異世界召喚された俺は余分な子でした

第２章

第547話 2人目の捜索

　俺は水樹とイリーナをシェルター内に避難させた後、反応が有った中では１番近い所に向い始めた。

　未だに念話に反応がないので少し焦る。
　とは言っても俺も意識を取戻してからまだ２０分程しか経過していないので、目覚めるのはこれからだろう。

　取り急ぎクレアを探したい。
　妻達の中でも戦闘力があまりない方だ。
　似たり寄ったりの戦闘力しか持ち合わせていない水樹が最初に見つかったのは僥倖としか言いようがない。

　近くといっても反応がある所まで２００ｋｍ程もあるので、全力で飛んで行く。

　今の所生き物と遭遇はしていない。
　昼間の為？ただ、星や月が見えないので別の星や異世界なのかは不明だ。
　以前は住んでいる星の反対側に飛ばされた事も有るが、存在の感じられ方や念話の具合からその可能性は薄いと思う。
　しかし、それを考えるのは後だ。
　今はクレア、オリヴィア、レイナ、アトランジェを探し出して合流する事が先決だ。

　遠い者で５００km以上離れていると思われる。
　急ぐ為一旦ほぼ真上に飛び、放物線を描くような所謂弾道軌道で目的地に向う事にした。
　低空だと何かしらの妨害が入るかもだからだ。

　しかし、ほぼ頂上に来た時に光？が俺のヘルムを直撃した。
　即時に自動的に働く反射攻撃を返したようだが、それなりに頭に衝撃をくらい、一瞬意識がなくなり自由落下をしていた。

　どれ位気絶していたのだろうか？

「うおおおおぉぉぉ」

　俺は落下感から叫びながら軌道修正をし、意図せずに１番遠くで反応が有った場所に飛んでいた。
　真下に落下していたのではなく、偶々その方向を向いていたのだ。

　意識を取り戻してからの段階での近い所に行く方が良いと思い、軌道修正をしてそちらに向かい飛ぶというか、落下していく。
　つまり元々５００ｋｍ離れていた者の所に向かっている。

　落下に際してかなりの熱を伴うが、魔法を併用しているので摩擦熱は気にしなくて良い。
　また、今の速度はかなり出ており、普通の者なら気絶する速度だ。

　時折修正しながら弾丸のように飛んで、いや落下しているが、手を体に密接させて空気抵抗を少なくしている。

　それとかなりの音が出ているはずだ。
　そうしていると段々地上が見えてきて、体を広げ制動を掛け始めた。

　そして地上スレスレの所まで来たので、風魔法でクッションを掛けつつ飛行でコントロール出来るようになると、飛行にて反応のある所に飛んで行く。
　反応は直径１００ｍの範囲が分かるので、先ずはその辺りへと向かった。

　俺がいた所もそうだがここも何もない荒野だ。

　少し探すと岩と岩の間に挟まっているクレアを発見したが、彼女は苦しそうに唸っていた。
　呼び掛けにも反応がないので俺は挟まった状態のクレアを救うべく、慌てて周辺の岩をアンタレスで斬り裂いて何とか救出した。

　そしてその場で慌てて治癒魔法を使った。
　肉体再生が有るので放っておいても回復するのだが、少しでも早く痛みを取りたくて使った。

　意識が少し戻ったようだが、俺の顔を見てホッとしたのか再び気絶してしまった。

　俺はゲートをシェルターの前に出し、水樹に念話で連絡してドアを開けてもらい、クレアを預けた。

　水樹によるとまだ誰からも念話が入っていなかった。
　イリーナは落ち着いてはいるが、まだ目覚めなさそうだなとなった。

　手短にクレアを発見した時の事を伝え、俺は再び空へと飛び立ったのだった。