異世界召喚された俺は余分な子でした

第１章

第450話 撃破

　奴には魔法が効かなかった。
　正確に言うと次元を切り裂き、別の場所に逃げて行ってしまう為に魔法が当たらないのだ。
　もし攻撃魔法を喰らわすとすれば、部屋全体を一瞬で攻撃するようなそういう魔法があれば話は別だが、それをすると自身も死んでしまう為に使えない。
　もしもやるとしたならば、自爆魔法であろうが、俺はそんな事をしない。尤も存在しない手段だ。

　次に攻撃を仕掛けてきたら時間停止を使おうと思っていたのだが、ここにきて異変があった。

　５分経つが奴が姿を現さないのだ。攻撃パターンが変わったのだろう。
　次元の狭間にどれ位の時間いられるのか分からないが、部屋にはいないのは確かだ。

　１０分位経過した頃だろうか、俺の体のあちこちに突如痛みが発生した。
　そう、奴が頭から体に攻撃を切り替えた為、複数の刃が刺さってしまったのだ。
　幸い首元に来た刃だけは防ぎきり即死を免れたが、それでも奴が次元の狭間に消える直前に時間停止を使う事ができた。
　激しい痛みに襲われていたが、俺は奴の本体めがけ、アンタレスとライトソードを必死に振りかざした。アンタレスは弾かれたが、ライトソードの刃は通り、文字通り奴を八つ裂きにしてやった。
　幸いな事に絶対防壁が消えてから約５分経っていたが、奴は俺にしか攻撃して来なかった。
　絶対防壁が切れていたから、妻達の所に行ってしまえばひとたまりもなかったのだが、幸いそうはならなかった。

　そうして時間停止を解除した後、妻達の元に飛んだ。自らにヒールを掛けながら時間停止を解除したのだが、奴がいた場所を見ると、無事倒した事が分かった。
　そう、魔石を残し霧散していったからだ。
　俺はというと、ヒールで傷口は治ったのだが、血を流し過ぎたようだ。
　その影響と時間停止の反動もあり、意識が遠のき始め、やがて意識を手放した。
　ブラックアウトする直前に思ったのは、やっぱりこの後ばぶる事になるのかな？との心配だ。
　何せ40年以上使っていなかったからね・・・