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第1章

第467話 トマス

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 朝食が終わるも、フラフラになっていた俺は誰かに肩を貸して貰いながら部屋に戻った。
 誰が連れていってくれたのか次に目覚めるまで分からなかった。

 正直よく覚えていない。
 そのままベッドに倒れ込み泥のように眠ったと聞いた。

 その後数時間後に昼食だと言われ起こされた。

 アホな俺は添い寝してい2人と起き抜けに親子丼セットを楽しんでいた。
 そう親子丼である。
 勿論短時間になってしまうのだが、彼女達にとっては待ちに待った時間であったはずである。
 堪能した後着替えて食堂に行くと皆が俺を待っていた。
 俺が来ると皆昼食を食べ始めた。
 ごめんなさい・・・親子丼を堪能している間、皆を待たせていました。

 俺は最優先事項としてやらねばならぬ未刻印者との刻印の儀を済ませ、その後親子との対面をしたので次に向き合わねばならぬ事に向き合う事にした。

 俺の知っている者で亡くなっている者が誰か教えて欲しいのと、その者達の墓参りに行きたいと言った。

 ドラゴニュート達についてだが、一部の高齢だった者を除き皆健在である。
 寿命もヒューマンのそれではなく、平均寿命が約200年という事で特に見知った者に関しては心配ないと言っていた。

 但しタオ殿やレーヴェンはさすがに既に亡くなっていた。
 2人共40~4年程前に亡くなっていた。

 また、存命の中で1番に会いたいと思ったのは、勿論配下の者もそうだがトマスだった。
 彼には召喚直後に俺が生き残る為に危険を犯してまで、協力してくれた恩義がある。

 今はチャカとレニスを伴い騎士団本部の方に来ている。トマスは我が国の将軍として全軍を指揮していた者だが、流石に今は高齢の為引退している。

 その後周りから乞われたのと国へのせめてもの恩返しとして、新たに設立された士官学校のオブザーバーとして協力してくれている。
 時折体調の良い時に生徒の稽古に付き合ってくれているのだ。

 当人も体がなまるとあっという間に動けなくなるからと、体を動かす事を目的としているのもありまだまだ元気だった。
 丁度俺が練兵場に行くと、1人の老紳士が刃を潰した剣を片手に剣術を教え込んでいた。

 よく見ると左腕は肘から先がなかった。
 軍を率いて魔物の討伐に当たっていた時に腕を失ったのだ。
 案内の騎士が教えてくれた。
 部下を逃す為に殿部隊の1員として自ら買って出た結果だと言う。  

 被害は最小限に抑えられたそうだが、結果的に彼は部下を救ったとはいえ、大きな代償を払ったのだと言う。
 その後将軍職に就いたのだが、周りから将軍自らが前線に立つものではないと言われ、片手を失った事もあり殆どの時間を騎士団本部で過ごす事が多かったらしい。

「練習中失礼するよ」

 俺がひと声掛けると、まさかという感じで驚いていた。
 トマスが俺の顔を見るやいなや剣を放り捨て、足を引きずりながら俺の方に駆け寄り、片膝をついて涙を流したまま再会を喜んでくれた。

「まさか!まさかランスロット様と再びお会い出来る日が来るとは思いませなんだ!懐かしゅうございます!チャカ団長の美しさも相変わらずですな!」

 俺はトマスを立たせ、彼を抱き締めた。 

「すっかり年老いたね。苦労掛けたね。貴方が生きている間に戻って来られてよかった。我が友よ!」

 彼は遠慮したが、俺はこの国を今まで守ってくれたトマスに対するせめてものお礼とし欠損修復や体が今抱えている病気や、足を引きずっている原因となる事のを治療した。
 おそらく寿命が来るその日まで元気に動く事ができるだろうと伝えた。

 トマスは俺にひざまずき、膝をついた俺に抱きしめられ泣いていたので、生徒達がどよめいていた。
 騎士団の誰かが生徒達に説明していたようだ。
 彼は頑固な偏屈爺として振る舞っていたようだ。

 トマスからは折角だから何人かに稽古をつけて行って欲しいと言われた。

 元々そうなるんだろうなあと思いつつ、快く了承したのであった。

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