祈りの力でレベルカンストした件！〜無能判定されたアーチャーは無双する〜

第64話 確認

「また来たのか」

　魔道具屋の店主は、俺たちが再び店の扉を開けたとき、半ば呆れたような顔で言った。彼は眉を上げて、俺たちの手に持った袋を見た。その中には、昨日鑑定してもらったアイテムの残りが入っていたことにする。

「あ、あのさ、昨日は言ってなかったけど、実は鑑定すべきアイテムが山ほどあってさ、今日はその残りを持ってきたんだ」

　俺は小さく笑って、言い訳をした。昨日は一度に持ってくる数の限界から、鑑定してもらいたいアイテムの全てを持ってこれなかったことにする。

　俺たちはダンジョンの六階層でモンスターハウスに遭遇して、そこで大量のアイテムを手に入れたのだ。その中には、かなり珍しいものもあった。

「ふむ、それなら仕方ないな。では、早速見せてもらおうか」

　店主は渋々ながらも、俺たちが持ち込んだアイテムに目を通し始めた。彼は鑑定スキル持ちで、アイテムの性能や価値を判定していた。
　その中でも特に注目されたのが、一枚の謎めいたマントだった。

「おや、珍しいな。これは気配消しのマントだ。着用者の魔力を決めることで、気配を完全に消すことができる。まるで影のようになれる代物だな」

　店主が鑑定を終えると、そのマントの正体を教えてくれた。俺はともかく、リアンがかなり驚いていた。気配消しのマントというのは、潜入や暗殺に使われるという伝説のアイテムだった。まさか、こんなものが手に入るとは思わなかった。俺たちは互いに意味ありげな視線を交わした。これがあれば、敵に気づかれずに奇襲することもできるだろう。

　次に鑑定された指輪は、俺たちの想像を遥かに超えるものだった。それは、ダンジョンの人数制限を解除する力を持つという。通常、ボス部屋に入れるのはパーティー員６人までだが、この指輪を持つ者は、例外的に一人追加することができるという。まさにとんでもない代物だった。これがあれば、戦力を増やして難関を突破することも夢ではない。

「こりゃあすごいな。これは制限解除の指輪だ。ダンジョンの人数制限を無視できるという、まさに禁断の力だ。これは、どこで手に入れたんだ？」

　店主は興奮して俺たちに尋ねてきたが、モンスターハウスで見つけたということしか言わなかった。
　詳しいことを店主に知られたくなかったからだ。この指輪は、俺たちがダンジョンを攻略する秘密兵器になるだろう。

　中級スキルオーブの鑑定結果も期待されたが、店主はそれについては何も言わず、後ほど改めて結果を伝えると言った。俺たちはその約束を信じて、店を後にした。

　その後、俺たちはダンジョンに向かった。目的は、六階層が平常運転に戻っているか確認することだった。昨日は六階層で異常な現象に遭遇して、危うく全滅するところだった。違うだろって？はい。違います。俺が不用意に宝箱を開けたので、俺だけが死にかけた…。

　俺たちは六階層のスタンピードの原因が、モンスターハウス部屋の扉が解放されていたことだと確認するのに再び六階層に挑むことにした。

　薄暗い通路を進み、六階層に到達するとそこは以前と変わらぬ様子であることが確認できた。
　リアンとレオンの話だと、モンスターたちもいつものようにうろついており、何事もなかったかのようだった。
　少し周りを探索し、この日はダンジョンから引き上げた。
　安堵の息を吐きながら、俺たちは今日の冒険を終え、次の一手を考え始めたのだった。