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第1章

第474話 バブりモードの検証

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 俺は異世界というか、ヒナタのいた世界に飛ばされた後50年の間に起こった事を学んでいた。
 そんな中ナンシーにお願いして確かめたい事が1つあった。
 向こうの世界で最後にバブったのが約30年前だ。

 しばらく時間をおけばバブる事がなくなるのではないかという話になり、まず1年程時間をおいて試したが・・・何も変わっていなかった。

 そこからというもの、こちらの世界に戻るまでの間、俺がバブらないように皆の協力を取り付けてやっていた。
 だが、帰ってきたのもあり、約30年経って変化があったかどうかをそろそろ確認する事になった。

 元々こちらに戻ってきたら変化があるかどうかを確かめる事にしていたのだが、忙しくて、忘れていたのだ。

 結果は何も変わっていなかった。
 そう、30年前と全く変わっていなかったのだ。
 つまりバブる事は時間とは関係ないという事になる。

 ある程度の時間が経過すればこの呪いとおさらばできるという期待はあっさり打ち砕かれてしまった。

 意識が戻り、無駄だったのだと気が付いた時に俺は恥ずかしげもなく大粒の涙を流した。

 誰かの乳首を赤ん坊のように吸っている情けない姿の己の状態を認識した時だ。
 悲しいかなチュパチュパは止まらなかった。

 その後俺は1週間程酷くうつ状態に陥っており、部屋に引きこもっていた。
 トリシアですら俺に声を掛けられなかったと言う。

 それでも何とか1週間後には日常生活に戻っていた。
 俺から妻達に余程の事がない限り、俺がバブらないように気を付けて欲しいとお願いをした。

 俺の落胆の激しさから妻達は受け入れてくれていた。 

 俺が正気に戻った後は、俺を飛ばした転生者が行った悪事の痕跡を辿る事にした。

 あの核爆発を起こされた所も既に放射性物質が殆どない事が確認できた。
 一時的にはあったのだが、半減期がかなり短い種類だったようだ。
 その為、長期間汚染地帯にならずに済み、再び町が作られたり小さな集落がポツポツと作られていった感じだ。

 調査した結果、ほぼ元の状態に戻りつつあるという事だ。
 それとこちら側と俺達のいる国とでは文明のレベルが開きつつある事が実感できた。

 1番感じられるのは紙である。

 元々羊皮紙のような物が使われていたのだが、こちらでは紙の進歩がなかったようだ。
 ただし俺達の方はそうではない。
 妻達が紙の原型になるような物を世の中に送り出していたのだ。

 ただ、残念ながら製紙業界に詳しい者がおらず、現代日本で使われているパルプを原料とした紙の製造方法が分からなかった。
 ただ、セレナ達日本人は和紙の作り方を知っており、パルプでの紙製造の研究開発をすると共に、和紙の普及を図っていた。
 羊皮紙より遥かに作りやすく、材料も豊富で安価である。
 勿論パルプで作った紙の方が品質も良い。
 当然ながらパルプを原料とした紙のコストは安いのだが、現段階での技術レベルではそれが限界であった。
 この世界の住人に発明してもらうしかない。

 また、俺は俺で新たな帳面にこちらに帰ってきてからの事について日記を書き始めていた。
 特にこの50年の移り変わりは緩やかに変わってきている為、妻達には大きく変わったという実感があまりなかったようだ。 

 だが俺のように50年振りに戻ってきた浦島太郎のような者からすれば大いに変わっており、その記録を残していくのであった。
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