祈りの力でレベルカンストした件！〜無能判定されたアーチャーは無双する〜

第80話 朦朧

　伊里中さんと葉月さんが叫んだ！

「何をしてくれるんじゃ！」
「何よこれ！汚いわね！」

　俺に詰め寄るが、その声は周りの人々によってすぐに抑え込まれる。
　吐しゃ物まみれの胸がプルルンと揺れていたはずだが、俺はグロッキー寸前でもう目が開けられず堪能できなかった。

　ただ、悪態をついているのだけは分かったが、開けたくても目を開けられない。頭がグワングワンと揺れているのは、意識が朦朧としているのか、揺さぶられているのかわからない。
　どちらにしろ、2人が俺に悪態をついているから、死者蘇生は成功したのだろう。

　俺が吐しゃ物まみれになってももう知らない。
　誰かが拭くか水を掛けるかしてきれいにしてくれるだろう。
　周りが騒がしいな・・・・

　特にリアンは彼女たちの無礼な態度に対して怒りを露わにする。

「黙らぬか！」

　リアンは怒鳴り、その場の空気が一瞬にして凍りつく。

「お主たちの命は我が主殿が蘇生したのでござるぞ！ その恩人に対し、無礼な口を利くとは何様のつもりなのでござるか！」

　二人はリアンの激しい怒りに圧倒され、周囲の人々も彼女たちに冷ややかな視線を送る。
　生き返ったばかりの彼女たちにとって、この怒りは予期せぬものであった。誰か止めてやれよと思うが、それほどリアンの怒気が強かったのだろう。彼女たちの表情は、今まさに自分たちがどんな状況にいるのかを理解し始めたばかりのようだ。

　リアンはさらに迫る。

「感謝の言葉もなく、ただ自分のことしか考えていないではござらぬか！。お主たちは本当に主殿がこのような目にあってまで生き返してる貰う価値があるのでござるか？」

　俺はその場でリアンの言葉を黙って聞いていた。まだ意識は辛うじてあった。

　本来ならば俺が彼女たちを諭すべき立場であることはわかっている。しかし、リアンの言葉にはある種の真実が込められており、それが彼女たちに必要な厳しい愛だと感じていた。
　って動けないからどうにもならないんだよな。

「２人共、いや、３人とも落ち着いて聞いて！って誰か拭く物頂戴！」

　みっちゃんがまずリアンに２人な状況を飲み込めていないから、説明させてと落ち着かせた。


　そしてその間に身体を綺麗にされ、着替えていた。
　その後2人に何があったのか説明を始めた。

　伊里中さんと葉月さんはやっとのことで理解して立ち直り、深く頭を下げる。当たり前だが、状況が理解できていなかったのだろう。
　死んだときのことを覚えていないのかもだよな。
　気が付いたら俺が裸の彼女たちの上にリバースしたのだから、まあ混乱するよな。リアン、察しろ！誰かリアンのフォロープリーズ！

「本当にすみませんでした…」

　今度ははっきりとした声で謝罪する。リアンはまだ怒っているようだが、その態度が少しずつ和らぎ、二人の謝罪を受け入れる姿勢を見せ始める。

　俺は、彼女たちがこの経験から学び、成長することを静かに願う。そして、この出来事が彼女たちにとっても、俺たちにとっても、かけがえのない教訓となることを信じていた。
　そして俺は放置され、人知れず意識を手放した・・・

　後日談として、二人は俺に対し命の対価は体で払うと言い出したそうだが、やはり皆が止めたとか。別に払ってもらっても・・・ゲフンゲフン。

「ソナタ達は貞操観念を見直した方が良いでござる。それとも売女として生きるつもりでござるか？」

　かなり厳しくリアンが諭したそうだ。
　噂によると二人は教会にしばらく修行に出されるとか？教会はかなり厳しい貞操教育を施されるところだそうだ・・・