異世界召喚された俺は余分な子でした

第１章

第421話 復活と長老

　ティエラが生きていてかつ動いている姿を見て泣く者、ティエラに抱きつく者、土下座をする者、俺を神だと崇める者等々色々な反応が有った。

　特に土下座組はティエラはもう亡くなったのだから、早々に埋葬してあげなきゃ可哀想だと言っていた面々だった。

　俺はそっと起こしてから抱きしめ、気にするなと伝えた。
　そして皆を集め、ティエラの復活を報告した。

　ティエラはまだ記憶が混濁しており、状況を理解していなかったが、周りの反応がまだよく理解できず、自分が死んでいたという事がよく分かっていなかった。

　また大天使になったのと、きちんと刻印者になっている事も確認できた。
　もっとも大天使となった今であれば概ね俺と寿命は変わらないので、刻印者だろうがなんだろうが、悠久の時を一緒に過ごす事には変わりない。

　ティエラは少しだるいと言っていたので、皆に報告した後は部屋に連れて行き、ゆっくり休ませる事にした。

　一応誰か１人がついている様にし、暫くは様子を見る事になった。

　ここから２週間ばかり各町の壁の拡張に注力し、壁をひたすら作っていた。
　誰がローテーションの計画を作ったか分からないが、妻達の誰かをサポートとして連れて行っていた。

　ティエラに話を聞くと復活した翌日には概ね記憶が蘇ってきたと。
　ただ、体が動かない時に試練を受けていたという。
　己が最も恐怖する者と向き合い、それと戦わされていたと言っていたが、何と戦ったかは聞かなかったし、言ってこなかった。聞くつもりはない。それは本人の問題だからだ。

　また俺がそうやって壁を作っている間、屋敷の方は無事に修繕作業が終わり、まともに住めるようになった。

　さすがに学校の建築には時間が掛かる為、屋敷の一角で学校をスタートする事になった。
　そして他の町も学校として使える場所を提供してもらい、ヒナタの所にいた女性陣達の各地への移動も終わった。
　既に皆お別れを済ませている。いつ俺達がここを旅立つか分からないからだ。

　そして全ての町で学校が開設され、順調に教育計画は進んでいた。
　そして懸念事項であった各町を繋ぐ道についての話だが、結局のところ、幅１０ｍ位の壁で繋げる事になった。

　妻達にお願いしたのは、書物を色々集めて貰う事だ。

　町に壁を作っている最中であったが、ドラゴンの長老の所に連れて行ってもらう事になり、長老のいるはずの所に着いた。

　だが長老の姿がなかった。そして長老の住処である洞窟を探索していると、既に骨となった長老の遺体がそこに転がっており、皆愕然となった。

　この２０年新たな指示や招集がなかったと言っていた。
　また、ヒナタが２０年前に呼ばれ、今の町に行く指令を出された時の巣の状態で、争ったり荒らされた気配もなく、俺達が２０年振りに訪れた来訪者のようだった。

　これであてにしていた、元の世界に帰る事が頓挫したのであった。