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第1章

第457話 ただいまと新たな問題

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 2度目の異世界召喚は、召喚が始まったと思ったその直後に突然終わった。
 俺以外の召喚された妻達は床に片膝を付き、肩で息をしている感じだったが俺は違った。

 意識が朦朧とし、体も動かない。
 また、召喚が行なわれている部屋の天井付近から落下していた。
 誰かの悲鳴が聞こえ、落下している最中の俺に駆け寄ろうとした者もいたようだが、あっという間の出来事に誰も間に合わず、俺は床に叩きつけられた。
 高さ10m位からだったからか、どうする事も出来なかった。
 痛い・・・
 どうやら肋骨が折れたようだ。

 気配や俺の刻印者の数が20名を超えている事から、無事に?元の世界に戻ったのだと分かった。

 折れた肋骨が内蔵を傷付けた為か俺は血を吐いており、誰かに起こされて治療されていた。

 数分で皆立てる位にまで回復し、漸く俺も起き上がる事が出来た。

 皆も助け起こされ、各々誰かに介抱されていた。

 俺も辺りを見渡したが、刻印者というか、刻印者以外はシャットアウトしたようだ。
 その場の様子から1番最初にセレナと共に召喚された所にいるようだ。  
 この部屋は少しくたびれていて補修等をされているが、間違いない。  
 ただ、誰かが倒れている気がした。

 俺はようやく1言発した。

「ただいま。随分待たせてしまった。申し訳ない。まだ召喚の影響でフラフラだが、なんとか大丈夫だ。ルシテルはどうした?気配がないな?召喚はルシテルが行ったんじゃないのか?それと彼女達については後で説明するが、向こうで妻になった者達だ。仲良くしてやってくれ」

 ナンシーが前に出てきた。

「長かったわ。でも戻れて良かった!ルシテルがね、たった今死んじゃったの!あの子のばか!こうなると分かっていたようなの。本来召喚は1人の術者が生涯で1度のみしか出来ないはずなの。皆に嘘をついて命と引き換えで行ったのよ。さっきセレナから聞かされたのだけれども、ルシテルから、セレナとランスを平和な世界から呼び寄せた罪滅ぼしだから、皆には事が終わるまで言わないでと。セレナだけが言われていたのよ」

 俺は部屋の片隅に寝かされているルシテルの所に駆けつけてよく見た。

「大丈夫だ。死者蘇生を使えば行けるさ」

「そうじゃないの。死者蘇生で生き返る事ができるからと、シェリーとセチアが生贄になってくれて2人共死んじゃったの。そこにルシテルも死んでしまい、死んだのが3人なのよ!死んだのが2人なら、1人はアリアが時間差で生き返らせる事が出来るけど、3人だと誰か1人が生き返る事が出来ないの!ううう」

 妻達の後ろに寝かされているシェリーとセチアの所に駆けつけ、やはりただ死んだだけで、死者蘇生で生き返らせる事が可能だと分かった。

「大丈夫だ!問題ない。それにクレアが止めなかったのだろう?クレアには召喚で一時的に死んだとしても、全員生き返ると分かっていたから止めなかったのだろう。違うか?」

 クレアは頷いていた。そして誰がいるのか?いないのかを確認していると、エレクトラ、マイア、クロエ、この3人が俺の視界にいなかった。まさかと思いジャンプして部屋全体を見ると、思った通りで魔法陣の6つの角に合計6人が横たわり、息絶えているのが分かった。ナンシーはどうやら知らなかったらしい。

 事実を知る者は正直なところクレアとルシテルだけなのだろう。また、ルシテルが誰を生贄にするのかを選んだのだと思う。
 この中の誰かは志願したのであろう。
 志願しなかった者で犠牲になった者達はルシテルがどういう基準で選んだのか分からないが、おそらく俺を召喚する為に自分と一緒に死んでくれとお願いしたのだろう。
 掛けても良いが、頼まれた者は誰1人として断らなかったはずだ。
 他の者の為に己を犠牲にしようと思ったのであろう。
 誰かが死ななければならないからと。

 ルシテルに聞かないと分からないが、誰かを選んでお願いするという事は厳しいだろう。
 お願いするとしたらナンシーが知っていた2人のみで、彼女達は生き返る条件を付けて選んでいるのだろう。
 ルシテルはくじか何かで誰を生贄にするのかを選んだのであろうと思う。

 それと俺はもう1つ重大な事に気が付いた。そう、刻印をしていない者達の存在をこの場に感じないのだ。おそらく別の所にいるのだろう。

 俺は確認する事にした。

「刻印を刻んでいない妻になるはずだった水樹達はどうしている?まだ生きているのか?」

 ナンシーが答えた。

「まだ全員生きてはいるけれども、今の年老いた姿をランスには見られたくないと言うの」

「それは・・・そうか、そうだよな。分かったよ。じゃあ、彼女達の指を切り落として俺の所に持ってきてくれ。それと誰か彼女達を今すぐ眠らせて殺して来てくれ」

 俺はまだ頭釜はっきりと回っていなかったのもあり、説明不足から衝撃的と受け止められる命令を下したのであった。
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