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第1章

第475話 予兆

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 こちらの世界に戻ってきてからどれくらい経ったであろうか?思い起こすとこの世界に帰ってきてから約半年程が過ぎていたのだ。
俺は平和な日々を過ごしており、丁度昨夜そろそろ子供を作ろうかとの話が湧いた感じだ。

 だが今、夕方にも関わらず城からの急使が来て、俺は嫌な予感しかしなかった。

 幸いなのは妻達とイチャイチャしている最中ではなく、夕食の前であり、庭先で孫達と剣の訓練をしていたが、そろそろ終わろうとしているが、訓練をしている最中に使者が来たのだ。

 城からの使者とは珍しいものである。
通常は書状を携え書簡のみを持参して帰っていくか、剣の修行をしている孫の誰かが伝えてくる。
 又はそれが終わるのを待つが、今回は割り込んで来た。多分初めてだ。
 今回はいつもと違った。書状プラス口頭で伝えるというのだ。
かなり急いでいるようだった。

 レニス達に後を任せ、クールダウンをさせ、引き上げさせるようにした。取り急ぎ汗を拭くタオルだけをもらい汗を拭いながら応接室に入った。
とりあえずナンシー、クロエ、ルシテル、セレーシャが同席する事にした。このメンバーがいれば大概の事は助言が得られるからだ。

 俺は着替えもせず取り急ぎ部屋に入ったが、使者に挨拶をした。

「剣の稽古中でね。こんな格好ですまないね。責めるわけじゃないが先触れもなく夕方に使者を寄越すなんて珍しいな。朝に来たのではないと言う事は急ぐんだな?」

「いえこちらこそ急に訪問いたしまして誠に申し訳ございません。ただ何分陛下がお父上に急ぎ伝えるようにと、つまり上皇様に即刻伝えるようにとの事で参りました」

 俺は頷き、使者に先を促し話を始めさせた。

 ジャックナイフ地方にあるとある町で奇妙な事件が起きたというのだ。

 何でも昨夜、とある商店に何かが落下したのだと言う。
そこは店舗の為、普段は誰も住んでおらず無人だったそうだ。

 ただ夜中に周辺の住民がドスンという大きい物音を聞いていたという。 翌朝である今朝方、店の者が開店準備の為に2階に物を取りに行ったが、2階が散乱しており、上を見上げると屋根が半ば崩落していたというのだ。
 そしてそこに奇妙な死体があったのだという。

 死体の説明をしようとしたが、俺は手で制して使者の話を止めさせた。

「分かった。その死体を見に行こう。今使者殿の口からあれやこれやと聞いて、予備知識を持つと先入観が強くなる。俺は予備知識がなく、己が初めて見た感じの直感を感じたいんだ。そこは俺の行った事のある町だから、このままゲートを出して向かおう。詳しい事は死体を見てからにしよう」

 隣の部屋で待機しているメイドを呼び、今から城の方と一緒にジャックナイフに行ってくると告げた。今この場にいる妻達と共にその奇妙な死体が落ちてきたという町に向かった。

 俺が妻とのデートで町に行くのは大概町外れの寂れた場所に出るようにしている。
急に町の中心部等人が多くいる場所でゲートを出すと周りの者達が驚くからだ。

 目的の店のある場所は分かっているが、情報交換の為にまずは領主の所に向かうことになった

 こちらに戻ってから初めて行く町ではあったが、なんとなく見覚えがあった。
一部の建物はくたびれて入るがそこにあったからだ。

 俺が町並みを見ているとクロエにさあ行きましょうと先を促されたのであった。
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