祈りの力でレベルカンストした件！〜無能判定されたアーチャーは無双する〜

第84話 エピローグ

　魔王ノラメスの封印が解け、人々の前に姿を現してから数年が経過し、俺たち々の日常は一変した。

　かつての怒涛の展開は、予想もしなかった平和な日々へと落ち着いていた。ノラメスは、魔族を率いるリーダーとして、かつての敵であった人間たちとの間に新たな橋を架けた。

　彼女の言葉がきっかけで、俺は魔族と人間との間にある深い溝を埋めるために、一歩一歩、確実に努力を重ねてきた。その結果、疑念の目を向け合っていた両者は今では共に笑い、共に暮らすまでになった。
　ノラメスは封印した人間を恨み、滅ぼすことを考えていたが、今ではそのようなことを考えることもなく俺の傍らにいる。

　俺たちの屋敷は、魔族と人類の共存を象徴する場所となり、ノラメス、リアン、シズク、リナ、サキ、エリスといった多種多様な者たちが家族となり、共に生活している。
　基本的には平和だが、時には喧嘩もあり、その度にお互いを理解し、絆を深めていった。
　一応帰る手立てを探ったが発見できず、ノラメスに聞いたら泣かれた。手立ては意図せずに発動された場合、レジストするのに知りたいと告げることになった。
　しかし、一方通行で、正確な場所がわからないと送り込めないのだとか。

　その為、俺たちはこの世界に骨を埋めるしかないと分かり、ある意味安堵した。
　純粋に帰りたがる者は多かった。
　俺はこの世界の住人と深い関係を築いたのもあり、帰るつもりはなかった。

　そして、いつの間に愛を育んでいたのか、みっちゃんとレオンの結婚は驚きつつも新しい時代の幕開けを象徴する出来事となった。
　しかし、俺たちの戦いはまだ終わっていない。

　俺が再びダンジョンを攻略しようとしていた矢先、俺たちが召喚されたあの国が隣国の侵略により虐げられているという噂を耳にし、真実を確かめるために再び旅立つことになった。どうやら男の王族は皆殺し、女は奴隷落ちになったらしい。
　何故今更ダンジョンに？それは治すか治さないか悩んだが、俺は種無しらしい。
　複数人の妻を得たが、今だ誰も懐妊しない。
　クラスメイトの一人はちゃんと子をなしているから、異世界人の男が、子を残せないということがないのが分かっている。
　ウィッシュでは治らず、不妊が治るように願うと、ダンジョンに入るべきと強い直感が働く。
　だからダンジョンに入ることにしたが、隣国の調査の方が緊急度が高い。

　ノラメスに町の守りを託し、俺たちは心置きなく旅立つことができた。あの国の現状、そして袂を分かつことになった担任とクラスメイトのことが気になる。
　彼らがもし死んでいるなら、せめて同郷の者として骨を拾い、ちゃんと葬ってやりたい。
　それに生きているなら、連れ帰るつもりだ。

　また、この国の王から臣下に加わるよう要請されたが、俺は断った。この町が気に入り、勝手気ままに住み着いている。大陸を支配する力があるとしても、それは俺の望むところではない。国難が発生すれば助けるが、他国に攻め入る戦争には加担しない。俺たちの家族や仲間を害する者がいれば、力及ぶ限り復讐するとも。

　この世界での生活は決して平穏とは言えないが、俺たちはそれぞれが持つ強さと、お互いへの信頼を武器に、どんな困難にも立ち向かっていく。冒険者として、またこの世界の住人として、俺たちは生きていく。

　俺たちの物語は、まだ終わらない。新たな地平へと向かう旅路は、これからも続いていく。そして、どんな未来が待っていても、俺たちは一緒にそれを乗り越えていく。それが俺たちの選んだ道。これからも、この世界で根を生やして生きる！

　さあ先ずはかつてのクラスメイトたちの消息を確かめる旅に出よう！