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第12話  ユリカの傷

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 ライはため息をついたが、先程メアリーにはヒールを使っていないなと思い出した。

 とりあえずメアリーの顔を見てみたのだが、擦り傷等の細い傷があった。その為頭を撫でながらヒールにて治療を始めた。

 傷が消えた後、とりあえず軽く体のあちこちを触って異常の有無を確認していた。幸いかすり傷の他には怪我らしいものはなかった。次いでユリカだが、先程治療をしているので大丈夫だとは思ったが、念の為確認をする事にした。

 額の髪をかき分けると古傷が見えた。うーん?と思いつつ、古傷を除いて怪我はなさそうなので、その古傷にヒールと唱え、ありったけの魔力を込めてみた。


 そうしてヒールを使っていると徐々にではあるが額にあった古傷が消えて本来の綺麗な肌が見えてきた。

 傷がなくなりユリカの肌が綺麗になるとライは喜々とした。彼女の髪型は額を隠すような髪型だった。よく見ると耳の後ろ辺りを髪の毛で普段は隠しているが、そこにも傷というか、火傷の跡があった。

 ライはなるほどと、彼女が内気な理由もこれかと分かった。普段の動きも髪の毛があまり動かないようにし、傷が見えないようにしていたのかと。

 ライは一つ目の傷が治った後、順次顔についている傷を治していく。ヒールってこんな使い方も出来たんだなと、ヒールって凄いなと思いつつ、本来であればできない筈のヒールでの治療を続けていた。

 実は大量の魔力を使う事によりヒールの魔法レベルが上がっていたのだ。ダンジョンに入ってから初級であるレベル1の筈のヒールがレベル5の上級回復魔法でしかできないような古傷の治療を行っていた。

 その時は何故それができるのか、それが如何に凄い事なのかというのを知らなかったのだ。

 ライはユリカが起きた時の反応が楽しみだった。この時は綺麗になった綺麗になったと喜んでいたが、ライは大した事をしているつもりは微塵もなかった。

 ユリカの治療にはそれなりに時間が掛かっていたようだった。ユリカの傷が癒えたのをライはよしよしと思っていた。すると2人が突如目覚めた。

 ライはハッとなった。しまった!エッチな事というか、胸にタッチができたのにと思わなくもなかった。

 思春期の男の子なので、そういう感情が湧いてくるのは当たり前である。ましてや学園トップを争うような美人の2人である。目覚めた!もう目覚めた!お触りをしなかった事を残念だと思う反面、男として最低な事をする前に目覚めてくれた事に安堵していた。

 長い時間目が覚めないと、いくら理性を総動員しているとはいえ、少し位お触りしても良いとさえ言われており、その甘美な誘惑に抗うのは並大抵の事では無かった。


 最初お触りをしてしまおうかなと思わなかったと言えば嘘である。それじゃあいかんと理性が勝り、別の事に集中する事にしたのだ。ただ、治療に夢中になり、ユリカの顔が癒えていくのに集中していて、2人が目覚めるまでお触りをする事を微塵も考えなかったのだ。ユリカが目覚めた時に、ユリカは傷があった所を触っていた。髪がかき分けられており、額に髪がなかったのだ。ユリカは己の傷をライに見られたのだと思いショックだった。そしてその場から離れ、傷を触っていた。しかし傷がない。

 えええ!と叫んでいた。


 不思議そうにメアリーが聞いた。

「どうしたの?ひょっとしてライにエッチな事をされたの?」

「うんうん。ねえメアリー、変なの。そ、そのないの」

 メアリーは勿論ユリカの傷の事を知っており、ユリカが触っている所は大きい傷がある所だと分かっている。

 ついついボケっと突っ立っているライを情け容赦なく突き飛ばし、ユリカの傷を見ていた。

「えっ?どういう事?首の所の傷もなくなっているわ。」  

 そしてもう一つ頬にあった傷も治っていた。

「やっぱりこっちもないよ!」

 2人してええええええええええ!と叫んだ。

 メアリーがライを見ると、いててててーと唸りながら体を起こしているところだった。

 メアリーはライの目の前に行くと、下着が見えるか見えないかのギリギリのところまでスカートをたくしあげた。生脚が男心をくすぐる美脚だ。

「ねえライ、私の事をちゃんと見てくれないのかしら?ライになら全てを見られてもいいのよ。ふふふ。でもね、ライったらお触りもしてこないし、私ってそんなに魅力がないのかな?」

 ライはゴクリと唾を飲み込んだ。そう下着が見えそうで見えないのと、生脚が妙に艶めかしいのだ。

「コラ!ライのエッチ!今パンツが見えないかな?って思ったでしょ?ちょっと下から覗こうとしてるよ?もうしかたがないわねえ、ふふふ、じゃあスカートの中を見せてあげるわ!」

 そしてお尻を突き出し、はいどうぞと自らスカートを完全にまくり、スカートの中を見せた。

 だがメアリーは残念でした!と言った。

 その日は下着の上に履くスパッツのようなのを履いていたのだ。見せパンである。スカートの中を見られてもいいようにしていたのだ。戦闘があるので、スカートだと下着が見えてしまうからだ。彼女達は近接戦闘をする予定がないからスカートだったが、一応備えていた。

「そんな顔をしないの。ほら、ライ以外に男の子がいたでしょ?ライには見られてもいいけど、彼らには見られたくなかったの。じゃあこっちをどうぞ!」

 と言いつつユリカのスカートをいっきに捲った。ライの目はユリカの下半身に釘付けだ!ユリカはちょっとメアリー!と少し怒こっていたが、怒ったユリカも可愛いな!と見惚れていた。ただ、抗議はしたが、抵抗はしなかった。

 しかし残念な事にスカートの下にはメアリー同様にスパッツを履いていた 。

 そう、ライは完全にからかわれていたのであった。
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