勇者はいいですって言ったよね！〜死地のダンジョンから幼馴染を救え！勇者？いらないです！僕は好きな女性を守りたいだけだから！〜

第59話 抱けない理由

　ライは皆に格好をつけていたが、本当は彼女達と関係を持ちたかった。ただ、我慢しなければならない理由が有ったのだ。

　クリエイティブのギフトの隠蔽された内容を、現段階で一つだけ作れるレベル4のスキルをそれの為に作成し、その内容を見てしまったからだ。

　アンフェイクの上位スキルだ。アンフェイクはフェイクで偽装した内容を看破できるが、神々等の上位の存在が使ったゴッドアンフェイクには通用しなかった。

　クリエイティブは存在するギフトの中では最強クラスだった。その為にゴッドアンフェイクで本当の条件を隠し、更にアンフェイクである程度を見破れるようにと二段構えになっており、本来の力を100%引き出すにはそれらを見破る必要がある。アンフェイクでしてやったりと思って油断するとゴッドアンフェイクの偽装を見抜けず引っ掛かってしまう。　

　そういう試練というか、それらを見破れる資質が無いものには使用を許さない、それ程の力だ。

　ただ、神々は気まぐれな所もあり、ライに与えた神は遊び心も入れていたから、Wなどとおちょくった内容にしていた。勿論それとなくヒントを与えなければならないというのもあった。

　ライはダンジョンで偶然得られた能力だと信じていたが、そうではない。クリエイティブを得るまでは神の干渉が入っており、取得するのは決まっていたのだ。

　ゴットアンフェイクで暴いた内容はこうだった。

　スキル作成に関して制約が
　ある。
　己の意思で異性と性行為をした場合、新たにスキル作成のレベル開放及び特別開放がされなくなり、更に新たにスキルを作れなくなる。

　期間はレベル1から5全ての特別開放が終わった後３年。能力の定着に３年を要する為である。尚この内容を誰かに喋る事を禁ずる。

　こうあったからだ。
　ただ、この部分も嘘である。人間族では看破しようの無い嘘が盛り込まれていた。本当は新たなレベルの開放が出来なくなるだけで、開放が終われば大丈夫だった。単に面白がって神々の力を行使し、その苦悩を見て愉しむ為だけだった。

　しかしライは違和感を覚えつつ力の代償だと思い信じた。彼女達にはちゃんと結婚するまで、つまり学園を卒業した後の３年の義務期間が終わるまで誰とも体の関係を持たないし、娼館にも行かないと宣言した。それは特にラルファの心に響き、自分達は愛されているのだと増々彼女達の心を捕えていた。

　ライの屋敷に有る浴室は湯船が2m✕3m弱と大体畳３枚分ちょいの大きさで、貴族の屋敷では一般的な大きさだ。

　ライは一人で風呂に入って体を洗ってから湯船に漬かっていた。
　程なくして女性陣がキャッキャキャッキャと華やかに浴室に入ってきた。バスタオルを巻いている者、恥ずかしそうにバスタオルを体の前に抱えながら入って来た者がいると思えば、クラウディアのように顔を拭く為のタオルを持っただけで一切隠そうともせずに堂々と入ってくる者様々だ。

　ただ、約束通りライは入口と反対を向いていた。

　それを見て安心したのかそこにライがいないかのように体を洗ったり流し合っていた。
　ミーニャのお肌綺麗！
　ユリカの方こそきめ細やかなすべすべとした滑らかなお肌ですわね！
　やはり、メアリーのは私のより大きいのだな！羨ましいぞ。少し触らせてくれ！
　きゃーラルファったらくすぐったいわよ！
　それよりほらパトリシアってやっぱり着痩せするタイプなのね！綺麗な胸ね！私のと替えてよ！肩が凝るのよね！
　では不肖ながらこのクラウディアが皆様のおっぱいランキングを付けますぞ！では
　ダメー！クラウディア、何をユリカのおっぱいを揉んでいるのよ？顔がまるでおっさんよ！

　等と聞こえて来た。

　ライは思わず耳を塞いでいた。ひぃと唸りながら。

　そして皆が湯船に入ってきた。ライはドキドキしっぱなした。
　そこに裸の婚約者がいるのだ。ただ、ライのたっての希望で皆バスタオルを巻いていた。

「ねえライ、言われていたようにちゃんと全員バスタオルを巻いているからこっちを見ても良いわよ」

　ライは頷いてから恐る恐る振り向いたが、残念なが、生の胸は見えなかった。
　ただ、バスタオル越しとはいえボディーラインははっきりわかるし、谷間もくっきりだ。メアリーはぎりぎり乳首が見えない所を狙ってまいていたからはち切れんばかりだった。
　そしてライは興奮マックス生殺し状態から湯船に出してはいけないものを出してしまった。

　何だこれは？とラルファが不審な浮遊物を手に取り臭いをかいだ。臭いなといったが、ライはすかさずクリーンを掛け、掃除不足かな？と言って念入りにラルファの手にクリーンを使った。体に付着した者もいたので念の為その場にいた７人の肩に順次触れてクリーンを使った。

　ところがである。湯気で近づかないと顔が分からないのだが、人数がおかしかった。
　何度も数えたが一人多く８人いた。ニースも何故かいたが一人多いのだ。母親が乱入しているわけでもない。絶対にこんな雰囲気にはならないからだ。それは皆お淑やかな淑女を装うからだ。やはり義母になる者の前では皮をかぶる。

　学園では男女別に礼儀作法を仕込まれる。クラウディアもちゃんとした挨拶はできる。好きじゃないからしないだけであり、ちゃんとした場にてドレス等で着飾る時は淑女を装えるのだ。

　ライは皆に告げた。

「ニースを除いて７人もいて一人多いが、誰だ？湯気で顔がよく見えないぞ」