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第39話 エリス初めての戦いを経験する

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 俺は迷うことなく新しく習得したスキル【エターナルアーチャー】を発動させた。
 魔力を消費して矢を生成し、弓に装填して射る。ただそれだけだ。
 しかし、この矢は俺の意思に応じて硬度や威力が変わる。正確には生成時にどのようにしたいかと、それに伴い込められた魔力により威力が変わる。

 そうして生成した矢を引き絞り、ゴブリンの頭を狙うとすぐに引き絞った。
 後でエリスに言われたが、『当たって!』と無意識に口にしているようだ。

 矢は狙い通りにゴブリンの頭を直撃したが・・・その衝撃で頭が吹き飛んでしまった。
 そしてその時の衝撃で・・・首から下が縦に二つに切り裂かれ、切断面から血が吹き出した。

 だが死亡判定により1秒ほどで霧散し、パチンコ玉ほどの大きさの魔石が地面に落ちた。

「うわっ・・・すごい・・・さすが・・・です!」

 俺は自分が放った矢の威力に驚いた。この矢を生成するスキルはスキルオーブから獲得したものだ。まさかこの矢がここまで強力だとは思わなかった。
 そこで俺はスマホにてスキルの詳細を確認した。

【スキル名】エターナルアーチャー
【スキルランク】D
【スキル効果】魔力を消費して無限に矢を生成する。生成した矢は弓やクロスボウなどの射出器具に装填できる。矢は生成時の魔力に応じて硬度や威力が変化し、一定時間が経つと消滅する。
【スキル制限】一度に生成できる矢の本数はスキル熟練度により増える。生成した矢は自分以外の者に渡すことができない(解放条件は熟練度が最大に到着)。矢の生成本数の上限は魔力による。

 俺はスキルの効果を見て納得した。俺は魔力が高くようだし、魔法の才能もある・・・はず。
 でも、残念ながら今の俺は魔法を使えない。それは俺が魔法の知識や技術を持っていないからだ。ゲットしたアイテムの中に魔道書があるが、タイトルすら読めない。エリスによれば魔道書は読むだけでそこに書かれた魔法を習得出来るが、一度読むと白紙になる。

 でも、読めないから俺には使えない。後は魔道具を使うか、自力で魔法を覚えて唱えるしかない。
 その場合は魔法使いに師事するしかないが、どちらにしろ文字が読めなきゃ話にならない。
 だが、遠距離攻撃手段である弓が得意なので、当面は必要ないと思っている。

 でも、今回獲得したスキルは俺にとっては非常に便利なものだった。
 俺は弓を使うのが得意だが、一度に持ち運べる矢には限りがある。
 それに大量の矢は重くて持ち運ぶのも不便だ。
 収納に入れて置けばよいが、出すヒマがないほど次々と矢を放つ事態になると、収納から出すと出遅れるからありがたい。

 速射で1秒間に2、3本以上の矢を放つ時にありがたい。このスキルがあれば俺はいつでも矢を生成できるし、その矢は魔力に応じて強力になるからだ。
 俺はこのスキルを使ってダンジョンで誰よりも活躍できると確信した。

「タケル様、すごいです!あのゴブリンを一撃で倒すなんて!」

 エリスが感嘆の声を上げた。
 彼女は俺の隣に立って盾を構えていたが、今は無理でも、今後は俺に守られるのではなく、サポートできるようになりたいと言っていた。

「ありがとう、エリス。でも、油断は禁物だよ。まだゴブリンはたくさんいるから気をつけてね。次一体だったら攻撃を盾で受け止めてみようか」

「はい!次は是非私にやらせてください!」

 そして次に現れたゴブリンに対しエリスは落ち着いて対処した。
 俺の指示に従って盾で身を守りつつ、ナイフでとどめを刺した。俺が槍で牽制し、それによりエリスに向ける注意が散漫になっていたのもある。危なげなくエリスのナイフがゴブリンの胸を突き刺したのだ。

「や、やりました!私にもゴブリンが倒せました!」
 
「凄いじゃないか!しかも一撃!よく頑張ったね!」

 俺はエリスの頭をなでながら褒めた。彼女は俺の力になり、俺から誇られる存在になることをめざしている。

 魔物を殺す忌避感はないと言っていて、それを確認できたのはありがたい。

 その後俺たちは、ゴブリンやスライムなどの低級モンスターと戦いながらダンジョンの奥へと進んだ。
 俺は魔矢生成のスキルを駆使してモンスターを次々と倒していったが、エリスにも戦闘のコツを教えつつ、単独の魔物相手に戦わせて戦闘に慣れさせていった。
 正確には複数の魔物が出たら一体を残し俺が駆除し、エリスに戦わせている。

 俺たちはモンスターから得た素材や魔石を集め、エリスの借金の返済に充てることにした。俺たちはエリスの首輪を外すことを目指し、一生懸命働かなければならない。

 そうして一階層を一時間ほど探索していると、エリスが何かに気がついたようだ。

「タケル様、見てください!あれは何でしょう?古代語でしょうか?」

 エリスはダンジョンの奥にある大きな扉を指さした。その扉には神秘的な模様が刻まれており、上部には古代文字で何かが書かれているらしいが・・・
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