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第1章

第524話 漸く変化が?

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 そう言えば、55階層を出発して直ぐに水樹が60階層、つまりボス部屋まではなにも無く、拍子抜けするのではないかと言い始めた。

「聞いてくれ!水樹がここから60階層までは平和そのものだと言ったからな!力を温存して行こう!」

 すると皆の顔が厳しくなった。
 勿論最大限の警戒をしなければならない事を意味する。

 55階層の配置関係が分かったというか、地図の向きを変えたものとして見た場合のではある。

 残り20分もすれば階段という所で異変が発生した。

 何の前触れもなく突然先頭を進むアトランジェの胸から上が切断された。
 そして切断された胸から上が地面に落下し、遅れて数歩歩いた残り部分が細切れにされた。

 そこは幅の狭い通路で、後続のレイナも壁から超高速で発射された刃物にズタズタに斬り裂かれた。
 漸く俺は対処し、射出口を破壊していった。

 射出口は20m程の間に計6箇所もあった。
 そして2体の体を作り直してから先を進んだ。
 勿論切り刻まれたのは俺が操り人形としていた予備の体だ。
 正直拍子抜けした。

 だが、大して警戒せずに進んでいたのならば本物の肉体が切り刻まれていただろうとは思う。
 だが、それでも先頭の2名だ。
 正直意味がない。
 精々足留めや時間稼ぎになる位だろうか。

 ただ、アトランジェは己の体が切り刻まれていくのを見て嫌なものだなとぼやいていた。

 55階層はそれ以外は特に何もなかった。
 水樹がこの先はまた何かが有るかもだから、警戒をと呼び掛けていたのもあり何もなかった。

 今回は俺の作った人形のお陰で難を避ける事ができた。
 つまり作戦勝ちなのだが、もしも本気で潰しに掛かる罠であったのなら稚拙だ。
 本気で殺れると思ったのか、この後油断を誘う為なのか判断し難かった。

 水樹に先のトラップについて意見を求めると、今のはジャブのようなもの、つまりこれからえげつないのが来ると言っていた。
 確かにそうなのだろうと俺も同意した。

 だがしかし、弱い魔物が出る以外トラップも無く、今日の目標である57階層を終えた。

 その頃になると死霊使いを使う予備の体の戦隊、つまり囮隊の操作も慣れてきた。
 ただ疲労感はまだかなりのものがあり、やはり世話をされまくっていた。
 但し、昨日と違い悪戯を防いでおり皆の落胆が半端なかった。

 ただ、寝る前にする事が有った。それは囮を作り直す事だ。
 2日も経てば体が痛み始めるからだ。
 明日は臭いもキツくなるだろう。
 俺のはともかく、囮体からとはいえ妻の体から臭いはさせたくない。

 そうやって体を作り直した後、古い方の体は燃やしてダンジョンの片隅に置いておいた。
 そのうちに吸収されるだろう。
 流石にそこまでするとフラフラだったが、かなりエグい事態になるので妻達には見せていない。

 終わった後はゆっくり風呂に入ったが、途中で意識がなくなり気が付いた時にはベットで寝かされており、横にいたクレアから湯船で溺れていて大変だったのだと聞かされたのだった。
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