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第1章
第497話 イリーナ
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異変を感じたのか、何人かの妻が部屋に入って来た。
皆慌てているので手で制し、妻達に告げた。
「クレアに憑依している者が何かを訴えたいらしく現れたんだ。だから相手にしているが、なんと女神様だそうだ。名はイリーナと言うんだと」
すると慌てて駆け付けて来たレニスが驚きの声を上げた。
「イ、イリーナ様と申されましたか?確か封印されている、あの処女神イリーナ様ですか?」
クレアは皆の前に仁王立ちした。
「ふむふむ。お主は中々博識であるな。そうじゃ!我は封印されし女神イリーナに相違ない。封印の一部にほころびが発生し、漸くこうやって現れる事ができたのじゃ!」
イリーナは皆が黙って話を聞いている事にニンマリし、話を続けた。
「今まではかろうじて意識体をクレアに憑依し、ずっと機会を伺っておったのじゃ。彼女に取り憑かさせて貰う代わりに、彼女には予知能力を与えておる。まずは予知を聞くがよい。我も今回の予知は知らぬのじゃ」
次の瞬間、クレアの様子が変わった。
目が逝っており、白目になり完全にトランス状態になっている。クレアはこの手の形でブラックユーモアなんて事はしない。
「災厄が起こりし日、そなたは蒼き娘と共に行動しておらねばならぬ。もし行動を共にしておらねば、更成る悲劇に見舞われ、それは悲惨な結果を生む事になるであろう。そなたはまたもや災厄に遭ってしまうが、蒼き娘のおかげで被害は最小限に抑えられるであろう。くれぐれも屋敷を出る時には蒼き娘を連れて行くように。夢々忘れるでないぞ・・・」
言い終えるとクレアは一瞬震え、白目を剥いていたのが元の目に戻った。
「それとそなたは確かランスロットと言うたな。依代となっておるクレアに免じ、そなたの無礼は許そう」
俺は「はぁ?」と唸ったが、スルーされたようで話を続けた。
「その、そなたに頼みがあるのじゃ。聞いてはもらえまいか?」
クレアの声とクレアの顔で頼み事をしてきたので、俺はつい反射的にうん分かったと言ってしまった。
「そうか。願いを聞く前にやると答えてしまっても良いのかえ?そうじゃな、フェアではないのできちんと話をした上でもう一度返事を貰えると嬉しいのじゃ」
俺は女性の頼みに弱い。
ましてや愛する妻からうるうるした目で懇願されては嫌とは言えない。
黙ってただただ頷き、話の先を促した。
「ダンジョン奥深くに幽閉されておる我が肉体の封印から解いて欲しいのじゃ。そなた達も感じておろう?最近ダンジョンが新たに現れて来た事を。それは我の本体が封印されしダンジョンに異変が起こっておるからに他ならぬ。ダンジョン奥深くに我の体が封印されておる。そのダンジョンの入り口がまもなくそなた達の元に現れるであろう。済まぬが時間がない故助けてはくれまいか」
涙目で訴えてきており、即答した。
「俺にできる事であれば何でもしよう。大丈夫だ。任せろ!」
イリーナが震え出してきた。
本当に時間がないようだ。
「分かった。俺の方でなんとかできるなら君を助けてあげよう。悪いが確約はできないが最大限の努力はするぞ。確かに時間が無さそうだから、助けた後にゆっくり話をしたいものだ。それで良いか?」
「良いのじゃな?そなたへ一方的なお願いをしているのじゃが、本当に良いのかえ?しかも我に見返りを要求しておらぬぞ?」
「うーんちょっと残念さん?そんな気がするが、でも心、そう、何て言うのだろうか、魂の綺麗な女性であるという事に間違いなさそうだ。そんな女性のお願い事に条件など付けられるものか!そうだな、無事に開放したら胸でも堪能させてもらうさ。役得って事でさ」
イリーナはただただ感謝し頷いた。
「イリーナが女神なのかどうかは分からないし、そんな事はどうでも良いが、ダンジョンに封印されているというのなら、どのみちダンジョンを攻略せねば碌な事にならないだろうから、まあついでに助けてやるよ」
「我を相手についでと言うか。そうじゃな。またお主はスケコマシのようじゃが、根は良い者のようじゃな。お主の妻達の行動を見ておれば、そなたが皆から慕われているのがよく分かる。すまないが我を助けておくれ!お願いじゃ!もういやじゃ!あのような・・・」
途中でぷつりと切れた。
時間が来たのだろう。
クレアがパタッと倒れて気絶してしまった。
最後は心の底から懇願し、辛いと言っていた感じだ。
必死に訴え始めた感じで、俺は絶対に助けてやる!妻にしてやる!と心に誓ったが、妻達からはもう1人増えるのねと聞こえたような気がするのであった。
皆慌てているので手で制し、妻達に告げた。
「クレアに憑依している者が何かを訴えたいらしく現れたんだ。だから相手にしているが、なんと女神様だそうだ。名はイリーナと言うんだと」
すると慌てて駆け付けて来たレニスが驚きの声を上げた。
「イ、イリーナ様と申されましたか?確か封印されている、あの処女神イリーナ様ですか?」
クレアは皆の前に仁王立ちした。
「ふむふむ。お主は中々博識であるな。そうじゃ!我は封印されし女神イリーナに相違ない。封印の一部にほころびが発生し、漸くこうやって現れる事ができたのじゃ!」
イリーナは皆が黙って話を聞いている事にニンマリし、話を続けた。
「今まではかろうじて意識体をクレアに憑依し、ずっと機会を伺っておったのじゃ。彼女に取り憑かさせて貰う代わりに、彼女には予知能力を与えておる。まずは予知を聞くがよい。我も今回の予知は知らぬのじゃ」
次の瞬間、クレアの様子が変わった。
目が逝っており、白目になり完全にトランス状態になっている。クレアはこの手の形でブラックユーモアなんて事はしない。
「災厄が起こりし日、そなたは蒼き娘と共に行動しておらねばならぬ。もし行動を共にしておらねば、更成る悲劇に見舞われ、それは悲惨な結果を生む事になるであろう。そなたはまたもや災厄に遭ってしまうが、蒼き娘のおかげで被害は最小限に抑えられるであろう。くれぐれも屋敷を出る時には蒼き娘を連れて行くように。夢々忘れるでないぞ・・・」
言い終えるとクレアは一瞬震え、白目を剥いていたのが元の目に戻った。
「それとそなたは確かランスロットと言うたな。依代となっておるクレアに免じ、そなたの無礼は許そう」
俺は「はぁ?」と唸ったが、スルーされたようで話を続けた。
「その、そなたに頼みがあるのじゃ。聞いてはもらえまいか?」
クレアの声とクレアの顔で頼み事をしてきたので、俺はつい反射的にうん分かったと言ってしまった。
「そうか。願いを聞く前にやると答えてしまっても良いのかえ?そうじゃな、フェアではないのできちんと話をした上でもう一度返事を貰えると嬉しいのじゃ」
俺は女性の頼みに弱い。
ましてや愛する妻からうるうるした目で懇願されては嫌とは言えない。
黙ってただただ頷き、話の先を促した。
「ダンジョン奥深くに幽閉されておる我が肉体の封印から解いて欲しいのじゃ。そなた達も感じておろう?最近ダンジョンが新たに現れて来た事を。それは我の本体が封印されしダンジョンに異変が起こっておるからに他ならぬ。ダンジョン奥深くに我の体が封印されておる。そのダンジョンの入り口がまもなくそなた達の元に現れるであろう。済まぬが時間がない故助けてはくれまいか」
涙目で訴えてきており、即答した。
「俺にできる事であれば何でもしよう。大丈夫だ。任せろ!」
イリーナが震え出してきた。
本当に時間がないようだ。
「分かった。俺の方でなんとかできるなら君を助けてあげよう。悪いが確約はできないが最大限の努力はするぞ。確かに時間が無さそうだから、助けた後にゆっくり話をしたいものだ。それで良いか?」
「良いのじゃな?そなたへ一方的なお願いをしているのじゃが、本当に良いのかえ?しかも我に見返りを要求しておらぬぞ?」
「うーんちょっと残念さん?そんな気がするが、でも心、そう、何て言うのだろうか、魂の綺麗な女性であるという事に間違いなさそうだ。そんな女性のお願い事に条件など付けられるものか!そうだな、無事に開放したら胸でも堪能させてもらうさ。役得って事でさ」
イリーナはただただ感謝し頷いた。
「イリーナが女神なのかどうかは分からないし、そんな事はどうでも良いが、ダンジョンに封印されているというのなら、どのみちダンジョンを攻略せねば碌な事にならないだろうから、まあついでに助けてやるよ」
「我を相手についでと言うか。そうじゃな。またお主はスケコマシのようじゃが、根は良い者のようじゃな。お主の妻達の行動を見ておれば、そなたが皆から慕われているのがよく分かる。すまないが我を助けておくれ!お願いじゃ!もういやじゃ!あのような・・・」
途中でぷつりと切れた。
時間が来たのだろう。
クレアがパタッと倒れて気絶してしまった。
最後は心の底から懇願し、辛いと言っていた感じだ。
必死に訴え始めた感じで、俺は絶対に助けてやる!妻にしてやる!と心に誓ったが、妻達からはもう1人増えるのねと聞こえたような気がするのであった。
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