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第57話 六階層へ

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 リアンとレオンの案内で、モンスターハウスとなっている部屋へと進む。魔物の気配はどこまでも濃厚で、自重はどこ?といった感じで全力を込めて生成した矢を放つことになった。
 矢は空間を裂き、爆風と共に100体以上の魔物を倒したが、その余波で俺たちも吹き飛ばされた。
 リアンと俺たち以外のメンバーは打ち身でダメージを負い、レオンの回復魔法が必要となった。

 リアンは16歳の女騎士で、俺の新たなパーティーメンバーだが、そのタンクとして味方を守る能力に脱帽するほどだ。レオンは人間の僧侶で、回復と補助を担当していたが、従兄妹同士というのもあり、連携がとれており、30代という年齢もあり頼れるおっさんじゃなく、兄貴分だ。

「ちょっと考えて力を使いなさいよ!」

 サキが俺に向かって文句を言ったが、俺はハハハと空笑いで返すしかなかった。サキは18歳のビキニアーマーの美貌のギルド専属スタッフ兼パーティーメンバーで、戦闘狂と判明する。
 ギャップ萌えが激しい。ギルドでは男を立てるおしとやかさを演出しているので、目を爛々とさせながら魔物に襲いかかる様は驚くしかなかった。

 エリスは得たばかりの水魔法を懸命に放つ。しかし、俺の矢の威力を見て

「流石タケル様!」とうっとりしており、リアンは「我が主殿は人外でござったか!流石でござる」と感嘆の声を上げた。俺は指揮官兼、アーチャーに専念している。時折接近された時などに槍を振るうも、基本は矢だ。
 俺は魔力を糧に矢を生成すりることができたが、威力の制御が難しかった。

 しかし、安堵の息をつく間もなく、新たな魔物の群れが押し寄せてきた。サキと「まずいな」と言いながら、我々はモンスターハウスの扉を閉めるべく部屋を目指して進んだ。閉じれば少しは状況が改善されると信じて。しかし、その部屋にはさらなる恐怖が待ち受けていたのだが、それはまた別の話だ。


 六階層に足を踏み入れると、俺たちは異様な静けさに包まれた。通常ならば、魔物のうごめく音や、冒険者たちの息遣いが聞こえるはずだが、何も聞こえない。まるで、何かが俺たちの存在を待ち構えているかのようだった。

「気をつけろ、何かがおかしい」

 俺は仲間たちに警告を発した。リアンは盾をしっかりと構え、サキは剣を手に取り、レオンは回復の呪文を唱える準備をしていた。エリスは水の球を手に浮かべ、いつでも放てるようにしていた。

 階段付近に魔物が潜んでいたのだ。
 一斉に襲いかかるも、それなりに距離があり俺の矢とエリスの魔法で撃退していく。

 進むにつれ、魔物の気配が強くなっていく。壁からは不気味な光が漏れ、床はぬかるんでいた。そして、ついに目的のモンスターハウスの扉が見えてきた。扉は半開きで、中からは不吉な気配が漂っていた。

「リアン、扉を閉めるぞ。サキ、エリス、レオン、カバーしてくれ」

 俺は命令を出し、リアンと共に扉に近づいた。サキとエリスは俺たちを守るために前に出て、レオンは後方から支援する。俺は弓を構え、扉の向こうにいる魔物に矢を放った。矢は魔物を貫き、そのまま壁に突き刺さった。

 リアンは力強く扉を押し、ゆっくりと閉めていった。扉が閉まるにつれ、中からの気配は弱まっていく。しかし、その瞬間、扉の向こうから巨大な影が現れた。魔物の王のような存在だ。俺たちは息をのんだ。

「これは...」

 俺の言葉を遮るように、魔物の王は轟音と共に扉を破壊しようとしたが、リアンの盾が堅く、サキの剣が鋭く敵を切り裂く。エリスの水魔法が冷たく敵を押し戻す。レオンの回復魔法が仲間を守るが、彼が扉を閉める係だ。
 俺の矢はマシンガンのように連射をするため大した魔力を込められず、一矢で数体を貫くのが精一杯だ。
 俺たちの連携により、何とか扉を閉めることができた。

 扉を閉めた後、俺たちは一息ついた。
 しかし、俺の心はすでに次の戦いに向かっていた。
 そこに眠る未踏破故のお宝に心を馳せ、扉を再び開けて挑みたい衝動に駆られていた。
 俺は悪い笑みを浮かべながら、仲間たちに言った。

「よし、一旦ここで休憩だ。油断しないように」

 仲間たちは俺の言葉に頷いた。俺たちの冒険はまだまだ続くが、今は一仕事を終え休憩だ。

 この部屋は魔物がひしめき合っていてボスまでいた。
 一歩間違えれば命がけの場所だ。でも未攻略の部屋にはお宝が眠っているはずだ。俺は冒険者としての血が騒いだ。
 次にこの扉を開けるとき、俺たちは新たな伝説を作り出すのだと。

 休憩が終わり、ジト目のサキの視線にぞくぞくしながら皆に中に入る旨を話した。
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