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第一章 冒険者編

第22話 スライム狩り

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 アイアンランクの冒険者として活動をしているロイとソニアは、ホーンラビットの狩りに励んでいた。しかし、集中して依頼を受けていたのもあり、納材依頼の数が減ってしまった。
 それに伴い、別の依頼をこなす必要を感じていた。

 とはいえ、二足歩行の魔物たるゴブリン討伐を避けていた。これはまだソニアには時期尚早とロイが感じたからだ。
 とはいえ、ブロンズランクの依頼では、ゴブリンの討伐依頼を受ける者が一番多い。

 次に薬草採取等だが、これらはソニアがそうであったように実入りが悪く、本来地元、それも親と同居などしている家計にプラスアルファ、内職程度で済む者の仕事だ。
 冒険者は基本的に魔物を討伐しないと食っていけない。

 しかし、彼らの次なる挑戦は、見た目よりも厄介なスライム駆除依頼だった。スライムはその繁殖力と生命力の強さから、農作物や薬草などの有益な植物へ被害をもたらし、討伐は高い技術を要求される。
 正確には討伐をするのは大したことはないが、何体討伐したか証明するのが難しい。


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 ロイとソニアはスライムが頻繁に出現する森へと足を運び、湿気の多い滑りやすい道を進んでいる。
 スライムは大きな木の根元や水辺に群れており、討伐は簡単ではない。

 ロイは念の為ソニアに注意を促す。

「スライムの討伐は簡単に見えて実は難しい」

「でも、私たちならきっと大丈夫」

 ソニアは自信げに応じた。彼らはスライムを一匹ずつ相手にする。
 最初に見つけた個体に対し、ロイは剣を一閃して体の1/3を切り裂き、盾で叩きつける一般的な戦闘方法を駆使した。
 ソニアは特製の手袋を使ってスライムの体に手を突っ込むと、魔石を引き抜いた。

 ソニアは吹き出す体液を嫌い、横に飛び退いて回避した。

「これで100リュピスって割が合わないですね」

「皆、大変だよな」

 そう言いつつ、今度はソニアに網でスライムを捕まえてもらい、ロイも腕を突っ込んで魔石を抜き取る。

 すかさずソニアから水筒を受け取ると、傷口に当てる。
 体液で満杯になると、まだ外に漏れ出ている間に素早く蓋をする。
 しかし、次の水筒にいれる間もなく体液は地面に吸われていく。

 一般的なやり方で一人につき一個の魔石を抜き取ろうと、ロイは直接腕を突っ込んで抜き取った。

 そして直ぐにソニアが生活魔法で、ロイの腕や体に付着した体液を洗い流していく。 
 
 ロイは打ち合わせの時に、一般的な冒険者が行っている方法である素手による魔石の抜き取りと、それにより開いた穴からの体液回収を試みると話をしていた。

 どれくらいの臭いがし、臭いが消えるか薄らぐまでどれくらいなのか、検証、つまり実体験をするためだ。

 流石に女の子を臭くさせたくないから、3000リュピスを使って手袋を買っていた。

「やっぱり臭いね」

「水だけではすぐに取れないとは聞いていましたけど、ロイごめんなさい」

「気にしないで。普通の冒険者がどうやるか、どんな目に遭うか身を持って体験しようって僕が言ったんだからさ。でも次からは僕らのやり方で行くよ!」

 そうしてロイの持つ魔石抜き取りのギフトと、ソニアの持つ異空間収納のギフトのコラボレーションでの安全かつ、イージーなスライム狩りに切り替えた。

 スライムを見つけると、ロイはソニアに知らせる。
 するとソニアから収納からスライムめがけて網を出し、捕らえて動けなくする。

「魔石抜き取り」とロイが網越しにスライムに触れながら発し、魔石のみを抜き取る。

 すると無傷でぷにぷにした無臭の体を残して沈黙、つまり死んだ。
 スライムの魔石は一つ100リュピスだが、普通の冒険者が回収できるスライムの一体分の体液は3000リュピスにもなり、その価値は魔石の30倍にも上る。
 しかし、本来回収は極めて困難で、多くの冒険者がスライム討伐を敬遠していた。
 ランクアップ規定により渋々行っているのが現状だ。

 無理に討伐させる為の規定でもある。

 ロイとソニアはこのコラボ技術を使って、スライムを10匹以上討伐し、魔石と無傷のスライムを回収することを目指した。
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