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第31話  最強パーティー

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 ミーニャ達のグループは実質4名である。一人は言わずと知れたライに食って掛かった女騎士のラルファだ。ラルファは茫然自失となっていたが、ダンジョンに入ってからミーニャが魔物の前に放り出した。

 そして否応なしに戦う事を余儀なくされ、一気に現実に引き戻されていた。

 3人目はいかつい粗暴な感じの大剣使いの男である。鉄板代わりに使うとバーベキューが出来るくらいでかい。

 4人目はミーニャより頭一つ、ラルファよりも握り拳ひとつ背の高い美人だが、粗雑な感じの女戦士だ。勿論ビキニアーマーだが、例えばライが正対しても女として反応しない位の豪快な性格だ。お淑やかにすれば美人なのでモテる女性だ。

 この二人は近接戦闘能力がかなりあり、典型的な脳筋系である。だがそれでも戦いの天賦がかなりあり、そして強かった。そしてらいの認識ではこの二人は付き合っている。その為連携が物凄い事になっていた。

 念話ができるわけでもないのに、言葉を発する事もなく連携していた。よく見ると何やら手で合図を送り、それで意思疎通が図れており、力技でのゴリ押しがこの二人の戦闘スタイルだ。

 そして問題の二人は少しおどおどしている感じの男と、どう見てもメイドに見え、同じくおどおどしている感じの女の子である。この二人はミーニャがこういう時の為に連れてきた。つまり肉の壁にする為に連れてきたのである。彼らには既に命の対価を払ってある。

 ダンジョン攻略を確実なものとするために犠牲を伴い、出費もやむ無しと両親がお金を払い雇っていたのだ。彼らのダンジョン報酬はミーニャの生還が前提条件になる。だが彼らの死によってミーニャが生かされ、ミーニャが無事に生還した暁には金貨4万枚を渡す約束になっている。これは一般の者の生涯年収の4倍以上になる。もちろん前金は払ってある。

 だがこれらはこの者の家族の元に送られるのが通例だ。そうこういう事をするのに人材を募集するとした時に、自ら名乗りを上げてきた二人である。残された家族、そう幼い弟や妹の為に自らを犠牲にし、家族にお金を送る。これだけのお金があれば残された家族の生活は安泰である。さすがに実力者のパーティーであり、歴代最高の強さとも言われてはいたが、それでも保険を掛けたかった。


 3階層までは一撃も攻撃を喰らわず、ほぼ瞬殺するほどの実力があった。

 4階層は多少傷を負う者もいたが、大した事はなかった。
 ただ、予めどんなボスが出るのかを知っていたから対策が打てたのと、ライから借りた剣や防具の力による所も大きかった。

 また二人に選ばせたが、かなり酷い事を頼んだ。

 一人は5階層のボスと戦い始めてから直ぐにリタイアをする。

 もうひとりには死んで貰う。
 ライから聞いていたダンジョンの設定の検証だ。結局女の子がリタイアし、男の子が死ぬ事になり、死亡した場合、10歳年齢が加算されてしまう。勿論年齢が加算されてしまう分の保証もするそういうことになっており、申込者も家族にお金は払われるならと死ぬ事を前提の募集に応じていた。そういうことがまかり通る倫理観の世界である

 ミーニャ自体もため息をついていたが、親の命令に逆らう事ができない。その為渋々受け入れていたのだ。ライの設定した死なない設定及び、これから設定するであろうリタイアは彼らを死なせずに済む。そういう内容であり、ライの計らいに安堵と感謝をしていた。

 ただライがそれができると誤認識していた場合は本当に死んでしまうのだ。


 その為まず一人にリタイアして貰い、その時に起こる事が本当にリタイアであれば、死なない設定も本当にできているのだろうと確証が持てる。

 だがそれでも死から復活した場合、本当に10歳年老いてしまうのかというのを誰かが試さないといけない。その事について確認したのだ。

「死ぬよりはマシです。それに生きて帰れるなら10年ぐらいどうと言う事はありません。ここで死ぬのだと覚悟をしていました。それが生きるチャンスがあるのですから、ありがたい話です」

 という回答で、どちらがどちらにするかという話になった。その時に女の子に十歳の年齢を加えさせるなんてそんな事はできない。私がやりますと男の方が言っていたのだ。

 これまでに得られたスキルの解放については、やはり事前に言われていた通り慎重になっていた。

 下手に解放すると、一緒にいる仲間を傷つけてしまう恐れがあるし、過去にはその者以外が死んでしまった事例があるから、おいそれと解放できない。

 解放するとしたら戦闘系になるが、リスクも高く、食料の関係もあり今それをするべきではないというのが分かる為解放できずにいた。

 4階層のボス部屋で休憩を取り、体力を回復させた後に5階層の方に向かう扉をくぐろうとしていたが、ミーニャ達は体調に異変を感じていた。それはライ達から聞いていた通りであり、もう少し休憩をしたかったのだが長居は無用と焦っていたのであった。

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