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第1章

第428話 ライトアイ

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 トリシアの刻印の儀が終わった後2ヶ月が経過した。
 だが、特に何もなく平和で、ライトライとレフトアイの誕生日がきていた。彼女達は一卵性双生児だ。

 ライトライとレフトアイのどちらと先にデートするかだが、くじ引きで決める事になった。
 その結果ライトアイが先にデートをする権利を得ていた。

 剣士と魔法使いと別の道を選んだので体格は違うが、それでも長袖、パンツルックでかつらをかぶったら見分けがつかない。
 髪型が違うからと、筋肉の付き方が違うから日常ではまずわかるが、彼女達が本気で入れ替わったら見分けるのは厳しい。
 先入観があるから・・・
 何度引っ掛かり、奥手なライトアイにレフトアイと勘違いして・・・

 俺の周りにいる女性達の中でライトアイの存在だけがよく分からなかった。
 俺に対しても愛しているとは言うが、常に一定の距離を保っていたのだ。

 彼女が俺に相対している時は態度というのは、特に周りに人がいる時は素っ気なかったり、きつい時が多いのだ。
 特に俺が何かやらかした時などは後で部屋に来て説教をしていくような感じだ。
 ただその指摘はもっともな事であり、他の誰からか言われるような事でもない。
 そう、彼女は俺の指導役を買って出てくれたのだ。

 ただ、2人きりになると甘えてくるが、胸を触ろうとしても悟られ、手を叩かれていた。
 スキル付与等まじめな時は別だが、彼女の胸を触った事がない。隙がないのだ。
 キスもディープなのはさせてくれず、キスすると真っ赤になり部屋を飛び出したりして恥ずかしがり可愛かった。

 本当は俺と他の妻達のように気軽に接したい筈なのだが、そこは俺の為に苦言をする役目を買って出てくれていたのだ。

 ありがたいのはその場で指摘するのではなく、後で部屋に来てこっそり言ってくれる感じなのだ。

 そういう形で駄目な事などを指摘してくれていた。
 また、ブラックスワンのリーダーはリギアだが、そのリギアもよく出現や凡ミスをやらかしているが、それも彼女が指摘をして直しているような状況だ。

 そして誕生日に彼女が求めたのは俺と一緒にパイを焼く事だった。
 レフトアイへの誕生日のお祝いをするのに2人で焼いたパイを食べさせてあげたいと。
 因みにレフトアイの方はというと、明日ライトアイが何かをしようと計画をしているようだ。
 もちろん俺はまともな料理等はできない。
 精々父親に教えられたバーベキュー位だ。
 小学生の時から毎年キャンプをし、キャンプの時は男が料理をするのが我が藤久家の家訓だった。

(注:本当は出来ます。おっさんになり、単身赴任中に腕を磨き、色々な料理が出来ますがその記憶も無くなっています)

 今回は料理の得意なライトアイが全て指示をくれる。
 俺は言われた通りの事をするだけだが、一緒に作ると失敗するかもと言うが、失敗してもいいから一緒に作る事が嬉しいんだと言っていた。

 正直食材は収納の中にあるもので何とでもなるが、そこはデートとして、そう、買い物デートをするのがライトアイの選択だった。

 そういえば今更だがリフトアイとライトアイは各々名前で呼び合っていたが、どちらが妹か姉かがよく分っていなかった。デートの最中に聞いた

「なあライ。そういえばレフと君はどちらが姉なんだい?」

「私達に姉とか妹とかはありませんわ」

 俺は驚いていた。普段はライの方がお姉さんチックなのだが、有事の際にレフトアイの方がお姉さんチックだったりする。
 その辺りに関して一貫性がないとは思っていたが、特にどちらが姉というのがないからそうなのだろうと。
 得意分野では得意な方が仕切る事はある!といった感じだった。

 俺は今日買い物をする為に町に着いてからは、基本的に屋敷に戻るまでゲートを出さない。
 買い物も全て歩きだ。
 彼女がそれを希望したからだ。
 一緒に歩く時に彼女は恥ずかしそうに俺の手を握ってくる。
 普段はあまり表情を表に出さないが、今日はニコニコしていて女神に見える。
 普段は仮面をかぶったかのように表情がないのだが、今日は表情が豊かだ。
 これが本来の姿なのだろうとは思うが、普段と違い今日はまるで少女のようによく喋っていた。

 ライトアイを女性としてまじまじと見ると、俺は夜が楽しみで仕方がない。そういう思いばかりが浮かんでくるような色気が出ていた。
 最初に逢った時はあどけなさが残る少女だったが、今は俺の心を掻き立てる妖艶な女性になっていたのであった。
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