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第69話 ボスと対面
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六階層の何もかもを焦がすような熱気が、エリスの魔法によって生み出された。彼女の声は力強く、その詠唱は周囲の空気さえも震わせた。
『深遠なる業火よ、この世界にその力を示せ!・・・』
エリスの手から放たれたフレイムランスは、ただの炎の槍ではない。それは生き生きと踊る炎の精霊のように、目にも留まらぬ速さで魔物を貫いていった。
『・・・紅蓮の炎に身を委ね、敵を灰に変える時が来た!・・・』
彼女の力の前に魔物たちは無力だった。
数匹が串刺しにされ、その場で灰へと変わり爆風に散っていった。
『・・・焔の海よ、我が呼び声に応えて、全てを焼き払え!』
魔法はエリスを中心として爆発し、一瞬にして炎の海が広がった。
その熱波は周囲のすべてを飲み込み、六階層の暗闇さえも明るく照らした。
サキとリアンはその場でエリスを讃えた。
「エリス、貴女の魔法は本当に凄いわ!」
「エリス殿はいつも私たちを驚かせるでござる!」
サキに続きリアンも嬉しそうに笑う。
しかし、強力な魔法の使用はエリスの魔力を大きく消耗させた。
俺はエリスを守りながら、彼女の魔力が回復するのを手助けするため、額を合わせて魔力を譲り渡した。
「男相手にやらんからな!」
冗談を言いつつも、俺たちの間には強い絆があった。
ステータスの見せ合いをし、その時に見た俺の魔力量から、リアンが魔力の供給源になれば?と言われたんだ。
レートは悪く、供給側が20の魔力を注ぎ込んでも10しか供給できない。
だが、魔力は総魔力を100%とし、回復量は1時間に2-3%と言われている。
だから俺がエリスに魔力を供給しても、大して時間がかからずに魔力は回復する。
また、鑑定士がその場で鑑定出来なかったのは魔力が回復しきれなかったからだ。
魔力を分かち合った後、俺たちは深く息を吸い込み、階層ボスが待つボス部屋へと足を踏み入れた。
扉が開くと、そこには我々を見下ろす巨大な影があった。
エリスの回復した魔力、俺たちの団結、そしてこれまでの戦いから得た知識がこれから始まる最終決戦での勝利へと導いてくれるはずだ。
全員がボス部屋に入るとボスの咆哮が響き渡り、その眼光は戦意を燃やす。
だが、俺たちも負けてはいない。
エリスの魔力が再び輝き始める。
この魔法が俺たちの冒険の新たな試練の始まりだった。
俺たちがボス部屋の扉を押し開けた瞬間、そこに広がるのは畏怖すべき光景だった。
天井に届くほどの巨体を誇るモンスターが、まるで我々を待っていたかのようにそびえ立っている。その圧倒的な存在感に俺以外の者は一瞬息を呑む。
しかし、エリスが隣でしっかりと立っているのを見て、俺の中の不安が吹き飛んだ。
萎縮して動けない?と、全員を守るのは厳しいと、ある意味冷や汗が出そうだった。
彼女は強い。俺たちも強いはずだ。サキとリアンが動けない不安を振り払い、弓矢から槍に替えて先頭に立つ。
一拍遅れてサキとリアンも戦闘態勢を整える。
また、レオンもはっとなりエリスを守れる位置につく。
「行くぞ、みんな!」
俺の声が緊張に包まれた空間に響き渡る。
天井の高さは5mほどだ。
確かここのボスはオーガの上位種のはずだが、どう見ても顔の中央に大きな目がある。
しかも天井すれすれの体躯・・・
何かが違うよね?
『深遠なる業火よ、この世界にその力を示せ!・・・』
エリスの手から放たれたフレイムランスは、ただの炎の槍ではない。それは生き生きと踊る炎の精霊のように、目にも留まらぬ速さで魔物を貫いていった。
『・・・紅蓮の炎に身を委ね、敵を灰に変える時が来た!・・・』
彼女の力の前に魔物たちは無力だった。
数匹が串刺しにされ、その場で灰へと変わり爆風に散っていった。
『・・・焔の海よ、我が呼び声に応えて、全てを焼き払え!』
魔法はエリスを中心として爆発し、一瞬にして炎の海が広がった。
その熱波は周囲のすべてを飲み込み、六階層の暗闇さえも明るく照らした。
サキとリアンはその場でエリスを讃えた。
「エリス、貴女の魔法は本当に凄いわ!」
「エリス殿はいつも私たちを驚かせるでござる!」
サキに続きリアンも嬉しそうに笑う。
しかし、強力な魔法の使用はエリスの魔力を大きく消耗させた。
俺はエリスを守りながら、彼女の魔力が回復するのを手助けするため、額を合わせて魔力を譲り渡した。
「男相手にやらんからな!」
冗談を言いつつも、俺たちの間には強い絆があった。
ステータスの見せ合いをし、その時に見た俺の魔力量から、リアンが魔力の供給源になれば?と言われたんだ。
レートは悪く、供給側が20の魔力を注ぎ込んでも10しか供給できない。
だが、魔力は総魔力を100%とし、回復量は1時間に2-3%と言われている。
だから俺がエリスに魔力を供給しても、大して時間がかからずに魔力は回復する。
また、鑑定士がその場で鑑定出来なかったのは魔力が回復しきれなかったからだ。
魔力を分かち合った後、俺たちは深く息を吸い込み、階層ボスが待つボス部屋へと足を踏み入れた。
扉が開くと、そこには我々を見下ろす巨大な影があった。
エリスの回復した魔力、俺たちの団結、そしてこれまでの戦いから得た知識がこれから始まる最終決戦での勝利へと導いてくれるはずだ。
全員がボス部屋に入るとボスの咆哮が響き渡り、その眼光は戦意を燃やす。
だが、俺たちも負けてはいない。
エリスの魔力が再び輝き始める。
この魔法が俺たちの冒険の新たな試練の始まりだった。
俺たちがボス部屋の扉を押し開けた瞬間、そこに広がるのは畏怖すべき光景だった。
天井に届くほどの巨体を誇るモンスターが、まるで我々を待っていたかのようにそびえ立っている。その圧倒的な存在感に俺以外の者は一瞬息を呑む。
しかし、エリスが隣でしっかりと立っているのを見て、俺の中の不安が吹き飛んだ。
萎縮して動けない?と、全員を守るのは厳しいと、ある意味冷や汗が出そうだった。
彼女は強い。俺たちも強いはずだ。サキとリアンが動けない不安を振り払い、弓矢から槍に替えて先頭に立つ。
一拍遅れてサキとリアンも戦闘態勢を整える。
また、レオンもはっとなりエリスを守れる位置につく。
「行くぞ、みんな!」
俺の声が緊張に包まれた空間に響き渡る。
天井の高さは5mほどだ。
確かここのボスはオーガの上位種のはずだが、どう見ても顔の中央に大きな目がある。
しかも天井すれすれの体躯・・・
何かが違うよね?
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