質は液状ではなかった。
それは柔らかさはあるものの、どちらかと言えば固形の状態を保っていたのだ。
さらに通常のスライムが持つべき特有の臭いも感じられない。
ナイフで外皮を割くとやはりもちもちとした固形状の物質があり、ナイフで削ってみた。
まるで肉を切り分けるような感触で、容易に取り除くことができた。
まるで柔らかいチーズのようだ。
この予想外の状況に直面したガレスは、混乱と驚きを隠せずに「なんじゃこりゃぁ…」
大声で叫び、その声は解体場内にこだましていった。彼の前に広がる未知の現象に新たなる挑戦が始まったことを悟り、その解明に向けての一歩を踏み出すことになる。
そしてくんくんと臭いをかぎ、ロイに投げると更にその物質を切り分ける。
「臭わないですね。しかもぷにぷにして中々良い感触ですね」
ガレスはリラとソニアにも短冊状に切り分けた物を渡す。
ソニアはなんの疑いもなく、リラは恐る恐る手に取る。
リラはソニアが躊躇なく受け取ったことに呆れていた。
「貴女ねぇ、女の子なんだから少しは躊躇いなさいよ」
「てへへ。でも確かに良い触り心地ですよね」
「ま、まあ確かにそうね・・・って何しているんですか!」
ガレスが切り分けたそれを口に運んだから、リラが叫んだのだ。
「おう!こりゃあたまげたぞ!ロイ、お前も食ってみろ!美味いぞ」
「食べるんですか?」
「元々スライムの体液は、飲むと回復ポーションの劣化版程度に回復するんだ。腹を下すが、口にできなくもないんだ。だから大丈夫だ。多分な」
「そこは大丈夫だと堂々と言って下さいよ」
そう言いつつロイも口にいれる。
「ちょっとロイ君、何してんのよ!」
リラが思わずロイの肩を掴むが、ロイはすでに咀嚼して飲み込んだ。
「うわっ!美味しいですね。ガレスさんが勧めるからどうかなって思ったけど、うん、これで何もなければ」
「わ、私も頂いても良いですか?」
怖いもの知らずのソニアがおずおずと聞いてきた。
しかし、ガレスは首を横に振る。
「嬢ちゃんはまだ止めときな。こいつが明日の朝元気だったらにしといた方が良いぞ。体に毒か無毒か分からんしな。俺にしろロイにしろ、体の作りは雑だから少々のことじゃ死なんような作りだから大丈夫だろうが、嬢ちゃんたちは繊細な作りだろ?」
ガレスはその見た目に合わないおちゃめなウインクをした。
「は、はい。じゃあ明日にお預けですね」
「それは良いけど、じゃなくて貴女よく考えなさい!あのスライムよ!それはさて置き、これどうしましょう?」
「うん。思うところがあるんだけど、その前にリラさん、誰か薬師とかに知り合いっていない?実験に付き合ってくれそうな人とかいると良いかな」
ソニアがはっとした。
「いるにはいるけど、その子まだ見習いね。確か師匠のところで修行しているわよ。ソニアさん、貴女なら知っているんじゃない?」
「ひょっとしてコナリスさんのことですか?」
「なんだ、ソニアに薬師の知り合いがいるの?」
「いえ。たまに薬草採取で見かける子です」
「そうね。たまに薬草採取依頼を出す子よ。確か師匠は厳しく、ポーション作成の成功率が低い間は自前の素材を使い、成功した分は一緒に卸してその分のお金をもらっているそうよ」
「その子か、師匠さんに検証をする手伝いをお願いできませんか?」
「コナリスさんはまだ腕は安定しないけど、師匠は止めたほうが良いわ。かなりの偏屈らしいの。そうねぇ、道具屋も営んでいて、そこにもポーションを置いているから一度見てきたらどうかしら?」
ロイは少し考え込んだ。
「ガレスさん、この道具って借りられないですよね?」
「流石に駄目だが、多分、今話している道具屋で買えるぞ」
「ありがとうございます。それじゃあそこに行ってみます。明日スライムを狩って試したいんだ。リラさん、場所と店の名前を教えてください」
そうしてロイとソニアの二人は、一度着替えてから、リラに教えられた、リックガンド魔法道具屋へと向かうのだった。
その彼が今、新たな挑戦に臨んでいた。彼は体液の回収を最初のステップとして考え、そのために専用のたらいの上で、慎重に抽出用の道具を準備していた。彼の手際の良さは、長年の経験に裏打ちされたものだ。
「これを挿せば体液が吸える」
確信を持ってスライムに切先を差し込んでいくガレスだが、何故か期待した通りの結果が得られない。
彼が試みた抽出方法は、通常ならば液体を吸い出すことができるはずだったが、引き抜いてみると驚くべきことに、器具の先端に刺さっていた物質は液状ではなかった。
それは柔らかさはあるものの、どちらかと言えば固形の状態を保っていたのだ。
さらに通常のスライムが持つべき特有の臭いも感じられない。
ナイフで外皮を割くとやはりもちもちとした固形状の物質があり、ナイフで削ってみた。
まるで肉を切り分けるような感触で、容易に取り除くことができた。
まるで柔らかいチーズのようだ。
この予想外の状況に直面したガレスは、混乱と驚きを隠せずに「なんじゃこりゃぁ…」
大声で叫び、その声は解体場内にこだましていった。彼の前に広がる未知の現象に新たなる挑戦が始まったことを悟り、その解明に向けての一歩を踏み出すことになる。
そしてくんくんと臭いをかぎ、ロイに投げると更にその物質を切り分ける。
「臭わないですね。しかもぷにぷにして中々良い感触ですね」
ガレスはリラとソニアにも短冊状に切り分けた物を渡す。
ソニアはなんの疑いもなく、リラは恐る恐る手に取る。
リラはソニアが躊躇なく受け取ったことに呆れていた。
「貴女ねぇ、女の子なんだから少しは躊躇いなさいよ」
「てへへ。でも確かに良い触り心地ですよね」
「ま、まあ確かにそうね・・・って何しているんですか!」
ガレスが切り分けたそれを口に運んだから、リラが叫んだのだ。
「おう!こりゃあたまげたぞ!ロイ、お前も食ってみろ!美味いぞ」
「食べるんですか?」
「元々スライムの体液は、飲むと回復ポーションの劣化版程度に回復するんだ。腹を下すが、口にできなくもないんだ。だから大丈夫だ。多分な」
「そこは大丈夫だと堂々と言って下さいよ」
そう言いつつロイも口にいれる。
「ちょっとロイ君、何してんのよ!」
リラが思わずロイの肩を掴むが、ロイはすでに咀嚼して飲み込んだ。
「うわっ!美味しいですね。ガレスさんが勧めるからどうかなって思ったけど、うん、これで何もなければ」
「わ、私も頂いても良いですか?」
怖いもの知らずのソニアがおずおずと聞いてきた。
しかし、ガレスは首を横に振る。
「嬢ちゃんはまだ止めときな。こいつが明日の朝元気だったらにしといた方が良いぞ。体に毒か無毒か分からんしな。俺にしろロイにしろ、体の作りは雑だから少々のことじゃ死なんような作りだから大丈夫だろうが、嬢ちゃんたちは繊細な作りだろ?」
ガレスはその見た目に合わないおちゃめなウインクをした。
「は、はい。じゃあ明日にお預けですね」
「それは良いけど、じゃなくて貴女よく考えなさい!あのスライムよ!それはさて置き、これどうしましょう?」
「うん。思うところがあるんだけど、その前にリラさん、誰か薬師とかに知り合いっていない?実験に付き合ってくれそうな人とかいると良いかな」
ソニアがはっとした。
「いるにはいるけど、その子まだ見習いね。確か師匠のところで修行しているわよ。ソニアさん、貴女なら知っているんじゃない?」
「ひょっとしてコナリスさんのことですか?」
「なんだ、ソニアに薬師の知り合いがいるの?」
「いえ。たまに薬草採取で見かける子です」
「そうね。たまに薬草採取依頼を出す子よ。確か師匠は厳しく、ポーション作成の成功率が低い間は自前の素材を使い、成功した分は一緒に卸してその分のお金をもらっているそうよ」
「その子か、師匠さんに検証をする手伝いをお願いできませんか?」
「コナリスさんはまだ腕は安定しないけど、師匠は止めたほうが良いわ。かなりの偏屈らしいの。そうねぇ、道具屋も営んでいて、そこにもポーションを置いているから一度見てきたらどうかしら?」
ロイは少し考え込んだ。
「ガレスさん、この道具って借りられないですよね?」
「流石に駄目だが、多分、今話している道具屋で買えるぞ」
「ありがとうございます。それじゃあそこに行ってみます。明日スライムを狩って試したいんだ。リラさん、場所と店の名前を教えてください」
そうしてロイとソニアの二人は、一度着替えてから、リラに教えられた、リックガンド魔法道具屋へと向かうのだった。
454
あなたにおすすめの小説
【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜
あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」
貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。
しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった!
失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する!
辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。
これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
魔道具頼みの異世界でモブ転生したのだがチート魔法がハンパない!~できればスローライフを楽しみたいんだけど周りがほっといてくれません!~
トモモト ヨシユキ
ファンタジー
10才の誕生日に女神に与えられた本。
それは、最強の魔道具だった。
魔道具頼みの異世界で『魔法』を武器に成り上がっていく!
すべては、憧れのスローライフのために!
エブリスタにも掲載しています。
称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~
しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」
病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?!
女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。
そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!?
そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?!
しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。
異世界転生の王道を行く最強無双劇!!!
ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!!
小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
出来損ないと追放された俺、神様から貰った『絶対農域』スキルで農業始めたら、奇跡の作物が育ちすぎて聖女様や女騎士、王族まで押しかけてきた
黒崎隼人
ファンタジー
★☆★完結保証★☆☆
毎日朝7時更新!
「お前のような魔力無しの出来損ないは、もはや我が家の者ではない!」
過労死した俺が転生したのは、魔力が全ての貴族社会で『出来損ない』と蔑まれる三男、カイ。実家から追放され、与えられたのは魔物も寄り付かない不毛の荒れ地だった。
絶望の淵で手にしたのは、神様からの贈り物『絶対農域(ゴッド・フィールド)』というチートスキル! どんな作物も一瞬で育ち、その実は奇跡の効果を発揮する!?
伝説のもふもふ聖獣を相棒に、気ままな農業スローライフを始めようとしただけなのに…「このトマト、聖水以上の治癒効果が!?」「彼の作る小麦を食べたらレベルが上がった!」なんて噂が広まって、聖女様や女騎士、果ては王族までが俺の畑に押しかけてきて――!?
追放した実家が手のひらを返してきても、もう遅い! 最強農業スキルで辺境から世界を救う!? 爽快成り上がりファンタジー、ここに開幕!
ひっそり静かに生きていきたい 神様に同情されて異世界へ。頼みの綱はアイテムボックス
於田縫紀
ファンタジー
雨宿りで立ち寄った神社の神様に境遇を同情され、私は異世界へと転移。
場所は山の中で周囲に村等の気配はない。あるのは木と草と崖、土と空気だけ。でもこれでいい。私は他人が怖いから。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる