祈りの力でレベルカンストした件！〜無能判定されたアーチャーは無双する〜

第79話 死者蘇生

　俺は伊里中さんと葉月さんの割けたお腹に、必死の想いを込めて上級回復ポーションを注ぎ込む。その液体が二人の体内に浸透し始めると、俺は死者蘇生を発動した。
　すると、傷口がみるみるうちに閉じていき、失われていた生命の輝きも戻ってきたようで、顔色も徐々に健康的な色へと変わっていった。

　見守っている女子から「凄いとか聞こえるが、中にはタケルくん実は優良株だったの？顔はあれだけど・・・」

失礼な！谷口さんやい、しっかり聞こえとりますよ！でも、俺の信奉者になっても良いんだよ？

　死者蘇生のスキルを発動するために、俺は2人の左胸に手を置いていたが、別におっぱいを触りたかったからじゃない。間に合ってます！死体のおっぱいを触っても悲しいだけだ。
　それに複雑な思いがある。
　彼女たちがパパ活、それも複数のおっさんと体の関係をもっていたと・・・確かによくない噂はあった。
　ちょっときつく、校則違反？の厚化粧で見た目はそこそこ可愛いが、少し軽薄な印象はあった。
　リアン、エリス、サキとの関係性から、この二人を生き返らせた後、俺の信奉者になる道はない。
　でも漠然とだけど、死んでからの時間から、間に合うと思う。
　これからはこの世界の貞操観念に従って真っ当に生きろよ！

　スキルの光が俺の手から伝わり、2人の心臓に再び生命の鼓動を呼び覚ます。少し揉んだけど役得ということで・・・アウトだったらしい・・・

　でもね、胸に手を置いたのは心臓に直接魔力を送りたいからなんだよ。

「よし、魔力を心臓に送り込む必要があるから心臓に近い左胸に手を置くぞ！」

　わざとらしく口に出し、事前に特にサキの反感を削いでおいた。
　そうしないと、むっつりスケベと怒られそうだと、俺のアンテナは危険を感じ取ったんだ。でも、この時はまだ、記憶が戻った反動か死者蘇生の影響でエロ少年になっていたんだ。言い訳するなって？・・・

　コホン、しかし、その強力なスキルを使ったことで、俺の体は強烈な反動に襲われる。
　魔力の過剰な使用はレベル300の俺の身体さえ限界まで追い込み、急激に気持ち悪さが増していき、ヤバそうになってきた。

　そして、とうとう俺は耐えきれずに、蘇生させた伊里中さんと葉月さんの胸の上にリバースしてしまう。その音は「オロロロ・・・」という奇妙で不快な音を立てただろう。

　その不名誉な瞬間に、伊里中さんと葉月さんが突如息を吹き返し、激しい叫び声を上げる。彼女たちが何に反応しているのか、吐瀉物のせいなのか、それとも死んだ際の記憶に怯えているのかは、はっきりとはわからなかった。

「なんばしょっとね！」

　しかし、彼女らが生き返った奇跡に比べたら、そのようなことは些細なことに過ぎなかった。
　俺は彼女を救うことができたのだ―それが全てだった。俺自身の体調が悪化し、意識が朦朧としている中でも、俺はその事実に心の底から安堵を感じる。そして、俺の視界が暗くなる中、伊里中さんと葉月さんの生きている姿を最後に見ることができた―それが俺にとってこの上ない慰めだった。

　やばい、このまま気絶したら俺の吐瀉物まみれのお胸にダイブしてしまいそうだ。誰か阻止してくれ・・・