異世界召喚された俺は余分な子でした

第１章

第478話 事情

　俺は目覚めた時にパニックになった。
　何せ己の嘔吐物で窒息していたのだ。

　気絶していたところ突如吐いて喉を詰まらせ、ゴホゴホとあがいていたところ、周りにいた妻達が慌てて俺をうつ伏せにして喉に手を突っ込み、詰まった嘔吐物を取ってくれた。

　そして胃の中が空っぽになるまで吐いた。
　最悪の気分である。
　頭が痛かったり寒気がしたりするからまたもや死者蘇生を使ったようだ。
　その後遺症のようだが、いつにも増して症状が重かった。

　そして吐いている最中に意識を失ったというよりも、バブっていた。
　後から聞いた妻達の話によると、俺は背中をさすられている最中に視界に映った誰かへ飛び付き、一気に上半身を裸にし、その胸を吸っていたと言う。
　慌てた妻達が俺を引き離したが、俺がバブった相手はよりによって、今回助けた女性だった。

　彼女はパニックになっていたそうだが、俺は引き離され妻達が代わる代わる俺をバブらせて正気に戻るのを待っていたらしい。

　いつもより長く、しかも激しかったらしい。
　だが、その後落ち付いた俺は再び意識を失い、２時間後に漸く目覚めたのが今である。
　もう吐く物が無いので吐きようが無かったが、その気持ち悪さは２日酔いを更に酷くした気分だった。

　大丈夫？誰かが声を掛けてきたが、状況がよく分からなかった。
　俺の体は拭かれていたようだったが、少し臭うので俺は己と部屋にクリーンを掛けた。
　誰かが出してきてくれたグラスを受け取り、中身を一気に飲み干した。
　暫くすると漸く意識もはっきりしてきたので質問した。

「すまない。また誰かを死者蘇生したようだが、一体何が有った？まだ意識が混濁していて何が有ったのかよく分からないんだ」

　すると１人の見た事のない青く綺麗な女性というか、俺の目の前にその美少女をセレーシャが連れてきた。
　セレーシャの後ろに隠れているようで、彼女が応対をしているようだ。

「ねえ志郎さん。この子を生き返らせたのを覚えているかしら？」

　俺はその時は見覚えがなかったが、その女性を見ると顔や肌は青いが、かなり整った顔立ちだ。
　１６歳から２０歳の間だろうか？美女と言うか美少女である。
　額にアクセサリーか何か分からないが、特徴的な小さな角があった。
　背丈はセレーシャと同じ位だろうか。
　それと大きくもなく小さくもなく俺好みの程よいサイズだ。
　あくまでも俺の好みのサイズである。
　何って？それはどこかと言うと、胸に決まっている。
　愚問だな。

　ぶっちゃけ顔も俺の好みである。俺は今は見た覚えがないが、妻の１人に加えたいと無性に思った。
　というよりも無性に愛おしくて仕方がなかった。
　何故この見た事のない女性を好きなのだろうか？１目惚れしたのだろうか？と。
　そのように思ったが、俺が見覚えが無く戸惑っていて首を振っていたのを見て、ナンシーが声を掛けてきた。

「ランス、あなたはこの子を生き返らせたの。この子が空から落ちてきて、その調査を行っていた時に彼女を生き返らせたのよ。そして気絶して今漸く目覚めたの。死者蘇生を使った後の記憶の混乱で彼女の事を覚えていないと思うけれども、暫くすると思い出すはずよ」

　俺は思い出すまで青き娘をじっと見詰めてみようとおもう。