勇者はいいですって言ったよね！〜死地のダンジョンから幼馴染を救え！勇者？いらないです！僕は好きな女性を守りたいだけだから！〜

第15話 追加のギフト開放

　２人はライがそこにいないかのように話し始めた。

「ライの脚って、見た目に反して意外とがっしりしているのよね」

「ああ！これが殿方の御御足なのですね。確かに少し硬いですわね。あの、失礼致します」

　ユリカはライと言うようにはなったが、喋り方が相変わらず上品で、そういう喋り方を必要とする家庭で生まれ育った為、それ以外の喋り方はワンテンポ置いてからじゃないと話せないと言っていた。

　それはともかく、メアリーとユリカはライがもしも2人にすれば殴られるような事をしていた。

　太ももを撫でていて、ライの脚がどんなのかを確かめていたのだ。

　やっぱり男の子だとか、スリスリしても良いですかとからかわれており、早くギフトを開放しようよと涙混じりに訴え、ギブアップをしていた。

　そしてまたもやいじられていた。

「おいたは駄目ですからね。でも、ちょっとだけでしたらお触りは良いのですよ。キスと最後の一線を超えないようにだけはお願いしますね。それでは行ってきます」

「ねえライ。私も同じよ。女に恥をかかさないで。じゃあ行ってきます」

　そんなふうに言ってからギフト開放と唱えていた。

　ライは2人との接し方に苦労していた。メアリーは分かる。少し過激になってきてはいるが、一年前までは、ライにべったりだった。ただ、人前ではただの幼馴染を装っていたが、２度も命を救ったし、やはり子どもの頃の約束が生きてきたのかと。

　ただ、ユリカの事が分からない。４階層のボスを自分が倒した時に命の恩人を好きになったのなら分かるが、一年前に何があったかのかが思い出せない。何かをきっかけになのだろうが、それが分からない。

　ユリカの性格はあくまで今のそれが素で、大人しかったのはライに傷や火傷の痕を見られたくなく、それで大人しかっただけなのだ。本来はごく普通の女性である。ただ、中級貴族の娘であり、ライの常識とユリカやメアリーの常識が噛み合わなく頭が痛かった。

　一般人と貴族では常識が違うのだ。貞操についての理解も違う。
　できる男＝強くより良い子孫を残せられる男。できる男は複数の妻を娶るのが貴族の間では当たり前だった。一般人はそうは行かない。

　妻と子を２、３人の５人家族程度がなんとか食べていくだけの稼ぎがやっとなのだ。
　気持ちとしては男としては複数の妻を娶りたいが、経済的にそうは行かない。
　一部の豪商などはそれができる経済力を手に入れると、お金で爵位を買うのだ。

　一般人で複数の妻を娶ると実際問題として居住区から締め出される。その為、功績を上げて爵位を得るか、借金で破綻した貴族の爵位を借金を肩代わりする事で買い取るのが一般的だった。

　残念ながらライにその財力はない。但し、ライにその道がないかといえばそうではない。Ｓ級以上の冒険者は別なのだ。

　一般人の居住区に住んでいても、尊敬される存在になるのだ。但し、Ｓ級ともなると既に爵位を貰っていたり、買えるだけの財力があるのだ。

　つまり上を目指す事を暗に求められている。いや、課せられた目標である。

　この世界の冒険者には功績に見合ったランクがある。

　ランクは下から
　F,E,D,C,B,A,S,SS,SSSになる。

　Ｓ級は今回のダンジョンを一人で問題なく怪我一つせずにクリアする実力がいる。SSS級となると、パーティーであれば一軍と戦える力があり、国を滅ぼす事も可能な人外の強さだ。残念ながらこの国にはその強さの冒険者は今はいない。

　登録したての場合最低ランクからスタートで、勇者学園の卒業時にはランクDになる。

　このダンジョンの生還者はまた別だ。
　１～3階層突破者　　C
　4階層突破者　　B
　5階層突破者        A

　ランクが高い場合、難しく危険だが、高額報酬の依頼を受けられる。また、Bランク以上の冒険者は依頼受託中の宿代はギルド持ちになる。但し、満室でない限り中級宿だ。
　それ以外にも、町に入る時の審査がなくなったり、貴族用の窓口を利用できたりとメリットは大きい。　

　ライはため息を付きながら、2人の上下する胸を見てもやもやしなかったかと言えば嘘になる。唾をゴクリと飲み込み、伸ばしかけた手を何とか引っ込めた。

　この先の事が頭を過る。僕の大事な人を生き残らせる為の努力が最優先だ！そうと分かっているので、クリエイティブについて検証をする事にしたのであった。