異世界召喚された俺は余分な子でした

第１章

第434話 落下

　リギアとのデートは彼女の強い希望で、異星人から奪った宇宙船で無重力体験をする事だった。
　一度やっていて、彼女だけはまたやりたい！になっていた。
　誰とは言わないが吐いた者がいて大変だったから、それ以後は誰にもやらせていなかった。
　まあ、２０の誕生日だし、彼女はケロッとしていて適性があったから、時折助手として宇宙船に乗せてはいた。

　俺は一通り操作を覚えた。
　但し恒星間の移動には慎重だ。
　下手をすると戻れなくなるから、今は衛星軌道程度に抑えており、惑星に行くのも避けていた。
　操作はある程度習得しているのは、時折使っていたからだ。それは練習ともいう。

　衛星軌道からならまだゲートで戻れるからなのだが。

　彼女には座るだけで一切触るなと言ってある。
　よく分からないスイッチがあるからだ。
　彼女はセリカと同じで、触るなと書いてあるとつい触りたくなる習性がある。みなそうだって！？

　また船外活動用の服は種族の違いから使えない事が分かっている。
　少なくとも身動きができず、役に立たなかった。一応水中で呼吸が出来て、脱いだ後服や体は濡れていなかった。

　座席は５席あり、時折調査目的で妻達４人を乗せてフライトしていた。

　そして今日のリギアは活動し易い服を着ていた。
　どちらかと言うと作業服に近いものだ。
　スカートは無重力だと厄介だからと、動きやすい服を指定していた。

　この船の動力源やそれに対するエネルギーが分かっていないが、おそらくエネルギーゲージだと思われるものがあり、それは一向に減る気配がない。

　それどころか一度減ったはずのゲージが時間と共に元に戻っているような状態だ。
　宇宙空間にいる時にゲージが減り、空気のあるところに戻ると徐々に回復している感じだ。
　空気を取り込み、空気がある状況でエネルギーを生成し、自動で充填しているように見受けられた。
　この船でも奴らのテクノロジーの一端でしかないのであろうが。

　魔法陣が発動し、開いている穴から通れる大きさの中では最大級に近いのであったのだろ。
　例外的にパーツを組み合わせて基地にしていたのがあるが、運んでいる最中だったのだろうか？

　それはともかく、操縦席から離れる訳にはいかず、リギアは１人で無重力空間を堪能していた。
　俺自身はベルトで座席に固定している。
　この船には人工重力発生装置がついているのだが、なんとかオフにする方法が分かっており、今は重力を切ってある。

　３０分程、無重力空間を堪能した後、地上に戻る事になった。
　彼女はくるくると器用に回っていたが、勿論髪の毛は束ねて更に服の中に留めてある。そうしていないと大変な状態になるのだ。

　地上に戻った後見晴らしの良いところで２人きりの昼食になった。
　昼食はリギアが苦心して作ったサンドイッチである。
　リギアは料理が苦手だが、それでも俺の為にお昼を作るんだ！と言ってライに教えてもらいながら一生懸命作っていた。

　見た目は・・・その、そんなに良くはないのだが、一生懸命さが伝わっていたし、何より奇跡的に味はおいしかった。
　お世辞とかじゃなく。
　まあ、ライが味を調整したんだろうとは思うが。

　昼からは行った事のない町を見たいというので、リギアが行った事のない町を選び、その町を探査、いや散策をしていた。
　ぶらぶらと適当に歩き、気になった店に入って少し買い物をする。そんなたわいもない事であった。

　今の彼女は妖艶な大人の雰囲気の漂う美女である。
　また、見た目と性格が乖離しており、普段はかなり抜けている残念さんなのだが、俺には可愛らしく思えた。

　この世界で最後の刻印者となるはずだが、夜にみんなで盛大に誕生日を祝い、風呂の後リギアを迎えに部屋に赴いた。
　彼女は自分の魅力を引き出すナイトドレス姿で出迎えてくれた。
　興奮が収まらない。
　そのままお姫様抱っこで俺の部屋に連れて行き、暫く子供の頃の話を中心に語り合った後、刻印の儀を始めるのであった。