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第2章

第550話 アトランジェ死す

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 今回も同じパターンで進めていく。
 つまり弾道軌道を描いて飛んでいくという事だ。

 俺が上昇限界まで上昇すると、やはりエネルギー波?に襲われた。
 何と言っていいのか正直よく分からない。

 いわゆるレーザーというか、ビーム兵器かも分からないし、何かの魔法かもわからない。
 そのビームによってまるで充電されたかの如く俺はかっ飛んで行く。

 今回はおかしかった。
 そろそろ制動を掛けなければならない高度に迄来ており、制動を掛けてスキルによる飛行に移行したが、今までと違い気配の感じ方がまだ遠いのだ。

 気配から概ねこの辺りだろうと目を付けた所に降りたが、100m以上離れているとしか分からなかった。
 ここは特に何もない平地である。

 もう1度上空に飛び300m位程上昇するも、徐々に反応が遠くなって行く事が分かる。
 そして地上に近付くにつれ、アトランジェの反応がそれなりに出てくる。

 地上スレスレを広範囲で飛んだが、どう見ても地面の中に反応の中心が有るとしか思えなかった。

 下か!そう確信し、真下に向かって穴を掘る事にした。
 掘り進むと最悪の場合アトランジェを殺し兼ねないが、幸いな事に俺には死者蘇生がある。もしも地中深くに転移していた場合、生きている間に100m以内に行かないと死者蘇生が出来ない。オリヴィアがいた所の状況から、狭い場所にいる、つまり酸欠で死ぬのは時間の問題だろう。
 最早傷付ける事を気にする必要はない。

 土魔法で10m単位で掘り進み、風魔法を応用して外に土や岩を撒き散らしながら進む。

 100m程進むとアトランジェから悲鳴混じりの念話が入った。

「助けて!閉じ込められたの!」

「俺だ。今いるのはどんなところだ?」

「暗くて何も見えないよ!手探りだと小さな岩の部屋にいる感じだよ。それに息苦しいの」

「俺の反応はどの位置に感じる?」

「上から感じるの!ここは何?狭いよ!助けて!」

「落ち着け!今助けに向かっているから。そこは多分地面の中だ。空気が限られているからじっとして空気の消費を抑えろ!たとえ死んでも死者蘇生で生き返らせる事が出来るが、近くにいなきゃ駄目だ。怖いだろうが動くな!必ず見付けてやる!」

「うん。信じて待つよ!」

 そこからは念話も止まった。

 1時間位掘り進むと100m以内に来た。
つまりまだ100m下にいると分かる。
 だが、不意にアトランジェの反応が消えた?慌ててステータスを見ると、彼女についてのみ死亡と変わっていた。

 念話をしなくなったのは酸欠で念話の維持が厳しくなったからなのだろう。

 そして狭い空間で孤独に酸欠で死んでしまった。

 そこから更に30分程掘り進むと、漸くアトランジェのいる空間に辿り着いた。

 アトランジェを抱き寄せるも、やはり死んでいた。

 俺は周りを整地しゲートを出し、水樹達のいるエリアに移動するとシェルターに入った。

「アトランジェは見付かったの?」

「少し遅かった。酸欠で死んでしまった。地面の中に転移していて、閉じ込められていたんだ。だが、死体を見付けたから大丈夫だ。今からそこに向かうから、一旦シェルターを畳む。水樹、収納に入れてくれ」

「イリーナがまだ目覚めないの」

「分かったが時間が惜しい。俺が連れて行くよ」

 そしてイリーナをお姫さま抱っこしてからゲートを潜り、アトランジェの元に着いた。

 変わり果てた姿に水樹が狼狽えていた。

「水樹、シェルターだ!」 

 はっとなり水樹がシェルターを出したので中にイリーナを入れ、入り口でアトランジェの体を寝かせた。

「ギリギリだが、イリーナの魂が尽きる5時間前位に俺は目が覚めると思う。俺とイリーナを同じ部屋に運んでおいてくれ。目覚めと共に例え彼女が目覚めていなくても刻印の儀を始めないと、彼女の魂の寿命が来てしまう」

「セレナの時と一緒ね」

「そうだ。セレナは俺が完全に死ぬと5分で死ぬよ。本当にギリギリだったな。よし。先ずはアトランジェを生き返らせるよ!皆後を頼む!それと風魔法で時折空気を入れ替えるのを忘れるな!酸欠で死んでしまうから」  

「ええ、分かったわ。アトランジェを助けてあげてね!」

 俺はレイナ、水樹、オリヴィア、クレアに見守られながら死者蘇生を使う。
 勿論いつもの事だが、アトランジェの心臓が再始動をし始めた事に伴いドクンと鼓動した。
 辛うじてそこまでは意識を保っていたが、直後にブラックアウトした・・・
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