上 下
459 / 566
第1章

第459話 若返り者との再会

しおりを挟む
 いつもの事だが激しい頭痛と胸が苦しくて、嘔吐感で目覚めた。
 この感じだとまた誰かを死者蘇生したらしい。今回はダメそうだ。
 多分吐いてしまう。

 状況がよく分からないがベッドで寝ていて、多くの者の視線を感じていた。だが、今にも吐きそうになり、一気に体を起こした。
 するとガツンと鈍い衝撃があり、頭が何かに当たった。
 お互い、あいたたたとなっていたが、そこには手すきを持ちながら頭を押さえて痛がっているシェリーがいた。

「よかった。ランスが気が付いて」

 どの種類のかはともかく、涙を流していた。

 俺が口を押さえていたので、待っていた洗面器を出してきたが、俺はそこに吐いた。しかし、間に合わず半分はシェリーの体に掛かってしまった・・・
 誰かが背中をさすってくれており、俺は吐き終わると直ぐにクリーンを掛けた。
 嘔吐したものやその辺に飛び散った吐瀉物を綺麗にしていく。特にシェリーには念入りにだ。
 よりによって妻にぶちまけてしまった。

 そしてシェリーを抱き寄せ、おでこに手を当てながらクリーンと唱えた。  

 赤く腫れていたのが収まると質問をした。

「一体何があった?」

 俺は息切れを起こし、それを聞くのが精一杯だった。
 だが一つ言えるのは、ここは元の世界の俺の拠出であり、ここは俺の寝室だ。若干記憶とは違うが、間違いない。
 また、周りにいる者の気配から刻印を刻んでいる者全員プラス5人がいるという事が分かった。
 俺が落ち着くのを待ってセレナが説明してくれた。

 約45年前に魔法陣を作ったのだと言う。解析と設計に数年を要したと。ただ、なぜか機能せずにいた。
 間違いなく働きはしていたが、最後のステップに移行しなかった。
 ところが1日前に急遽魔法陣が45年の時を経て動き出したと言う。そして魔法陣が展開し、俺達を呼び戻す事に成功した。
 その過程で6人の妻達が命を落とした。
 死ぬ者は生き返らないと理解した上で挑んだと。皆が反対するからと、生贄になれないセレナが4人から手紙を預かっていた。

 そして水樹をはじめ、刻印をまだ刻んでいなかった者達を若返らせると俺が言って、トリシア達に一旦殺させたと言っていた。
 そして彼女達の体を若い体に作り変えた後、死者蘇生をしたと言う。
 俺は段々思い出してきた。
 ぐるっと見渡すと懐かしい部屋と、俺の愛しい妻達の顔がそこにあった。
 何故か皆、着飾っていたが。

 そして俺達が向こうの世界に飛ばされる事になった原因は既に解決済みだと言うので、それについては追々話してくれる事になった。
 解決しているのであれば取り敢えず急いで聞く必要はない。

 俺が飛ばされる時の水樹達の年齢はこうだ。

谷村 水樹  14歳(アステローペ)
皆川 百合亜 17歳(メローペ)
タユーテ   19歳
ケラーイノ  18歳 
アルキュオーネ18歳 

 そう時間と共に全てを思い出してきた。
 だが、思い出している間にまずは皆をハグし、キスぐらいはしてあげないといけないので、まずは未刻印者の5人だ。
 この5人が一番苦しんだはずなので、まず彼女達からキスをしていった。

 水樹と百合亜に関してはこれが初めてのキスだったはずだが、そこまで頭が回っていなかった。
 この2人だけが異様にうっとりしていたなと後で思い出したのだ。
 もっとロマンチックな所でするべきだったが、まあ、運命の再開、その喜びの時だから今で良かったのかもだ。 
 いや、これ以上のシチュエーションはない! 

 次に魔法陣の発動と共に死んでしまった6名をハグして行き、残りに対しては皆お行儀よく並んで俺の所に来ていた。
 並び順は基本的に知り合った順番になっている。
 予め決めていたのだろう。
 この後の数日は精も根も尽き果てるまで、妻達の為に頑張らねばならない。
 なにせ50年もレスなのだ。
 俺は毎日のように向こうで・・・
 ごめんなさいの気持ちで一杯だ。

 俺はどれぐらい気絶していたのかを聞くと、3時間ほどだった。

 それともう一つしなければならない事があった。
 そう、この世界にいる実の子供達と会わねばならぬという事であった。 
 こちらは気が重い・・・
しおりを挟む
感想 64

あなたにおすすめの小説

[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!

どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入! 舐めた奴らに、真実が牙を剥く! 何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ? しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない? 訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、 なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト! そして…わかってくる、この異世界の異常性。 出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。 主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。 相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。 ハーレム要素は、不明とします。 復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。 追記  2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。 8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。 2024/02/23 アルファポリスオンリーを解除しました。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

おっさんの神器はハズレではない

兎屋亀吉
ファンタジー
今日も元気に満員電車で通勤途中のおっさんは、突然異世界から召喚されてしまう。一緒に召喚された大勢の人々と共に、女神様から一人3つの神器をいただけることになったおっさん。はたしておっさんは何を選ぶのか。おっさんの選んだ神器の能力とは。

母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)

いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。 全く親父の奴!勝手に消えやがって! 親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。 俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。 母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。 なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな? なら、出ていくよ! 俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ! これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。 カクヨム様にて先行掲載中です。 不定期更新です。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

処理中です...